建設分野における特定技能ビザ人材活用


*この記事では「建設分野」に特化してお伝えします。他分野では要件などが異なることもありますので、ご注意ください。

建設業界では、職人の高齢化の問題や若年層の国内人材を確保したくてもすぐに離職する等、なかなか安定した人材を確保できずに困っている企業の方も多いと思います。

このように建設分野は国内で人材を十分に確保することが困難である業種ということで、特定技能の「特定産業分野」として特定技能外国人を受入れることができる分野の一つとなっています。

ここでは、建設分野で特定技能外国人の雇用を検討している企業様向けに、特定技能制度に詳しい行政書士が分かりやすく解説します。

建設業界の現状~深刻な人手不足~

有効求人倍率から見る人手不足の現状

建設分野では、2023年時点で21万人程度の人材が不足する見通しであると言われています。

国道交通省は、2025年までに建設現場の生産性を2割向上させるという目標(未来投資会議(2016.9))等を踏まえ、働き方改革や処遇改善等の対策により国内の人材確保を目指すとともに、これらの取り組みを行っても不足する人材については、特定技能外国人を受け入れることにより補うことを考えています。

(国土交通省資料「建設業をめぐる最近の状況」参照)

建設・土木・測量技術者の近年の有効求人倍率の推移ですが、他の職業に比べて高い水準になっている職種の一つです。

2019年度を境に少し減ってきていますが、2021年も4月~6月の平均有効求人倍率は4.62倍となっており、現在でも約4件の求人に対して1人しか求職していないという状況になっています。

年度 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
有効求人倍率 4.17 4.98 5.79 6.26 6.65 5.87

*厚生労働省発表「一般職業紹介状況」を参考に作成。

人材不足の要因

では、どうして建設分野では人手不足が深刻なのでしょうか。

主な要因としては、

  • 現場を担う技能労働者が高齢化
  • 3K「きつい、きたない、危険」のイメージが強く、若年層の建設業への関心が低くなっていること

があります。

したがって、これらの要因を払しょくするような取組みが業界には求められていることになります。

国も時間外労働規制や、適正な工期設定、適切な賃金水準の確保、週休2日の推進などの働き方改革を推進しています。

しかし働き方改革は未だ途上であり、外国人に頼らなければならないのが現状です。

建設分野における外国人の受入れ状況

建設分野で活躍する外国人は、2011年から2017年の6年間で4倍以上に膨れ上がっています。

このように特定技能制度ができる2019年より以前から多くの外国人が建設分野では働いています。

建設分野で働いている外国人を在留資格別に見てみると、技能実習生が最も多くなっています。

2015年以降は、オリンピック・パラリンピック東京大会の関連施設整備などによる一時的な建設需要の増大に対応するため緊急措置として「外国人建設就労者受入事業」(2020年度まで)が取られたため、これらの外国人が加わっています。

ちなみにこの緊急措置である「外国人建設就労者受入事業」(注)で建設業に携わっている外国人の在留資格は「特定活動」(特定建設就労者)というものになっています。

(注)「外国人建設就労者受入事業」では、即戦力の確保を念頭に置き、「建設分野の技能実習生修了者」について、技能実習に引き続き国内に在留し、または技能実習を修了して一旦本国へ帰国した後に再入国し、雇用関係の下で建設業務に従事することができることとされていました。在留資格は「特定活動」で、1年ごとの更新により最大2年以内(再入国者のうち本国に帰国後の期間が1年以上のものは最大3年以内)とされました。

建設分野では、2019年より5年間で約4万人の特定技能外国人の受入れを見込んでいます。

技能実習生と特定技能外国人との違い

2019年に始まった特定技能制度ですが、建設分野では技能実習修了者が在留資格を変更し、特定技能に移行しているパターンが多いです。

2020年度の統計として、技能実習生からの移行が2,472人、特定活動(上述の緊急措置)からの移行が763人となっています。

技能実習制度は、技術移転を目的とした国際協力の一環である一方、特定技能制度は日本の人材不足の解消を目的としています。

したがって、技能実習制度についてはその分野の見習い・未経験者等が対象となる一方で、特定技能制度では「即戦力」となる外国人が求められています。

「技能実習3号」と「特定技能1号」どちらがよい?

既に技能実習生(2号)を受入れており、その実習生の在留期限が迫る中、受入企業が引き続きその実習生を雇用したいと思った場合、「技能実習3号」か「特定技能」の二つの選択肢が出てきます。

「技能実習3号」は、実習生が技能検定3級等の実技試験に合格していること、監理団体及び実習実施者が優良と認定されていれる必要があります。

在留期間は2年以内となります。

一方、「特定技能」に関しては、実習生の職種が「特定技能1号」に移行できる職種であれば無試験で移行が可能です。在留資格の変更手続きをすることで「特定技能」に移行できます。

特定技能1号の在留期間は通算5年となります。

したがって、在留期間の点からみると、既に職場環境に慣れ、一定の技術を習得している技能実習生を引き続き雇用したい場合は、「特定技能」に移行した方が、さらに最長5年間働くことができます。

気になる費用面ですが、技能実習制度の場合は監理団体への監理費の支払い(相場は月3~6万円/人)があります。

特定技能に関しては、特定技能1号外国人に対しては「特定技能外国人支援計画」に基づいた支援を行う必要があります。

これは体制が整っていれば自社で実施することは可能ですが、登録支援機関に委託することも可能です。委託した場合の費用は、月2~5万円/人が相場となっています。

また建設分野の特定技能に関しては、特定技能外国人受入事業実施法人等(後述)への負担金の納入が加わります。

したがって、「技能実習3号」にするのか「特定技能」にするのかは、在留期間や費用面での検討がポイントになるでしょう。

すでに建設分野の技能実習生を受入れている事業者は特定技能1号に移行して引き続き受入れを続けるケースが多く、新規受入の場合は「特定技能1号評価試験」等の合格者を採用するケースが多いです。

建設分野は特定技能2号の受入れ対象分野

特定技能は「1号」と「2号」がありますが、特定技能外国人の受入れ対象となっている14分野のうち、特定技能「2号」外国人を受入れられる分野は、「建設分野」と「造船・舶用工業分野」の2分野のみです。

特定技能2号は、在留期間は3年、1年又は6か月ごとの更新で、1号のように通算在留期間の上限がありません。また要件を満たせば家族の帯同も可能となる等、より日本に腰を据えて業務に従事してもらうことが可能になります。

建設分野で特定技能外国人の受入れが可能な職種は?~18職種、今後増える可能性も~

建設分野で特定技能外国人を雇用できる職種は、現時点では以下の18職種となっています。

①型枠施工 ②左官 ③コンクリート圧送 ④トンネル推進工 ⑤建設機械施工 ⑥土木
⑦屋根ふき ⑧電気通信 ⑨鉄筋施工 ⑩鉄筋継手 ⑪内装仕上げ/表装 ⑫とび
⑬建設大工 ⑭配管 ⑮建設板金 ⑯保温保冷 ⑰吹付ウレタン断熱 ⑱海洋土木工

 

建設業界では、職種ごとに業界団体(専門工事業団体)が存在しており、その専門事業団体の意向等を踏まえながら、受入れ対象職種が決まっています。したがって上述の18職種以外の職種についても、人材不足の状況や関係団体の意向や準備状況によっては、追加される可能性もあるかもしれません。

建設分野で働くことができる特定技能外国人の要件とは?

建設分野で特定技能外国人として働くことができる外国人は、大きく二つのパターンに分かれます。

一つは技能実習2号を良好に修了した場合、もう一つは建設分野の特定技能試験及び日本語能力試験に合格した場合です。

技能実習2号からの移行

技能実習2号を良好に修了している場合は、技能試験及び日本語試験が免除されます。

ただし、特定技能に無試験で移行できる職種が決まっています。

技能実習2号を修了していても、無試験で特定技能に移行できる職種かどうかを事前に確認しておく必要があります。

以下の表に記載のない特定技能の職種及び作業に移行したい場合は、従事したい特定技能職種の技能試験を受験する必要があります。

つまり、修了した技能実習の職種・作業と、これから従事したい特定技能の職種が異なる場合は、従事したい特定技能職種の技能試験に別途合格する必要があり、試験は免除されません。

技能実習(職種名) 技能実習(作業名) 特定技能(職種)
建設板金 ダクト板金

内外装板金

建設板金
建築大工 大工工事 建設大工
型枠施工 型枠工事 型枠施工
鉄筋施工 鉄筋組立 鉄筋施工
とび とび とび
かわらぶき かわたぶき 屋根ふき
左官 左官 左官
配管 建設配管

プラント配管

配管
熱絶縁施工 保温保冷工事 保温保冷
内装仕上げ施工 プラスチック系床仕上げ工事

カーペット系床上げ工事

鋼製下地工事

ボード仕上げ工事

カーテン工事

内装仕上げ

表装内装

表装 壁装 表装

内装仕上げ

コンクリート圧送施工 コンクリート圧送工事 コンクリート圧送
建設機械施工 押土・整地

積込み

掘削

締固め

建設機械施工

必要な試験をクリアして特定技能1号へ

試験は、技能試験と日本語試験からなります。

建設分野の「特定技能1号評価試験」の合格と日本語能力が必要レベルに達していることを証明する必要があります。

技能試験「特定技能1号評価試験」

「特定技能1号評価試験」は、国土交通省が定めた実施要領に基づき、建設技能人材機構(JAC)が実施しています。

試験は、「学科試験」と「実技試験」があります。

職種によって試験範囲が変わってきます。また職種毎に試験実施日・場所も異なりますので、事前に建設技能人材機構(JAC)のHPで確認することをお勧めします。

日本語試験

日本語の試験については、以下のどちらかの試験を受験し、必要レベルをクリアしている必要があります。

・「国際交流基金日本語基礎テスト」(「独立行政法人国際交流基金」実施)

・「日本語能力試験」(「独立行政法人国際交流基金」および「日本国際教育支援協会」実施)

上記のどちらかの日本語能力試験においてN4レベル以上(基本的な日本語を理解することができるレベル)を取得しておかなければなりません。

在留資格「特定活動」(特定建設就労者)からの移行

基本的には上述の2つのパターンで「特定技能」の在留資格を得ることになります。

しかし建設分野では、前述のとおり、緊急措置として「外国人建設就労者受入事業」が実施され、在留資格「特定活動」(特定建設就労者)を持っている外国人もいます。

これらの在留資格「特定活動」を持っている人も「特定技能」に移行は可能ですが、無試験で移行できる職種が限られていますので注意が必要です。

前出の表に掲げられている建設分野技能実習の対象職種・作業のうち、以下の13の各職種・作業に係る技能実習2号を良好に修了しているものに限られています。

建築板金 建築大工 型枠施工 鉄筋施工 とび からわぶき 左官
配管 熱絶縁施工 内装仕上げ施工 コンクリート圧送施工 表装 建設機械施工

特定技能外国人を受入れる機関に必要な要件は?

特定技能外国人を受入れる機関は、

●国土交通大臣より建設特定技能受入計画の認定を受けていること

そして

●特定技能外国人の全分野共通の要件を満たしていること

が必要な要件となります。

「国土交通大臣より建設特定技能受入計画の認定を受けていること」とは?

建設分野特有の要件として、他の分野とは異なり、事前に国土交通大臣より建設特定技能受入計画の認定を受けている必要があります。(この「建設特定技能受入計画」の詳細は後述します)

この受入計画の認定を受けるためには、以下の5つの要件すべてを満たす必要があります。

①受入機関が以下の要件を満たしていること

  • 建設業法第3条の許可を受けていること
  • 建設キャリアアップシステムに登録していること(詳細後述)
  • 特定技能外国人受入事業実施法人等への所属(詳細後述)
  • 申請日の前5年以内又はその申請の日以降に、建設業法に基づく監督処分を受けていないこと
  • 職員の適切な処遇、適切な労働条件を提示した労働者の募集その他の国内人材確保の取り組みを行っていること

②特定技能外国人に対する報酬等が同等の技能を有する日本人と同等額以上であり、安定的に賃金の支払いがなされること、技能習熟等に応じた昇給が、雇用契約に明記されていること

③雇用契約締結前までに外国人が十分に理解することができる言語で、契約に係る重要事項を説明していること

④特定技能外国人に対して、受入れた後に国土交通大臣が指定する講習又は研修を受講させること

⑤国または適正就労管理機関による受入計画の適正な履行に係る巡回指導を受入れること

建設キャリアアップシステムとは

受入機関の要件となる「建設キャリアアップシステム(CCUS)」ですが、建設業にかかわる技能者の資格や社会保険加入状況、現場の就業履歴などの情報を登録・蓄積していき、技能者の適正な評価や建設事業者の業務負担軽減に役立てるための仕組みになります。

登録完了(事業者ID発行)までは、申請してから1か月程度かかります。

本来、建設特定技能受入計画の認定申請時には、受入機関のCCUSの登録が完了していることが必要です。

しかし現在は、新型コロナウィルスの感染拡大を受け、CCUSの運営主体が当面の間審査業務を縮小している関係で、CCUSの登録申請を行ったことを証明する書類の提出をもって認定要件を満たすこととされています。

なお、この受入機関のCCUSの登録完了の要件については、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、当面の取扱いとして「CCUSの登録申請を行ったことを証する書類の提出をもって認定要件を満たす」とされていましたが、令和3年8月16日以降は、従来どおり、「CCUSの登録完了」が認定要件となっていますので気を付けてください。

特定技能外国人受入事業実施法人等の所属について

同じく受入機関の要件の一つになっている「特定技能外国人受入事業実施法人等への所属」についてですが、これは特定技能外国人受入事業実施法人である一般社団法人建設技能人材機構(JAC)に間接的に又は直接的に加入していることが必要ということになります。

受入機関が正会員である39建設業者団体の会員である場合には、JACに「間接的に加入している」とみなされ、JACに直接加入する必要はありません。

つまりJACの正会員である建設業者団体の会員でない場合は、JACの賛助会員となることが必要となります。

JACへの入会手続きには1カ月半程度要するため、加入手続きを行う場合には、この期間を考慮して準備を進める必要があります。

ちなみにJACは、特定技能外国人の受入機関に代わって外国人の支援計画の実施を担う「登録支援機関」とは異なり、外国人の教育訓練、技能試験の実施、人材紹介、適正な就労環境確保のための措置等を行なう法人です。

「特定技能外国人の全分野共通の要件を満たしていること」とは?

これに加え、他分野とも共通の要件を満たしている必要があります。

例えば、労働・社会保険・租税に関する法令を遵守していること、1年以内に受入れ機関側の事由で行方不明者を発生させていないこと、特定技能外国人の雇用を継続できる体制が整っていること等が挙げられます。(全分野共通の要件については、『特定技能はじめの一歩』のページをご参照ください)

建設特定技能受入計画とは~建設分野特有のもの~

ここで特定技能外国人を受入れる機関の要件である「建設特定技能受入計画」について、もう少し詳しく見てみましょう。

「1号特定技能外国人支援計画」と「建設特定技能受入計画」の違いは?

特定技能外国人を受入れる場合、どの分野であっても「1号特定技能外国人支援計画」を作成しなければなりません。

この「1号特定技能外国人支援計画」とは、受入れる特定技能外国人が日本で円滑に仕事ができるようにするために受入機関が行う必要がある支援計画になります。

これは在留資格「特定技能」を申請するさいに出入国在留管理局に提出する必要があります。

これとは別に建設分野では「建設特定技能受入計画」を作成しなければなりませんが、これは国土交通省に提出するものになります。

この受入計画は、劣悪な労働環境で仕事をさせている企業の建設市場への参入を認めないで公正な競争環境を維持すること、また建設分野で働く外国人の失踪や不法就労を防止すること等を目的としています。

記載項目と提出書類

受入計画には、以下の項目に関する記載が求められます。

①認定申請者(=受入機関)に関する事項 前述のとおり、特定技能外国人の受入機関が必要要件を満たしているかどうかという点になります。
②国内人材確保の取組みに関する事項 在留資格「特定技能」の制度設立には、国内で人材確保の取り組みを行ってもなお人材確保が困難であるという状況が背景にあります。したがって国内で人材の確保にかかる相応の努力を行っているかどうかも審査のポイントになります。
③特定技能外国人の適正な就労環境の確保に関する事項 特定技能外国人の処遇(報酬の額、支払い形態、昇給等)に関する記載になります。特定技能外国人が不利にならないよう同等の技能を有する日本人と同等額以上の処遇を設ける必要がある等、留意が必要です。
④特定技能外国人の安全衛生教育及び技能の習得に関する事項 特定技能外国人に従事させる業務に従って、労働安全衛生法に基づく特別教育等の安全衛生っ教育又は技能講習などを記載することが求められています。

そしてこれらの記載項目に加え、主に以下の書類提出が必要となります。

(申請時に、提出書類の詳細について国土交通省HPで確認することをお勧めします)

①登記事項証明書、住民票(原本)
②建設業許可証の写し
③常勤職員数を明らかにする文書
④建設キャリアアップシステムの事業者IDを確認する書類(もしくは登録申請を行った証明書類
⑤JACの会員証又はJACの正会員である建設業者団体の会員であることを証する書類
⑥ハローワークで求人した際の求人票
⑦同様の技能を有する日本人と同等額以上の報酬であることの説明書
⑧就業規則及び賃金規定
⑨同等の技能を有する日本人の賃金台帳
⑩同様の技能を有する日本人の実務経験年数を証明する書類
⑪特定技能雇用契約書および雇用条件書
⑫時間外労働・休日労働に関する協定届、変形労働時間に係る協定書、年間カレンダー等
⑬雇用契約に係る重要事項事前説明書の写し

申請手続き

申請はオンラインとなります。

したがって上述の提出書類は事前にスキャンしてPDF化するか、写真にとってJPEG化しておくとよいでしょう。

申請から認定までには、1カ月半から2カ月程度かかると言われていますので、準備は早めに行いましょう。

建設分野での特定技能外国人雇用の注意点

建設分野で特定技能外国人を雇用する際には、注意する点があります。

受入れ人数

特定技能外国人の受入れ人数は、1号特定技能外国人の総数と外国人建設就労者の総数の合計が、受入機関の常勤職員の総数を超えてはいけません

雇用形態

また雇用形態について、派遣は認められておらず、直接雇用する必要があります

(特定技能の対象業種で、派遣形態が認められているのは、「農業」と「漁業」のみです)

採用方法

新規に特定技能外国人を採用する場合、建設分野では有料職業紹介事業者からの紹介は不可なっています。前出のJACが無料職業紹介を行っていますので、JACから人材紹介を受けることが可能です。

この3点にについて押さえておきましょう。

建設分野での特定技能外国人受入れの流れ

建設分野で特定技能外国人を雇用する場合、他の分野と大きく異なるのが、在留資格の許可・交付申請前に「建設特定技能受入計画」の認定を受けておく必要がある、という点です。

受入れまでの流れ

STEP1:キャリアアップシステムの登録申請、JAC等への加入

STEP2:雇用する外国人に対する特定技能雇用契約にかかる重要事項説明

STEP3:特定技能雇用契約締結

(対象外国人が日本国内に在留している場合には、キャリアアップシステムへの登録手続きも行う)

STEP4:建設特定技能受入計画の認定申請

STEP5:在留資格認定証明書交付申請又は在留資格変更許可申請

STEP6:受入れ

建設分野在留資格「特定技能」の許可・交付を受けるためには、建設特定技能受入計画の認定証の写しの提出が必要となります。

「建設特定技能受入計画」の認定を受けるためには、既に説明したとおり、建設キャリアアップシステムへの登録申請、JACへの加盟等をの手続きが必要となります。これらの審査機関を考慮すると、在留資格の取得手続きに入るまでに3か月~4カ月かかることを念頭に置いておかなければなりません。

そして特定技能の在留資格の審査期間は、2カ月~3か月となっています。

したがって実際に特定技能外国人の受け入れが完了するまで、5カ月~7カ月(約半年)程度かかることを想定して、早め早めに準備をすることをお勧めします。

建設分野で特定技能外国人を雇用する際に係る費用

特定技能外国人を雇用する場合の費用について見てみましょう。

建設分野では他の分野と異なり、以下のような費用が別途かかります。

①特定技能外国人受入事業実施法人等への加入費用 ①JACの正会員である建設業者団体に所属する場合

入会金と年会費が必要となります。(その他出資金を募っている場合もあります)

建設業者団体によって金額(加入費・年会費)に開きがあります。

②JACの賛助会員になる場合

年会費24万円。

これに加えて、特定技能外国人一人について毎月受入負担金がかかる。(12,500円~20,000円/人/月)

②建設キャリアアップシステムの登録料 ①事業者登録料

・資本金に応じた登録料(5年更新)

・システム利用料(管理者ID利用料 1ID毎に11,400円)

②技能者登録料

簡略型:2,500円(技能者の本人情報等を登録)

詳細型:4,900円(本人情報等に加え、保有資格、健康診断などの情報を登録)

(10年更新)

③「受入後講習」受講費 15,400円/人

これらの費用の他、特定技能外国人の在留資格申請等の手続きを委託する場合、特定技能外国人の支援を登録支援機関に委託する場合にはそれぞれ費用が掛かってきます。

特定技能外国人を受入れた後は?

特定技能外国人を受入れた後にも必要な手続きがあります。必要な手続きを怠ると「建設特定技能受入計画」の認定が取り消されるなどの処分を受ける場合がありますので、注意しましょう。

「受入報告書」の提出

原則として1カ月以内にオンラインで受入報告を国土交通省にする必要があります。

外国人の建設キャリアアップシステムへの登録

海外にいる特定技能外国人を雇用した場合には、入国後、当該外国人の建設キャリアアップシステムへの登録が必要となります。

「受入後講習」の受講

受入れた特定技能外国人に対して、国土交通大臣が指定する「受入後講習」を受講させることが必要となります。

この講習は、建設分野の「適正就労監理機関」である一般社団法人国際建設技能振興機構が実施しています。

特定技能外国人の受入れ後、概ね3か月以内に当該外国人に受講させるようにしなければなりません。

「労働安全衛生法に基づく特別教育又は技能講習等」の受講

労働安全衛生法に基づく特別教育又は技能講習などが必要とされている業務については、受入機関は当該外国人に対して、これらの教育又は講習などを受けさせる必要があります。

また特定技能外国人は、一般的に日本語や日本の労働慣行に習熟していないことから、これらの教育・講習を行う場合には母国語等を用いる、視聴覚教材を用いるなど、その内容を確実に理解できる方法により行うことが求められています。

建設分野のまとめ

  • 建設分野では、4万人の特定技能外国人の受入れが見込まれている。
  • 建設分野では、既に受入れている技能実習生を特定技能1号に移行して引き続き雇用を継続している企業が多い。
  • 建設分野は、特定技能2号の受入れ対象分野で、将来的には長く日本で活躍してもらえる人材となる可能性がある。
  • 特定技能外国人を受入れられる職種は18職種。今後増える可能性もあり。
  • 技能実習2号から特定技能1号に移行する場合、試験が免除にならない場合もあるので事前に確認が必要。
  • 特定技能の在留資格を申請するためには、事前に「建設特定技能受入計画」の認定を国土交通大臣から受けている必要がある。
  • 特定技能外国人を雇用する場合には、人数や雇用形態、採用方法に留意する必要あり。
  • 特定技能外国人を受入れるまで、手続きに約半年ほど必要。
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