※この記事では「造船・舶用工業分野」に特化してお伝えします。他分野では要件などが異なることもありますので、ご注意ください。
海洋国家である日本は、古くから人の移動や物資の移動手段として船を利用してきました。
この海上輸送を支えているのが造船・舶用工業になります。
日本の経済発展に大きな影響を与えるといっても過言でない造船・舶用工業ですが、技術者をはじめ造船・舶用工業分野に従事する人手不足が深刻化しています。
造船・舶用工業分野では、国内で人材を十分に確保することが難しいことから特定技能外国人を受入れることができる対象分野となっています。
ここでは、造船・舶用工業分野で特定技能外国人の雇用を検討されている事業者様に向け、特定技能制度に詳しい行政書士が「造船・舶用工業分野における特定技能ビザ人材活用」について分かりやすく説明します。
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地域の経済発展に中核的な役割を果たしている造船・舶用工業
日本では、瀬戸内や北部九州を中心に造船所があり、それに伴い舶用メーカーやその他関連事業者が一定の地域に多く集中している傾向にあります。
このような地域で、造船・舶用工業分野は地域の雇用創出や経済発展の一翼を担っています。
地域に根差している産業ですが、近年中国や韓国の台頭で国際競争力が弱まってきていることや、造船業を支える技術者等の担い手不足の問題が深刻化しています。
地方産業ともいえる造船・舶用工業の衰退は、地域の経済状況にも大きな影響を及ぼすといっても過言ではありません。
造船・舶用工業分野の現状~日本人従事者減少と外国人材の活用~
日本の地域産業である造船・舶用工業分野ですが、人材不足が深刻になっています。
そのような中、技能実習生等の外国人が多く活躍しています。
また2015年には、外国人材の活用促進に係る緊急かつ時限的な措置として、「外国人造船就労者受け入れ事業」が始まりました。
この外国人造船就労者受け入れ事業で受入れられた外国人は、在留資格「特定活動(特定造船就労者)」で在留し、業務を行っています。
この受け入れ事業は2022年度末までとされていますが、新規の受入れは2020年度末で終了しました。
今後は、2019年に設立した新たな外国人材の受け入れ事業である「特定技能」での外国人材の活用をより推進していくべく、制度設立から向こう5年間で、最大13,000人を受入れる計画でいます。
造船・舶用工業での特定技能制度~特定技能2号の受入れ対象分野~
特定技能制度では、「特定技能1号」と「特定技能2号」の二つの在留資格があります。
特定産業分野で「特定技能2号」を受入れられる分野は、造船・舶用工業と建設業に限られています。
それでは造船・舶用工業分野での特定技能外国人1号と2号の違いについてみていきましょう。
特定技能1号
特定技能1号は、当該産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けのものになります。
在留期間は通算で上限5年までとなっており、家族の帯同は基本的に認められていません。
特定技能1号外国人が従事できる仕事については、後述を参考にしてください。
特定技能2号
一方、特定技能2号は、当該産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けのものになります。
在留期間ですが上限がありません。また要件を満たせば家族(配偶者・子)の帯同も可能です。
造船・舶用工業分野では、特定技能2号に移行するには、日本海事協会が実施する試験に合格すること、および監督者の実務経験が2年以上必要となります。
また特定技能2号に移行できる職種は「溶接」のみとなっています。
特定技能外国人が従事できる業務は?~1号は6業務、2号は1業務~
それでは特定技能外国人が従事できる業務について具体的に見てみましょう。
特定技能1号の業務区分
特定技能1号の外国人は、以下の6業務を主たる業務として従事することが可能です。
- 溶接(手溶接、半自動溶接)
- 塗装(金属塗装作業、噴霧塗装作業)
- 鉄工(構造物鉄工作業)
- 仕上げ(治工具仕上げ作業、金型仕上げ作業、機械組み立て仕上げ作業)
- 機械加工(普通旋盤作業、数値制御旋盤作業、フライス盤作業、マシニングセンタ作業)
- 電気機器組立て(回転電気組立て作業、変圧器組立て作業、配電盤・制御盤組立て作業、開閉制御器具組立て作業、回転電気巻線製作作業)
なお、上述の主たる業務とあわせて行う場合に限り、日本人が通常従事することとなる関連業務(資材の運搬、清掃等)に附随的に従事することは認められています。
関連業務にあたる具体的な業務例は、以下のとおりです。
- 読図作業
- 作業工程管理
- 検査(外観、寸法、材質、強度、非破壊、耐圧気密等)、
- 機器・装置・工具の保守管理
- 機器・装置・運搬機の運転
- 資材の材料管理・配置
- 部品・製品の養生
- 足場の組み立て・解体
- 廃材処理
- 梱包・出荷
- 資材・部品・製品の運搬
- 入出渠
- 清掃
特定技能2号の業務区分
特定技能2号の外国人が従事できる業務は、以下の一つとなります。
- 溶接(手溶接、半自動溶接)
なお、特定技能1号と同様に、主たる業務である「溶接」とあわせて行う場合に限り、、日本人が通常従事する関連業務(資材の運搬、清掃等)を行うことができます。
特定技能外国人を雇用するには?~受入れ側の要件~
特定技能外国人が従事できる業務について説明しましたが、具体的にどのような事業所で雇用することができるのでしょうか?
特定技能外国人を雇用したい場合、以下のような要件を満たしている必要があります。
- 就労させる場所の要件を満たしていること
- 分野別協議会の構成員となること
- 特定技能外国人を受入れられる14分野共通の要件を満たしていること
それぞれ詳しく見ていきましょう
就労させる場所の要件~事業所要件
まず特定技能外国人の受入れをするためには、国土交通省より「造船・舶用工業分野に係る事業を営む者であること」の確認を受ける必要があります。
確認手続き完了後、「確認通知書」が受入れ機関に交付されるため、当該通知書の写しをビザ(在留資格)申請時に申請書類とあわせて管轄の出入国在留管理局に提出する必要があります。
該当する事業所
「造船・舶用工業分野に係る事業を営む者」とは、以下のいずれかに該当する者とされています。(『造船・舶用工業分野に係る特定技能外国人受入れに係る事務取扱要領』より抜粋)
- 造船業
①造船法(昭和25年法律第129号)第6条第1項第1号又は第2号の届出を行っている者
②小型船造船業法(昭和41年法律第119号)第4条の登録を受けている者
③上記①又は②の者から委託を現に受けて船体の一部の製造又は修繕を行うもの - 舶用工業((1)に該当するものを除く)
①造船法第6条第1項第3号又は第4号の届出を行っている者
②船舶安全法(昭和8年法律第11号)第6条の2の事業場の認定を受けている者
③船舶安全法第6条の3の整備規程の認可を受けている者
④船舶安全法第6条の3の事業場の認定を受けている者
⑤船舶安全法第6条の4の型式承認を受けている者
⑥海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和45年法律第136号)の規定に基づき、上記②から⑤までに相当する制度の適用を受けている者
⑦産業標準化法(昭和24年法律第185号)第30条第1項の規定に基づき、部門記号Fに分類される工業品に係る日本産業規格について登録を受けた者の認証を受けている者
⑧船舶安全法第2条第1項に掲げる事項に係る物件(構成部品等を含む)の製造又は修繕を行う者
⑨造船造機械計調査規則(昭和25年運輸省令第14号)第5条第2号に規定する船舶用機関又は船舶用品(構成部品等を含む)の製造又は修繕を行う者であって同規則に基づき調査票の提出を行っているもの
⑩上記以外で、①から⑨までに規定する者に準ずるものとして国土交通省海事局船舶産業課長が認める者
申請手続き
確認を受ける場合には、所定の「確認申請書」に必要事項を記載の上、国土交通省海事局船舶産業課長に提出する必要があります。
申請書の他、「登記事項証明書」や事業所によっては請負契約書の写しや売買契約書の写し等が求められる場合がありますので、事前に必要な添付書類を確認することをお勧めします。
申請後、「確認通知書」が交付されます。この確認通知書には有効期間があり、確認通知書に記載される「確認年月日」から起算して5年となります。(確認通知書にこの有効期間満了日も記載されます)
分野別協議会への加入
特定技能外国人を受入れることができる特定産業分野にはそれぞれ協議会が設置されています。
造船・舶用工業分野においても、国土交通省により協議会が設置されており、特定技能外国人を受入れるにあたって、受入れ機関は協議会の構成員になる必要があります。
協議会の構成員になるためには、事前に前述の国土交通省からの「確認通知書」が交付されていることが必要となります。
加入のタイミング
加入のタイミングは、初めて特定技能外国人を受入れた日から4か月以内となります。
しかし、「造船・舶用工業分野に係る事業を営む者であること」の確認申請と協議会への加入申請は同時に行うことができますので、同時に手続きをすることをお勧めします。
協議会加入の手続きには、所定の申請書のみで特に別途資料を準備する必要はありません。
協議会構成員としての義務
構成員として以下のような対応を求められています。
- 受入れ状況報告(毎月末時点)を行うこと
- 協議会に対して必要な協力を行うこと
登録支援機関も加入の必要あり
造船・舶用工業分野の特定技能外国人支援を行う登録支援機関も協議会の構成員となる必要があります。
登録支援機関が加入申請を行う場合には、申請書の他に登録支援機関であることを証明書類及び登記事項証明書を一緒に提出する必要があります。
国土交通省への協力も
受入れ機関及び登録支援機関は、国土交通省が行う調査又は指導に対して、必要な協力を行うことことが求められています。必要な協力を行わない場合は、受入れ機関としての適合性を満たしていないということになり、特定技能外国人の受入れが出来なくなりますので注意しましょう。
全分野共通の要件~様々な法令遵守、外国人支援体制等~
上述の事業所要件、協議会への加入に加えて、特定技能外国人を受入れることができる14分野で共通に求められている要件も満たしておく必要があります。
例えば、労働・社会保険・租税に関する法令を遵守していること、1年以内に受入機関側の事由で行方不明者を発生させていないこと、特定技能外国人の雇用を継続できる体制が整っていること等が挙げられます。(この要件については、『特定技能はじめの一歩』のページをご参照ください)
どんな人が造船・舶用工業分野で働けるの?~外国人側の要件~
では、次にどのような外国人が造船・舶用工業分野で特定技能外国人として働くことができるのか見てみましょう。
造船・舶用工業分野で特定技能外国人としての要件を満たすためには、一般的には以下の二つの方法があります。
- 造船・舶用工業分野で定められた技能試験及び日本語能力試験に合格すること
- 対象となる職種・作業の技能実習2号を良好に修了していること
この他に造船・舶用工業分野では、外国人造船就労者受入事業で来日し、在留資格「特定活動」(特定造船就労者)で活動されている外国人もおり、この「特定活動」の資格からの移行もあります。
それぞれについて詳しく説明します。
試験をクリアして特定技能1号へ技能試験と日本語試験~
試験を受けて要件を満たす場合には、(一財)日本海事協会(以下、ClassNK)が実施する技能試験に合格し、また日本語能力試験に合格する必要があります。
造船・舶用工業分野の特定技能試験
造船・舶用工業分野の特定技能試験(1号)は、申請に基づき、申請者が希望する場所にClassNKの試験監督者が派遣され、随時試験が行われる仕組みになっています。(他の分野では通常日時・試験会場が定められていることが多いです)
現在は、国内、フィリピン、インドネシアにおいて試験の実施が可能となっています。
試験は、「溶接」、「塗装」、「鉄鋼」、「仕上げ」、「機械加工」、「電気機器組立て」の職種ごとに分かれています。
どの試験も学科試験と実技試験から構成されています。
また試験言語は日本語(漢字にはひらがなのルビがあります)となっています。
試験の実施要領や合格基準、学科試験のサンプルなどはClassNKのHPにて公開されていますので、詳しい試験情報についてはこちらをご参照ください。
日本語能力試験
特定技能外国人として日本国内で業務・生活するためには、ある程度の日本語でのコミュニケーション能力が必要となります。
その日本語能力を証明するためには、「日本語能力試験(JLPT)」でN4レベル以上に合格するか、もしくは「日本語基礎テスト(JFT-Basic)」に合格する必要があります。
日本語能力試験(JLPT)は、N1からN5までの5段階のレベルに分かれており、N4以上(N4、N3、N2、N1)のレベルに合格する必要があります。
JLPTは、日本と海外(約80の国と地域)で特定の試験日(年2回)実施されます。
結果は、受験日から約2か月後にオンラインで知ることができますが、合否結果の通知は3か月後になります。
一方、日本語基礎テスト(JFT-Basic)」は、JLPTのようにレベル分けはなく、一つのレベルとなります。
CBT方式で、海外(主にアジア地域)と日本で年6回実施されます。
JFT-Basicは、受験当日に結果が分かり、受験日から5営業日以内に判定結果通知が発行されます。
受験の機会はJFT-Basicの方が多いですが、受験日や受験方法、また結果通知時期などを考慮してどちらを受験するか考えるとよいでしょう。
技能実習2号からの移行
造船・舶用工業分野の事業所においては、技能実習生の受入れが多く行われていたこともあり、技能実習2号を良好に修了した者からの移行が圧倒的に多くなっています。
技能実習2号から特定技能の造船・舶用工業分野に移行できる対象職種・作業は以下のようになっています。
在留資格「特定活動」(特定造船就労者)からの移行
外国人造船就労者受入事業で来日し、在留資格「特定活動」(特定造船就労者)を持っている方のうち、無試験で特定技能1号に移行できる職種があります。
ただし特定技能「造船・舶用工業分野」に移行できるものと、造船・舶用工業分野には移行できず、他の特定技能分野であれば移行できるというものもありますので、下表で詳細をご確認ください。
移行できない職種・作業の場合で特定技能への移行を希望する場合には、前述の特定技能試験を受験する必要があります。
特定技能2号について
特定技能2号は「溶接」のみとなりますが、「造船・舶用工業分野特定技能2号試験(仮称)」の試験に合格する必要があります。(特定技能2号の試験はまだ実施されていません。)
また試験合格に加えて、造船・舶用工業において複数の作業員を指揮・命令・管理する監督者としての実務経験を2年有することが必要な要件となります。
例えば、既に雇用している特定技能1号外国人を特定技能2号で引き続き雇用を検討したい場合には、必要な実務経験を得ることができるよう計画的に進めていく必要があります。
特定技能外国人の雇用の流れ~人材確保から就労開始まで~
以上のとおり、特定技能外国人を受入れる側と外国人側の要件を説明しましたが、次に人材を確保して就労してもらうまでの流れを説明します。
Step1: 人材確保
技能実習生として受け入れていた外国人を特定技能外国人として雇用する場合以外は、日本人の雇用と同様に採用活動を行うことになります。ハローワークや民間の職業紹介所等に相談するとよいでしょう。
人選の際には、必ず当該外国人が「特定技能外国人」としての要件を満たしているかどうかしっかりと確認をしましょう。
Step2:雇用契約
法令を遵守し、当該外国人と雇用契約を締結します。
(給与や休日等の処遇が、同様の業務に従事する日本人と同様であることや、外国人社員ならではの出入国のサポートや生活状況の把握なども必要となります。)
Step3:支援計画の策定
特定技能外国人1号を雇用する場合には、外国人が日本で安定かつ安心して生活し働くことができるよう、法律によって定められている支援を行う必要があります。
事前ガイダンスから住居の確保、就労後の3か月に1回の面談等10項目が義務付けられており、これらの支援をどのように実施していくかを記載した「支援計画」を策定する必要があります。
Step4:事前ガイダンスの実施、健康診断の受診
先に記した「支援計画」に従い、受入れ機関又は登録支援機関は、雇用契約を結んだ外国人に対して事前ガイダンスを実施する必要があります。
(特定技能1号の外国人を対象として支援の実施は、その全部を『登録支援機関』に委託することができます。登録支援機関の詳細については、『徹底解説 登録支援機関』のページをご参照くだい。)
また外国人は健康診断を受診する必要があります(検査項目は指定されています)。
Step5: ビザ(在留資格)の申請
必要な書類を揃えて地方出入国在留管理局にて手続きを行います。
申請の際には、国土交通省から発行された「造船・舶用工業事業者の確認通知書」の写しの提出も必要になりますので、注意しましょう。
雇用する外国人が海外にいる場合には、「在留資格認定証明書交付申請」を行い、「在留資格認定証明書」を受領した後に、当該外国人のもとにその証明書を送付することになります。
その後、当該外国人が在外公館において査証(ビザ)の申請をし、受領することになります。
この「在留資格認定証明書」には有効期間がありますので、期間内に手続きすることが必要です。(コロナ禍の現在、この有効期間の延長措置が取られています)
一方雇用する外国人が日本国内におり、「特定技能」とは異なる別の在留資格を既に持っている場合には、「在留資格変更許可申請」手続きを行うことになります。
ビザ申請時に提出する書類は多くあります。書類に不備があると追加資料の要求がされる等余分に時間がかかってしまうこともあるので、慎重に準備をしましょう。
ビザの審査期間は、2カ月前後となっています。
Step6:入国・就労開始
ビザを取得した後、入国・就労が可能となります。
入国後、就労開始から遅滞なく、受入れ機関もしくは登録支援機関は外国人に対して生活オリエンテーションの実施や、住民登録などの手続き、住居の確保等の支援を行う必要があります。
外国人が円滑に日本での生活を送れるよう支援し、環境を整えましょう。
特定技能外国人を雇用した後は?~日常的な外国人支援や届出等が必要~
初めて特定技能外国人を雇用した場合、「造船・舶用工業分野における特定技能協議会」への加入手続きを忘れずに行いましょう(受け入れ後4か月以内です)。
その他、雇用した後に必要となってくる対応等について見てみましょう。
日常的な外国人支援
前述のとおり特定技能外国人を雇用する際、ビザの申請時に「特定技能1号外国人支援計画書」を提出します。
この支援計画書に記載した特定技能外国人に対する日常的な支援を実行していく必要があります。
これら支援計画に記載した支援内容を全部「登録支援機関」に委託することも可能です。
各種手続き・届出等
この他にも、出入国在留管理庁やハローワークに対して次のような各種届出を定期的に、または随時行う必要があります。
これらの義務付けられている届出をしなかったり、虚偽の届出といった違反が発覚した場合には、指導や罰則の対象となりますので注意しましょう。
特定技能外国人を雇用する際にかかる費用は?
人材紹介料や送出機関に関する費用
既に技能実習生として雇用している外国人を特定技能として継続して雇用する場合には、この費用は発生しません。
しかしイチから人材を探す場合には、人材紹介会社や送出機関を活用することもあると思います。その場合には紹介料等の費用が発生することになります。
人材紹介会社にお願いした場合は50万円前後が紹介料の相場となっているようです。
送出機関についてですが、特定技能制度に関して二国間の協力覚書で特定技能人材を採用する際に送出機関を通すことが定められている場合があります。
在留資格取得に係る費用
在留資格の交付を受ける際に、出入国在留管理庁に支払う手数料がかかります。
自身で申請手続きを行う場合には、この出入国在留管理庁に支払う手数料のみですが、申請手続きを行政書士等に委託する場合には別途費用が発生します。
委託費用は15万円前後が相場になっています。
登録支援機関に支援を委託する場合の費用
特定技能外国人1号を雇用する場合、受入機関は支援計画を策定し、それに従って支援を行わなければなりません。
この支援を登録支援機関に委託する場合には、委託費が発生します。
登録支援機関の相場は、支援外国人1人あたり平均20,000円~50,000円(月額)となっています。
月額料金を安く設定している支援機関は月額料金とは別にオリエンテーションや面談の費用を徴収していることもあります。
これに対して月額料金のみを徴収している支援機関は月額料金が比較的高めに設定されている傾向があります。
特定技能外国人に係る費用
雇用する特定技能外国人本人には給与の支払いが発生します。
給与の額は、当該外国人が従事する業務を行っている日本人社員と同額以上の額でなければなりませんので、注意しましょう。
また事業者によって異なりますが、渡航費や家賃などの補助を行う場合もあります。
特定技能外国人を雇用する際の留意点~雇用形態等に留意~
造船・舶用工業分野で特定技能外国人を雇用する場合には、以下の点について留意が必要です。
雇用形態
雇用形態としては、直接雇用でフルタイムで必要があります。
(特定技能運用要領では、本制度でいうフルタイムとは労働日数が週5日以上かる年間217日以上であって、かつ週労働時間が30時間以上であること、とされています。)
特定技能外国人の支援を登録支援機関に委託する場合
受入れ側に義務付けられている特定技能1号外国人に対する支援を登録支援機関に全部委託することができますが、注意が必要です。
造船・舶用工業分野では、登録支援機関も受入れ機関同様に、「造船・舶用工業分野特定技能協議会」の構成員となっている必要があります。
したがって、委託したい登録支援機関が協議会の構成員になっているのかどうかも事前に確認をしましょう。
造船・舶用工業分野での特定技能外国人活用のまとめ
最後に、これまで述べてきた漁業分野で特定技能外国人を活用する際のポイントについて整理しておきましょう。
- 造船・舶用工業分野では、最大13,000人の特定技能外国人を受入れいる計画
- 造船・舶用工業分野は、特定技能「2号」外国人の受入れ対象分野
- 特定技能「1号」では6業種(溶接、塗装、鉄工、仕上げ、機械加工、電気機器組立て)、特定技能「2号」は1業種(溶接のみ)が対象業務となっている
- 受入れ機関は事前に国土交通省より「造船・舶用工業分野に係る事業を営む者であること」の確認を取る必要有り
- 受入れ機関は分野別協議会への加入が必要だが、造船・舶用工業分野の特定技能外国人を支援する登録支援機関も加入の義務がある
- 該当職種・作業の技能実習2号を良好に修了する、もしくは技能試験・日本語試験にクリアすることで特定技能外国人としての要件を取得できる
- 「外国人造船就労者受け入れ事業」で在留している外国人も職種によっては特定技能「造船・舶用工業分野」に移行可能なものもあるが、移行対象とならないものもあるので事前に確認が必要
- 特定技能外国人を受入れた後は、受入れ機関(登録支援機関)は定められた各種届出や支援を確実に行いましょう。