特定技能外国人を雇用する特定技能所属機関は、特定技能雇用契約や1号特定技能外国人支援計画等に変更が生じた場合に「随時届出」をおこなう義務があります。
「随時届出」は大きく分けて5種類の届出がありますが、それぞれ「いつ、どのようなときに、誰が届け出るのか」よくわからないという受入れ事業者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは特定技能の受入れサポート実績のある行政書士が、随時届出の一つである「特定技能雇用契約に係る届出」について、提出書類と書類の書き方をわかりやすく解説します。
目次
随時届出とは?
随時届出とは、入管法で定められた特定技能雇用契約や1号特定技能外国人支援計画についての届出です。
定期届出が特定技能外国人の受入れや活動状況、支援の実施状況を定期的に報告するための届出であるのに対し、在留資格申請をした際の雇用契約や支援計画などに変更が生じた場合に届け出るのが随時届出です。
随時届出は誰が提出する?
随時届出は、特定技能外国人を雇用する特定技能所属機関の責任においておこないます。
例えば、支援の全部を委託している登録支援機関の支援責任者が変更になった場合でも、届出をおこなうのは登録支援機関ではなく特定技能所属機関側なので、届出不履行とならないよう注意が必要です。
随時届出の種類
特定技能所属機関の責任においておこなう随時届出は、以下のように大きく5つに分けられます。
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- 特定技能雇用契約に係る届出
- 1号特定技能外国人支援計画変更に係る届出
- 登録支援機関との支援委託契約に係る届出
- 受入れ困難に係る届出
- 出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為に係る届出
この記事では「1. 特定技能雇用契約に係る届出」について、届出が必要なとき・届出に必要な書類・書類の書き方を解説していきます。
「特定技能雇用契約に係る届出」が必要な変更事由と提出書類
ここからは、5つある随時届出のうち「特定技能雇用契約に係る届出」について解説します。
「特定技能雇用契約に係る届出」は、以下のように大きく3つに分けられます。
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- 雇用条件を変更したとき
- 雇用契約が終了したとき
- 新たな雇用契約を締結したとき
ではひとつずつ、届出が必要な事項と提出書類を見ていきましょう。
1「雇用条件を変更したとき」に提出する書類
雇用条件を変更したときの届出とは、元々の雇用契約を維持したまま契約内容の一部を変更した場合におこなうものです。
具体的には、以下の事項について変更が生じた場合に届出が必要となります。
1)雇用契約期間
2)就業の場所
3)従事すべき業務の内容
4)労働時間等
5)休日
6)休暇
7)賃金
8)退職に関する事項
9)その他(社会保険、労健保険の適用状況等について)
改めて雇用契約を締結した場合・雇用契約を更新した場合・法務省令で定める軽微な変更についてはこの届出の対象ではありません。
上記9項目については、共通して提出する次の2つの書類の他に変更事由に応じて添付書類が必要になります。
「雇用条件を変更したとき」提出する書類【共通】
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上記2つの書類は、「雇用条件を変更したとき」に必ず提出する必須書類です。変更事由によっては、上記の必須書類に加えて、別の添付書類の提出が必要になります。
では、変更事由の詳細と必要な添付書類を見ていきましょう。
1)雇用契約期間
契約期間や契約更新について変更があった場合に届け出る必要があります。
共通の書類以外、添付書類は不要です。
2)就業の場所
「事業所の変更」や「派遣先の変更」があった場合に届け出る必要があります。
【事業所の変更】
運用要領別冊(分野別)で就業場所について確認対象の書類が定められている以下の分野では、就業場所の変更があった場合に以下の添付書類が必要です。
- 介護分野
- 業務を行わせる事業所の概要書(介護分野参考様式第1-2号)
- ビルクリーニング分野(下記のいずれか一つを提出)
- 建築物清掃業登録証明書
- 建築物環境衛生総合管理業登録証明書
- 宿泊分野
- 旅館業許可証(旅館・ホテル営業許可書)
- 外食業分野
- 保健所長による営業許可書の写し
- 営業許可を要しないが保健所長への届出の対象となる施設はその届出の写し
また、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野で就業場所を変更した場合は、協議会の構成員であることを証明する書類を添付する必要があります。
上記以外の分野については共通の書類以外、添付書類は不要です。
特定技能所属機関の名称・住所が変わった場合は届出の必要はありませんが「特定技能外国人の指定書」を修正する必要があります。
登記事項証明書や住民票など、新たな名称・住所がわかる資料と指定書を最寄りの地方入管に持参して申し出るようにしてください。(指定書は外国人本人のパスポートに貼付されています)
また、特定技能外国人本人が「所属(契約)機関の名称変更・所在地変更の届出」を提出する必要があることを伝えてあげるとよいでしょう。
【派遣先の変更】
派遣雇用が可能な農業・漁業分野で、従前に提出した派遣計画書に記載していない派遣先・就労場所で就労する場合、新たな就労場所を追加する場合のみ以下の添付書類が必要です。
- 派遣計画書(参考様式第1-12号)
- 就労条件明示書(参考様式第1-13号)
- 派遣先の概要書
- 農業:(参考様式第1-14号)
- 漁業:(参考様式第1-15号)
- 労働者派遣契約書
- 派遣先に係る労働・社会保険及び租税の法令を遵守していることを証明する資料
- 派遣先事業者誓約書(農業のみ)(参考様式第11-2号)
3)従事すべき業務の内容
従事すべき業務内容を変更した場合、最寄りの地方入管で「特定技能外国人の指定書」の記載内容を変更してもらう必要があります。
また、同一分野内で業務区分を変更した場合(複数の業務区分がある分野のみ)は、以下の添付書類が必要です。
- 特定技能外国人が従事しようとする業務に必要な技能水準を有することを証明する資料(在留資格申請時に提出する資料と同様(特定技能1号評価試験の合格証明書の写しなど))
4)労働時間等
労働時間が変更になった場合に届け出ますが、始業時間や終業時間を変更しても所定労働時間数に変更がなければ届出の必要はありません。
次の場合は、労働基準監督署へ届け出た「変形労働時間制に関する協定書の写し」が必要です。
- 変形労働時間制を採用・廃止した場合(1年単位の変形労働時間の場合のみ)
- 雇用条件書の「3.所定労働時間数」または「4.所定労働日数」を変更した場合
変形労働時間制(1年単位)を採用した場合は、外国人が理解できる言語を併記した「年間カレンダー」を添付します。
また、フルタイムではなくなった場合、「フルタイムではないことの理由書」の添付が必要です。
※フルタイムとは、労働日数が週5日以上かつ年間217日以上であって、かつ週労働が30時間以上の場合をいいます。
5)休日
当初の契約より年間合計休日日数が減少した場合に届出が必要ですが、以下の場合は届出不要です。
- 平年かうるう年かによる変更
- 日と曜日の関係による年末年始休暇日数の変更
- 法令による祝日の変更に伴う休日日数の減少
共通の書類以外、添付書類は不要です。
6)休暇
休暇の変更で届出が必要なのは、次のような場合です。
- 当初の契約より年間休暇数を減らす場合(増やす場合は届出不要)
- 従前に提出した雇用条件書の「1.年次有給休暇」の「継続勤務6か月未満の年次有給休暇」または「2.その他の休暇」(有休・無給にかかわらず)のいずれかを廃止する場合
共通の書類以外、添付書類は不要です。
7)賃金
賃金についての届出が必要なのは、以下のような場合です。
- 直近に提出した雇用条件書の「Ⅶ.賃金」欄に変更が生じたとき
- 賃金の支払に記載した内容に変更が生じたとき
- 賃金の支払(参考様式第1-6別紙)
添付書類「賃金の支払い(参考様式第1-6別紙)」は、全ての場合に提出が必要なわけではなく、一定の場合にのみ提出が必要です。 一定の場合とは、「諸手当の額を減額する場合」や「賃金支払時に控除する項目 を増やす場合」などです。 特定技能外国人が負担する実費が増加したり、新たに実費が発生するなど、外国人にとって不利益になる変更の場合は「賃金の支払い(参考様式第1-6別紙)」が必要になることがありますが、該当しない場合は提出不要です。
- 在留資格申請の際に、外国人の報酬を決定するうえで「比較対象となる日本人」として申告した日本人の賃金改正に伴って外国人の賃金が変更になった場合
- 特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4)
「特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4)」についても、必ず提出が必要なわけではなく、一定の場合にのみ提出が必要です。 一定の場合とは、「在留申請時に比較対象となる日本人の賃金改定に伴うことが理由で、特定技能外国人も変更になった場合」です。 詳しく説明します。特定技能外国人の報酬は、「同種の業務をおこなう日本人の報酬と同等以上」という決まりがあります。 「日本人の報酬と同等以上」であることを証明する書類として、「特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4号)」という書類を、ビザ申請の時に提出しますが、その書類の中に「比較対象となる日本人」の報酬額などを記載する欄があります。 その後、この「比較対象となる日本人」の報酬額に変更があった場合、「日本人の報酬と同等以上」の決まりにしたがって、特定技能外国人の報酬額も変更する場合があります。 このような場合に、新しく作成した「特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4)」を添付して変更届出書を提出する必要があります。 つまり、「特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4)」の提出が必要なのは、「比較対象の日本人の報酬を変更したことにともなって、特定技能外国人の報酬を変更した」場合だけです。 比較対象の日本人の報酬とは無関係に特定技能外国人の報酬を変更した場合は、「特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4)」は不要です。
8)退職に関する事項
雇用条件書の「Ⅷ.退職に関する事項」欄に変更が生じた場合、届出が必要です。
共通の書類以外、添付書類は不要です。
9)その他(社会保険の加入状況・労働保険の適用状況 、 健康診断、帰国担保措置)
その他、保険の加入状況、適用状況に変更があった場合は届出が必要です。
労健保険の事業所となった場合には、以下のいずれかの資料を添付する必要があります。
特定技能所属機関の
- 労働保険料等納付証明書(未納なし証明)
- 労働保険関係成立届の写し
- 労働保険の概算保険料申告書の写し 等
また、変更時点で次回の定期健康診断が1年以上後に指定された場合にも届出が必要です。
2「雇用契約が終了したとき」に提出する書類
雇用契約の終期が到来し、雇用契約が終了した場合は届出が必要です。
届出には、特定技能雇用契約の終了又は締結に係る届出書 (参考様式第3-1-2号) を提出します。
一時帰国等を理由に雇用契約を一旦終了する場合は、再雇用の予定があっても雇用契約終了の届出が必要です。
ただし、契約期間満了前の雇用契約終了となるため、先に受入れ困難に係る届出を提出する必要があります。
契約期間満了前に雇用契約を終了する場合の届出については、「随時届出の書き方(4)受入れを継続することが困難になったとき」のページでくわしく解説しているので、合わせて確認してください。
3「新たな雇用契約を締結したとき」に提出する書類
新たな雇用契約を締結したときは届出が必要です。
「新たな雇用契約を締結したとき」というのは、一度雇用契約を終了して届出をおこなったあと、在留期間内に同一の特定技能所属機関と再度雇用契約を締結した場合のことです。
具体的な例としては、以下のような場合が想定されます。
- 一時帰国を理由に一旦雇用契約を終了して届出をおこない、再入国後に再度雇用した場合
- 外国人の意思で退職し契約終了の届出をおこなったが、転職先が見つからずに退職した特定技能所属機関で再度雇用した場合
- 雇用契約の終期が到来し、雇用条件書で「契約の更新はしない」としていたため契約終了の届出をおこなったが、もう1年働いてもらうために再度雇用した場合
「新たな雇用契約を締結したとき」には、以下の書類を提出します。
「新たな雇用契約を締結したとき」に提出する書類
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他の特定技能所属機関と新たに雇用契約を締結した場合は転職になるため、この届出ではなく「在留資格変更許可申請」をおこなう必要があります。
なお、建設分野の特定技能外国人が在留期間中に同一の特定技能所属機関と再度雇用契約を締結する場合は、建設特定技能受入計画の変更申請をおこない、新たに認定を受ける必要があります。
そのため建設分野でこの届出をおこなう場合は、上記の書類に加えて以下の添付書類が必要です。
- 新たな特定技能雇用契約に係る建設特定技能受入計画認定書の写し
「特定技能雇用契約に係る届出」提出書類の書き方
ここからは、上述した提出書類の書き方をひとつずつ解説していきます。
「雇用条件を変更したとき」に提出する【共通書類】の書き方
雇用条件の変更事項9項目について、共通して提出する届出書と添付書類の書き方を解説します。
特定技能雇用契約の変更に係る届出書(参考様式第3-1-1号)
「① 届出の対象者」の欄は、雇用契約変更の届出の対象となる特定技能外国人について記入します。対象の外国人が複数いる場合は「別紙のとおり」と記入し、「参考様式第3-1(別紙)」を使用します。
「② 特定技能雇用契約の変更内容」の「a 変更年月日」は、変更内容が適用された日を記入します。適用される日より前に届出書を提出することはできないので注意してください。
「b 変更事項」は、変更した内容すべて(複数選択可)にチェックを入れます。項番は、合わせて提出する「雇用条件書(参考様式第1-6号)」に対応しています。
「③ 届出機関」の「法人番号」は、国税庁が指定した13桁の番号を記入します。個人事業主の場合は空欄にします。
「担当者」には、届出書の作成を担当した特定技能所属機関の役職員の氏名を記入します。
「署名」欄は印字ではなく、本人による手書きの署名が必要です。
雇用条件書 (参考様式第1-6号)
上欄の「日付」「対象となる特定外国人の氏名」「特定技能所属機関の名称・住所等」を記入し、それ以外は変更のある箇所のみ記入します。(変更がない箇所は空欄のままにします)
「1.雇用契約期間」は、以下のような変更があった場合に記入します。
- 当初の契約よりも期間を短くした場合
- 従前に提出した雇用条件書の「2.契約の更新の有無」について、
- 「契約の更新はしない」「更新する場合があり得る」から「自動的に更新する」に変更する場合
- 「更新する場合があり得る」にしていて、更新の判断基準を変更する場合
「Ⅱ.就業の場所」は、以下のように就業場所を変更した場合に記入します。
- 他の事業所へ転勤した場合
- 雇用条件書に記載していない事業所とかけ持ちで勤務する場合
- 派遣の場合で、従前に提出した派遣計画書に記載していない派遣先・就労場所で就労する場合、新たな就労場所を追加する場合
- 雇用形態を「派遣雇用」から「直接雇用」に変更した場合
- 雇用形態を「直接雇用」から「派遣雇用」に変更した場合(派遣開始の約2カ月前に、あらかじめ雇用契約を締結し届出が必要)
「Ⅲ.従事すべき業務の内容」は、以下のような場合に記入します。
- 複数分野の指定を受けている外国人で、分野の主従関係を変更した場合
- 分野別運用要領に定める「特定技能外国人が従事する業務」に従事しないことになった場合
- 同一分野内で従事する業務区分を変更した場合
「Ⅳ.労働時間等」は、以下のような場合に記入します。
- 変形労働時間制を採用・廃止した場合
- 固定の始業・終業時間から交代制に変更した場合
- 交代制から固定の始業・終業時間に変更した場合
- 「3.所定労働時間数」「4.所定労働日数」を変更した場合
- フルタイムではなくなった場合
「Ⅴ.休日」は、当初の契約より年間合計休日日数が減少した場合のみ記入します。
「Ⅵ.休暇」は、次の場合に記入します。
- 当初の契約より休暇日数が減少した場合
- 従前に提出した雇用条件書の「1.年次有給休暇」の「継続勤務6か月未満の年次有給休暇」または「2.その他の休暇」(有休・無給にかかわらず)のいずれかを廃止する場合
「Ⅶ.賃金」は、以下のような変更がある場合に記入します。
- 「1.基本賃金」の額を変更する場合(最低賃金の改訂に伴う変更も対象)
- 「1.基本賃金」を月給制から日給制、日給制から月給制に変更する場合
- 「2.諸手当」に記載した手当を変更する場合
- 「3.所定時間外、休日又は深夜労働に対して支払われる割増賃金率」を減らす場合
- 固定残業代制度の導入・廃止をする場合
- 「6.賃金支払方法」を「口座振込」か ら「通貨払」に変更する場合
- 「7.労使協定に基づく賃金支払時の 控除」を「無→有」「有→無」に変更する場合
- 「8.昇給」「9.賞与」「10.退職 金」について、「有→無」に変更する場合
- 「8.昇給」の金額を変更する場合
- 「9.賞与」「10.退職金」を減額する場合
- 「11.休業手当」を「有→無」に変更する場合、支給率を減らす場合
「1.基本賃金 」の変更については、当初の契約で「8.昇給」に昇給する旨を記載していて記載どおりに昇給した場合や、最低賃金の改定に伴う変更も届出の対象になります。
「4.賃金締切日」「5.賃金支払日」を変更した場合、基本的には届出の必要はありませんが、変更時点で給与の支払い間隔が1カ月以上あいてしまう場合は届出が必要です。
「Ⅸ.その他」は、以下のような変更があった場合に記入します。
- 健康保険・厚生年金保険の適用事業所となった場合、適用事務所ではなくなった場合
- 労健保険の適用事業所となった場合
- 届出の時点で「3.初回の定期健康診断」の「(その後__ごとに実施)」に、1年を超える期間を指定した場合
「受取人(署名)」は、雇用条件書を作成後、対象となる外国人が十分に理解できる言語に翻訳・説明し、十分に理解したことを確認したうえで外国人本人に署名してもらいます。
賃金の支払(参考様式第1-6号 別紙)
「1.基本賃金」は、雇用条件書に記入した金額を記入します。
「2. 諸手当の額び計算方法」は、諸手当の額を減額する場合に記入します。
「4. 賃金支払時に控除する項目」は、控除する項目を増やす場合に記入します。
添付書類「賃金の支払い(参考様式第1-6別紙)」は、全ての場合に提出が必要なわけではなく、一定の場合にのみ提出が必要です。 一定の場合とは、「諸手当の額を減額する場合」や「賃金支払時に控除する項目 を増やす場合」などです。 特定技能外国人が負担する実費が増加したり、新たに実費が発生するなど、外国人にとって不利益になる変更の場合は「賃金の支払い(参考様式第1-6別紙)」が必要になることがありますが、該当しない場合は提出不要です。 介護分野で就業場所を変更した場合や、農業・漁業分野で派遣雇用についての変更があった場合の添付書類の書き方を解説します。 「① 事業所の名称」は、届出対象の外国人が新たに就業する事業所の名称を記入します。 「② 施設・事業の類型 」は、指定通知書等を参照し、別紙の「施設種別コード表」から施設を選択して記入します。 「③ 指定等を受けた行政庁」は、②に記入した種別コードに対応する施設・事業の指定等を受けた行政庁を記入します。 「(表1)」には、届出対象である、新しい派遣先に派遣する外国人について記入します。 「(表2)」には、従前に提出した派遣計画書に記載していない派遣先に変更する場合や追加する派遣先について記入します。 記入欄が足りない場合は「別紙のとおり」として別紙に記入し添付します。 「業務内容」には、派遣先で従事する業務内容、業務に必要とされる能力等を具体的に記入します。 「就業場所」には、主な就業場所を記入します。出張などで就業場所が異なることがある場合は、その旨を一番下の「備考」欄に記入します。 「組織単位」は、業務の類似性や関連性がある組織であって、その組織の長が業務の配分や労務管理上の指揮監督権限を有している組織を記入します。 「派遣期間」の欄には次のことを記入します。 「就業日及び就業時間」欄の「就業日」には、就業する曜日または日を具体的に記入します。 「安全及び衛生」の欄には、以下にあげる事項のうち、業務を遂行するにあたり派遣労働者の安全・衛生を確保するために必要な事項に関して就業条件を記載します。 「時間外労働・休日労働」の欄は、労働派遣契約において時間外労働・休日労働ができると定めた場合に日数や時間を記入します。 「派遣先責任者」については、派遣先の責任者を選任する必要がない場合でも、選任されていれば記入します。 「福利厚生施設の利用等」の欄は、派遣先に雇用されている労働者が通常利用している以下のものについて、派遣労働者の福祉の増進のための便宜を提供すると労働者派遣契約で定めた場合に、その定めを記載します。 「苦情の処理・申出先」の欄は、労働者派遣契約で定めた苦情の申し出先を、派遣元と派遣先それぞれに記入します。 「派遣契約解除の場合の措置」の欄は、派遣契約を解除した場合の、派遣労働者の雇用の安全を図るための措置を具体的に記入します。 (例) 「派遣先が派遣労働者を雇用する場合の紛争防止措置」の欄は、労働者派遣が終了したあとに派遣先が派遣労働者を雇用する場合に、労働者派遣契約の当事者間の紛争を防止するための措置を記入します。 (例) 「① 法人番号」は、国税庁が指定した13桁の番号を記入します。派遣先が個人事業主の場合は空欄にします。 「② 氏名又は名称」は、派遣先が個人事業主で屋号がある場合は「氏名(屋号)」と記入します。 「① 過去5年以内に6か月以上労働者を雇用した実績」は、特定技能外国人を含む全ての労働者の雇用人数を記入します。 「② 前1年以内の特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者の離職状況」については、 「自発的離職」には、労働者の自己都合で転職や退職した人数を記入します。 「非自発的離職」には、派遣先の都合により離職した人数を記入します。(派遣先の経営上の理由で人員整理のために希望退職を募集した、退職勧奨をおこなったなど) 「外国人労働者」とは、就労系の在留資格で在留する外国人のことですが、「特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者」とあるため、特定技能・技能実習・特定活動の在留資格を持つ外国人のことを指しています。 「③ 前1年間の行方不明者数」には、特定技能外国人と、技能実習実施者である場合は技能実習生の行方不明者の発生数を記入します。 「うち責めに帰すべき事由による行方不明」については、派遣先の責めに帰すべき理由で行方不明者が発生した場合は「該当あり」に、派遣先の責めによらない理由で行方不明者が発生した場合は「該当なし」にチェックをします。 ②③ともに、該当者がいない場合は「0(名)」と記入します。 画像は1枚目と4枚目の画像です。 「派遣先の概要書」は農業と漁業でそれぞれの書式がありますが、記入する内容は同じです。 「派遣先の概要書:農業(参考様式第1-14号)」の書き方を参考にしてください。 派遣会社と派遣先事業者が締結した労働者派遣契約書を提出します。 労働保険料等納付証明書、社会保険料納入証明申請書、法人税・住民税の納税証明書等を提出します。 「派遣先事業者誓約書」は、農業分野で派遣先を変更・追加する場合に提出します。(漁業分野は提出不要です) 派遣先事業者の氏名又は名称、所在地を記入します。 「2 次のいずれかに該当する者であること」は、該当する番号に〇で囲み、日付等を記入します。 誓約事項を確認し、最後に誓約書の作成年月日と作成責任者の氏名を記入します。 在留資格申請の際に、外国人の報酬を決定するうえで「比較対象となる日本人」として申告した日本人の賃金改正に伴って外国人の賃金が変更になった場合には、新たな「特定技能外国人の報酬に関する説明書」を提出する必要があります。 「1 申請人に対する報酬」と「2 比較対象となる日本人労働者がいる場合」の欄を記入します。 書き方は在留資格申請の際と同様ですが、「報酬」は変更後の金額を記入します。 「特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4)」についても、必ず提出が必要なわけではなく、一定の場合にのみ提出が必要です。 一定の場合とは、「在留申請時に比較対象となる日本人の賃金改定に伴うことが理由で、特定技能外国人も変更になった場合」です。 詳しく説明します。特定技能外国人の報酬は、「同種の業務をおこなう日本人の報酬と同等以上」という決まりがあります。 「日本人の報酬と同等以上」であることを証明する書類として、「特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4号)」という書類を、ビザ申請の時に提出しますが、その書類の中に「比較対象となる日本人」の報酬額などを記載する欄があります。 その後、この「比較対象となる日本人」の報酬額に変更があった場合、「日本人の報酬と同等以上」の決まりにしたがって、特定技能外国人の報酬額も変更する場合があります。 このような場合に、新しく作成した「特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4)」を添付して変更届出書を提出する必要があります。 つまり、「特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4)」の提出が必要なのは、「比較対象の日本人の報酬を変更したことにともなって、特定技能外国人の報酬を変更した」場合だけです。 比較対象の日本人の報酬とは無関係に特定技能外国人の報酬を変更した場合は、「特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4)」は不要です。 雇用契約の終期が到来し、雇用契約が終了した場合に提出する届出書の書き方を解説します。 「① 届出の対象者」の欄は、雇用契約終了の届出の対象となる特定技能外国人について記入します。対象の外国人が複数いる場合は「別紙のとおり」と記入し、「参考様式第3-1(別紙)」を使用します。 「② 届出の事由 」は「特定技能雇用契約の終了」にチェックを入れ、「A 契約の終了」の欄を記入します。 「a 雇用契約終了年月日」には退職日を記入します。 「b 終了の事由」は「01.雇用契約の終期到来」にチェックを入れます。 「c 委託契約を締結していた登録支援機関」の欄は、登録支援機関に「① 届出の対象者」の支援の全部を委託していた場合に登録支援機関について記入します。(特定技能雇用契約の終了に伴い、その外国人の委託契約も終了するため) 「 委託契約終了年月日」には、対象の外国人についての委託契約終了日を記入します。 「登録番号」には、登録支援機関の登録番号を記入します。 「法人番号」は、国税庁が指定した13桁の番号を記入します。個人事業主の場合は空欄にします。 「B 新たな契約の締結」の欄には記入しません。 「③ 届出機関」の欄は、特定技能所属機関について記入します。 「法人番号」は、国税庁が指定した13桁の番号を記入します。個人事業主の場合は空欄にします。 「本届出書作成者の署名」は、届出書を作成した特定技能所属機関の役職員の方が、印字ではなく手書きで署名します。 一度雇用契約を終了して雇用契約終了の届出をおこなったあとに、同一の特定技能所属機関と再度雇用契約を締結した場合に提出する書類の書き方を解説します。 雇用契約を終了したときの届出書と同じ書類ですが、記入する箇所が少し異なります。 「② 届出の事由」は「新たな特定技能雇用契約の締結」にチェックを入れ、「A 契約の終了」の欄は記入せず「B 新たな契約の締結」の欄を記入します。 その他は上述の雇用契約を終了した場合と同じです。 新たに雇用契約を締結した際の「特定技能雇用契約書」の写しを提出します。 上欄に特定技能所属機関の名称と特定技能外国人の氏名を記入します。 下欄には、印字ではなく手書きで特定技能所属機関と特定技能外国人がそれぞれ署名をします。所属機関は捺印も必要です。 新たに雇用契約を締結する際に雇用条件書も新たに作成し、その写しを提出する必要があります。 「1.雇用契約期間」には新たな契約期間を記入します。 「入国予定日」は、すでに入国している場合は記入不要です。 「2.契約の更新の有無」を選択してチェックを入れます。 「更新する場合があり得る」にチェックをした場合は、更新の判断基準として該当するものにチェックを入れます。 「Ⅱ.就業の場所」には、実際に就業する事業所について記入します。就業する事業所が複数ある場合は主な就業場所を記入し、その他の事業所について記入したもの(任意書式)を添付します。 「Ⅳ.労働時間等」の欄は、始業・終業の時間が固定の場合は(1)に時間を記入します。 「変形労働時間制」の場合は「変形労働時間制:( )単位の変形労働時間制」にチェックを入れ、( )内に労働時間を調整する単位を記入します。 交代制の場合は「交代制として、次の勤務時間の組合せによる。」にチェックを入れ、外国人が勤務する時間や適用日を記入します。 「Ⅶ.賃金」の「1.基本賃金 」は「月給」「日給」「時間給」を選択してチェックを入れ、固定残業代を除いた基本給を記入します。 「2.諸手当」の欄は、固定残業代や手当があれば記入します。 「3.所定時間外、休日又は深夜労働に対して支払われる割増賃金率」の欄は、固定残業代を超えた時間外労働の割増賃金率を記入します。 「受取人(署名)」欄は、新たに雇用契約を結んだ外国人が十分に理解できる言語で雇用条件書を翻訳・説明をし、十分に理解したことを確認した上で外国人本人に手書きで署名してもらいます。 「賃金の支払(参考様式第1-6号 別紙)」の「1.基本賃金」には、雇用条件書の「Ⅶ.賃金」の「1.基本賃金 」に記入した金額を記入します。 「2.諸手当の額及び計算方法」の欄は、雇用条件書の「Ⅶ.賃金」の「2.諸手当」に手当を記入した場合に金額と計算方法を記入します。 「4.賃金支払時に控除する項目」は、賃金から控除するものの項目に金額を記入します。 では、作成した書類はどこに、いつまでに、どうやって提出すればよいでしょうか。 随時届出は、届出事由が発生してから14日以内に届出書を提出しなくてはいけません。 届出事由の発生というのは、例えば雇用契約を変更する場合、変更することが決まった日ではなく雇用契約の変更日から14日以内ということです。 届出書は郵送でも提出できますが、郵送の場合は14日以内の消印ではなく14日以内に地方入管に届いていなくてはいけません。 届出をおこなわなかった場合や虚偽の届出をした場合、特定技能外国人の受入れができなくなるだけでなく、罰金刑や過料を科されることもあります。 すでに特定技能ではなくなっている場合や帰国してしまった場合でも、特定技能として在留しているときに発生した事由については届出をおこなう必要があります。 届出事由が生じた日から14日が過ぎてしまっても、届出書を提出することはできます。 遅延した理由を記載した理由書(任意書式)を添付して、必ず届け出るようにしましょう。 随時届出書は次の3つの方法で提出することができます。 ※身分を証明する文書とは、日本の機関が発行した身分証明書、健康保険証などのことです。 申請等取次者証明書を所持していれば、その写しでも問題ありません。 届出書の提出先は、特定技能所属機関の住所(法人の場合は、登記上の本店所在地)を管轄する地方出入国在留管理局・支局です。 管轄地域と地方局・支局の住所は下の表で確認してください。 特定技能所属機関がおこなう随時届出の一つである「特定技能雇用契約に係る届出」について、提出する書類と書類の書き方を解説しました。 随時届出は外国人を受入れる所属機関がおこなわなくてはいけないため、うっかり届出を忘れてしまわないよう届出が必要な事項に目を通しておくことをおすすめします。 以上、ご参考になれば幸いです。 執筆者:行政書士 小澤道明(東京都行政書士会所属 登録番号:第16080367)「就業の場所」を変更した場合の添付書類の書き方
介護分野における業務を行わせる事業所の概要書 (介護分野参考様式第1-2号)
派遣計画書(参考様式第1-12号)
就労条件明示書(参考様式第1-13号)
派遣先の概要書:農業(参考様式第1-14号)
【1 派遣先の概要】
【2 派遣労働者の受入れ実績等】
派遣先の概要書:漁業(参考様式第1-15号)
労働者派遣契約書
派遣先に係る労働・社会保険及び租税の法令を遵守していることを証明する資料
派遣先事業者誓約書(参考様式第11-2号)(農業のみ)
「賃金」を変更した場合の添付書類の書き方
特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4号)
「雇用契約が終了したとき」に提出する書類の書き方
特定技能雇用契約の終了又は締結に係る届出書 (参考様式第3-1-2号)
「新たな雇用契約を締結したとき」に提出する書類の書き方
特定技能雇用契約の終了又は締結に係る届出書 (参考様式第3-1-2号)
(新たな契約に係る)特定技能雇用契約書の写し(参考様式第1-5号)
(新たな契約に係る)雇用条件書の写し(参考様式第1-6号)(参考様式第1-6号 別紙)
随時届出はいつどこに提出する?
随時届出の提出時期
届出書の提出方法
届出書の提出先
地方局・支局名
担当部門/住所
管轄する都道府県
札幌出入国在留管理局
【持参による提出先】
〒060-0042
札幌市中央区大通西12丁目
札幌第3合同庁舎
【郵送による提出先】
〒062-0931
札幌市豊平区平岸1条22丁目2-25北海道
仙台出入国在留管理局
審査第一部門
〒983-0842
仙台市宮城野区五輪1-3-20
仙台第二法務合同庁舎青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
東京出入国在留管理局
就労審査第三部門
〒108-8255
東京都港区港南5-5-30茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県 東京都、新潟県、山梨県、長野県
東京出入国在留管理局 横浜支局
就労・永住審査部門
〒236-0002
神奈川県横浜市金沢区鳥浜町10-7神奈川県
名古屋出入国在留管理局
就労審査第二部門
〒455-8601
愛知県名古屋市港区正保町5-18富山県、石川県、福井県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
大阪出入国在留管理局
就労審査部門
〒559-0034
大阪府大阪市住之江区南港北 一丁目29番53号滋賀県、京都府、大阪府、奈良県、和歌山県
大阪出入国在留管理局 神戸支局
審査部門
〒650-0024
兵庫県神戸市中央区海岸通り29
神戸地方合同庁舎兵庫県
広島出入国在留管理局
就労・永住審査部門
〒730-0012
広島県広島市中区上八丁堀2-31
広島法務総合庁舎内鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
高松出入国在留管理局
審査部門〒760-0011
香川県高松市浜ノ町72-9
高松出入国在留管理局浜ノ町分庁舎徳島県、香川県、愛媛県、高知県
福岡出入国在留管理局
就労・永住審査部門
【持参による提出先】
〒810-0073
福岡県福岡市中央区舞鶴3-5-25
福岡第1法務総合庁舎
【郵送による提出先】
〒814-0005
福岡県福岡市早良区祖原14-15福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
福岡出入国在留管理局 那覇支局
審査部門
〒900-0022
沖縄県那覇市樋川1-15-15
那覇第一地方合同庁舎沖縄県
まとめ