【1問1答】技能実習2号から特定技能1号に移行する場合の注意点(1)

特定技能1号の在留資格(ビザ)を得るためには、日本語能力試験や特定技能1号評価試験等に合格する必要があります。

一方で、技能実習2号を良好に修了した外国人については、これらの試験に合格しなくても特定技能1号の在留資格を得ることができます。

ですので、技能実習2号を良好に修了した外国人を特定技能1号として雇用したいと検討している事業者さんは多いかと思います。

ここでは、技能実習2号から特定技能1号に移行する際の注意点について、特定技能を専門とする行政書士が1問1答形式で回答します。

 

Q:当社では現在技能実習生を受入れています。もうすぐ実習期間が終わりますが、引き続き特定技能で働いてもらいたいと思っています。技能実習2号が終わったらそのまま特定技能に移行できると聞いていますが、注意点などがあれば教えてください。(飲食料品製造業 B社)

 

A:B社さん、ご相談ありがとうございます。技能実習から特定技能への移行する際の注意点を知りたいということですね。

注意点はいくつかありますが、それを理解するためには、技能実習制度の趣旨(目的)を理解しておく必要がありますので、まずは技能実習制度について簡単に整理しましょう。

技能実習は1号、2号、3号と種類があります。1号が1年間、2号が2年間、3号が2年間で合計5年間日本で実習という形で技能を習得します。(3号になるには一定の要件が必要です)

技能実習を修了した後は、原則として母国に帰国する必要があります。

技能実習から別の就労ビザに変更するためには、原則として、一度母国に帰国して、技能実習で学んだ技能を母国に移転する必要があるのです。

技能実習制度の趣旨(目的)が、「技能実習で修得した技能を母国に移転して開発途上地域等の発展に貢献すること」だからですね。

日本に在留したままで(母国に帰国しないで)他の就労ビザに変更できてしまうと、そのまま日本に定住して技能を母国に移転できなくなる恐れがあるので、「原則として」認められていないのです。

しかし「原則」には「例外」があります。

特定技能に限っては例外措置として、技能実習2号修了後、母国に帰国することなく「特定技能1号」に移行することが認められています

特定技能1号は在留できる期間が「5年間」に限定されているので、「5年後に母国に帰国した後に技能を移転すればいいよね」という考え方です。

実際に、この例外措置を利用してすでに多くの技能実習2号修了者が、特定技能1号として日本で就労しています。

ここまでは大丈夫でしょうか。

技能実習2号修了後にそのまま特定技能に移行できるのは、あくまでも「例外的措置」だということを押さえておいてください。

さて、最初の質問に戻ります。

B社さんのご質問は、上記のように、技能実習2号修了後に特定技能に移行する場合の注意点を知りたい、ということでしたね。

技能実習2号から特定技能1号に移行する場合のまず最初の注意点は、技能実習2号を「良好に修了しているか」どうかです。

では、何をもって「良好に修了している」と判断するのでしょうか。

入管(出入国在留管理庁)の「特定技能外国人受入れに関する運用要領」には、次の表の1と2を両方満たしている場合は、「良好に修了している」ことになる、と書かれています。

1 技能実習計画を2年10か月以上修了していること
2 ① 第2号技能実習計画における目標である技能検定3級もしくはこれに相当する技能実習評価試験(専門級)の実技試験に合格していること

または

② 技能検定3級およびこれに相当する技能実習評価試験(専門級)の実技試験に合格していないものの、特定技能外国人が技能実習をおこなっていた実習実施者(旧技能実習制度における実習実施機関を含む)が、当該外国人の実習中の出勤状況や技能の修得状況、生活態度を記載した「評価に関する書面」により、技能実習2号を良好に修了したと認められること。

出入国在留管理庁 特定技能外国人受入れに関する運用要領から抜粋

簡単に言うと次のようになります。

「技能実習1号開始から2年10か月経過していて、技能検定3級などの試験に合格していれば「良好に修了」したと認めます。試験に合格していなくても実習先の会社が作成した書面があれば認めます。」

ということです。

ちなみに、技能検定3級、技能実習評価試験(専門級)には実技試験と学科試験の2種類がありますが、「良好に修了」の条件は実技試験に合格していることです。学科試験に合格している必要はありません。

良好に修了したことを証明する具体的な資料としては、以下の①~③のいずれかの資料が必要です。

技能検定3級の実技試験の合格証明書の写し
技能実習評価試験(専門級)の実技試験の合格証明書の写し
技能実習生に関する評価調書(参考様式第1-2号)

③の技能実習生に関する評価調書は、①または②の試験に合格していない場合に提出が必要ですが、これは実習実施者(技能実習の時の受入機関)が作成します。B社さんのように技能実習の時の受入機関と特定技能の受入機関が同じ場合は問題ありませんが、異なる場合は前の会社の協力が得られず評価調書の作成が難しい場合があります。

また、以下の要件を満たす場合は①~③の資料の提出を省略できます。

特定技能1号の外国人を受入れる事業者(特定技能所属機関)が、当該外国人を技能実習生として受入れたことがある場合で、かつ、特定技能所属機関が技能実習法の「改善命令」や旧制度の「改善指導」を過去1年以内に受けていないとき。

つまり、B社さんのように、技能実習生を引き続き同じ会社が受入れる場合で、会社が違法行為などで行政から改善命令等を受けていない場合は①~③の資料の提出は不要です。

ここまで大丈夫でしょうか。

1つ目の条件である、「技能実習計画を2年10か月以上修了していること」も大事なポイントです。

技能実習2号の外国人が、実習の途中で(技能実習計画2年10か月経過前に)技能実習を中断して特定技能1号に変更することはできません

技能実習3号の場合は、すでに技能実習2号を修了しているので、途中で特定技能1号に変更することは可能です。

「技能実習3号も、予定されている実習計画を修了した後でないと特定技能1号に移行できない」と思っている人もいますが、これは間違いです。

確かに、技能実習3号の実習計画が「生きている」まま、特定技能1号に変更することはできません。

しかし、技能実習3号の実習計画を「中止」したうえでなら、実習計画の途中でも特定技能1号に変更することは可能です。(正確に言うと「中止」した時点で「実習計画の途中」ではなくなり、「技能次実習計画を中止後」に特定技能に変更することになります)

実習計画は、「技能実習実施困難時届出書」を外国人技能実習機構に提出することで中止できます。(監理団体型の場合は監理団体が提出します)

大事なことなので、もう一度言います。

技能実習2号から特定技能1号に移行する場合に、まず最初に確認するポイントは、「技能実習2号を良好に修了していること」です。そして「良好に修了している」とは、

1. 技能実習計画を2年10か月以上修了していること。

2. 技能検定3級(または評価試験専門級)の実技試験合格もしくは技能実習生に関する評価調書を提出することで証明します。

そして「2」の資料は、技能実習生を引き続き同じ会社が受入れる場合で、会社が違法行為などで行政から改善命令等を受けていない場合は、提出しなくても大丈夫になります。

少しややこしいですが、大事なポイントなので押さえておいてください。

 

Q:技能実習2号修了者は特定技能の試験を受けなくてもよいというのは本当ですか?

A:本当です。前述の通り、技能実習2号を良好に修了していれば無試験で特定技能1号に移行できます。

ただし、無試験で移行できるのは、技能実習でおこなった作業が特定技能の移行対象になっている場合だけということに注意が必要です。技能実習でおこなった作業と特定技能の業務区分が異なる場合は、別途、日本語能力試験や特定技能1号評価試験等を受験して合格する必要があります。

例えば、技能実習で「食品製造」の作業をおこなっていた実習生は、「飲食料品製造業分野」の特定技能1号には無試験で移行が可能ですが、「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」に移行するためには試験に合格することが必要です。

また、同じ産業分野でも、建設分野のように作業や業務区分が異なると無試験で移行できない場合があります

例えば、技能実習で「とび」の作業をおこなっていた実習生は、特定技能建設分野>「とび」には無試験で移行できますが、特定技能建設分野>「内装仕上げ」には無試験で移行できません。

さらに言うと、同じ産業分野でも、技能実習の作業には存在して特定技能の業務区分には存在しないものがあります。この場合はそもそも特定技能として雇用できません

例えば、「石材加工」や「石張り」は技能実習の作業として存在しますが、特定技能には存在しません。したがって、技能実習で「石材加工」や「石張り」をおこなっていた実習生は、「石材加工」や「石張り」で特定技能として雇用することはできないのです。(存在しないのですから当然です)

このように、技能実習の作業と特定技能の業務区分の関係はめちゃめちゃややこしいです。

ですので、技能実習から特定技能への移行を検討する時は、移行が可能なのかを必ず確認してください。

 

 

Q:特定技能1号のビザ申請はいつから申請できますか?

実習計画満了後に特定技能1号に変更する場合は、技能実習2号の場合、「技能実習1号開始日から起算して2年10か月が経過した日」から申請ができます。

技能実習3号の場合は申請時期についての明確な規定はなく、「技能実習3号の技能実習計画の終了が近づいてきたら」申請ができます。

特定技能1号への変更申請の審査期間は約2か月ですので、満了の2か月前に提出すれば満了するころに許可が出ます。(許可の要件を満たしている場合)

例えば、10月20日が満了日の場合、8月20日くらいに提出するイメージです。

技能実習3号を途中で中止して特定技能1号に変更する場合は、中止後いつでも申請できます。この場合は審査期間を考慮して申請直前に「技能実習実施困難時届出書」と「意思確認書」を提出するとよいでしょう。

回答者:行政書士 小澤道明(東京都行政書士会所属 登録番号:第16080367)

 

 

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