2019年4月の特定技能制度開始に伴い、登録支援機関の登録申請の受付も開始されたことから、2024年に登録の更新を迎える登録支援機関も多いかと思います。
当初、入管のホームページには「更新申請は、登録の有効期間満了日の2カ月前までに行なってください」と記載がありました。
しかし、2023年8月、特定技能制度が始まってから初めての更新申請をおこなう登録支援機関が出てくることを受けて、更新申請ができる期間が、満了日の「2か月前まで」から「4カ月前まで」に変更となりました。
今回は、初めて更新を迎える登録支援機関の方に向けて、更新申請の方法や申請時期について、特定技能を専門とする行政書士がわかりやすく解説します。
登録支援機関の登録更新申請とは
登録支援機関として特定技能所属機関から委託を受けて外国人の支援をおこなうには、出入国在留管理長官の登録を受けなくてはいけません。
登録には有効期間が定められているため、支援業務を継続するには期間ごとに更新の申請をおこない、再度登録支援機関としての審査を受ける必要があります。
登録支援機関の有効期間
登録支援機関の登録の有効期間は、登録を受けてから5年間です。
支援業務を継続していく場合は更新申請をおこない、登録の継続が認められるとまた5年間登録支援機関として業務をおこなうことができます。
すでに支援業務を廃止している場合は「支援業務の廃止に係る届出」(随時届出)をおこなう必要があります。
登録更新申請をせずに有効期間が経過してしまったら?
更新申請を忘れて有効期間満了日を過ぎてしまった場合、登録が失効してしまいます。
新たな支援業務がおこなえなくなるだけでなく、現在特定技能所属機関から委託を受けている支援業務もおこなうことができなくなります。必ず有効期間満了の前に手続きをおこなうようにしましょう。
なお、「登録支援機関の有効期限が過ぎた場合でも現在支援している特定技能外国人の支援は引き続きおこなうことができる」という誤った情報が出回っていますが、これは誤りです。
有効期限が過ぎた時点で登録支援機関ではなくなるので、当該登録支援機関が特定技能外国人の支援をしたとしても、それは法令で義務付けられている支援をおこなったことにはなりません。
そして、法令で義務付けられている支援をおこなっていない特定技能所属機関は、「1号特定技能外国人支援計画」の基準を満たさないことになるので、受入れ中の特定技能外国人を受入れることができなくなります。
したがって、支援の全部を委託している登録支援機関の有効期限が過ぎた場合は、別の登録支援機関に支援の全部を委託する必要があります。
これが入管の見解です。
登録更新申請ができる期間
登録の更新をする場合、申請できる期間は以下のように限られています。
「有効期間満了日の6カ月前の初日〜4カ月前の月の月末まで」
特定技能制度が始まった当初は有効期間満了日の2カ月前までに更新申請をおこなうこととされていましたが、2023年8月に入管のホームページで申請時期が上記のように変更されています。
2カ月前までに申請したとしても、3カ月前の月末を過ぎていると有効期間内の更新はできないので、間違えないよう注意が必要です。
申請期間の例
例1)有効期間満了日が2024年5月1日の場合:2023年11月1日〜2024年1月31日までに申請
例2)有効期間満了日が2024年6月30日の場合:2023年12月1日〜2024年2月29日までに申請
下のカレンダーを見ていただくとわかりやすいと思いますが、「有効期間満了日の6カ月前の初日〜4カ月前の月の月末まで」ということは、更新申請ができる期間は3カ月間ということになります。(矢印の期間が更新申請が可能な期間)
登録更新申請ができる期間に申請しなかった場合はどうなる?
では、「有効期間満了日の6カ月前の初日〜4カ月前の月の月末まで」に更新申請をしなかった場合はどうなるのでしょうか。
入管のホームページには、「有効期限が到来する月(対象月)の3カ月前の月末を経過して申請する場合には、登録の有効期間内に登録の更新が認められない」と記載があります。
つまり、上記の例でいうと、満了日が5月1日の場合は2月29日、満了日が6月30日の場合は3月31日を過ぎて申請をしても更新が認められないということになります。(上のカレンダーの☆印)
さらに、3カ月前の月末を過ぎてから申請した場合は納めた申請手数料も返還されないため、新規に登録申請することが強く推奨されています。
更新時期を過ぎてしまっても再度新規の登録申請をすることが可能ですが、審査に2カ月ほどかかるため有効期間満了前に登録を受けられない場合もあるでしょう。
有効期間の満了日までに更新を受けられない(新規の登録ができない)場合、特定技能所属機関から委託を受けていても支援業務を継続することはできません。
新規で登録申請をすることになってしまった場合、申請が混み合っていたり書類に不備があったりした場合にはさらに期間を要してしまうため、支援業務に支障が出ないようできるだけ早く申請をおこなうことをおすすめします。
なお、更新の対象となる登録支援機関には、有効期限の7カ月前頃にお知らせのハガキが送付されます。(申請時にハガキの提出は不要です)
登録更新申請の方法
更新申請に必要な書類と申請方法は新規の登録申請と同じですが、忘れてしまっていることもあると思いますので再度確認しておきましょう。
提出書類
登録更新申請に必要な書類は以下のとおりですが、申請者が法人の場合と個人事業主の場合で添付する書類が異なるものもあります。
様式は、出入国在留管理庁のホームページからダウンロードできます。
(法人・個人事業主 共通)
- 登録支援期間の登録(更新)申請に係る提出書類一覧
- 手数料納付書(省令様式 別記第83号の2様式)
- 登録支援機関登録の更新申請書(省令様式 別記第29号の15様式)
- 登録支援機関概要書(参考様式第2-2号)
- 登録支援機関誓約書(参考様式第2-1号)
- 支援責任者の就任承諾書及び誓約書(参考様式第2-3号)
- 支援責任者の履歴書(参考様式第2-4号)
- 支援担当者の就任承諾書及び誓約書(参考様式第2-5号)
- 支援担当者の履歴書(参考様式第2-6号)
- 支援委託手数料に係る説明書(予定費用)(参考様式第2-8号)
- 法施行規則第19条の21第3号ニに該当することの説明書(該当する場合のみ)
- 法施行規則第19条の21第3号ニに該当することの説明書に係る立証資料(該当する場合のみ)
- 返信用封筒(440円分の切手を貼付)
(申請者が法人の場合)
- 登記事項証明書
- 定款または寄附行為の写し
- 役員の住民票の写し(マイナンバーの記載なし、本籍地の記載あり)
- 登録支援機関の役員に関する誓約書(参考様式第2-7号)(住民票の写しての提出を省略する役員がいる場合)
(申請者が個人事業主の場合)
- 住民票の写し(マイナンバーの記載なし、本籍地の記載あり)
- 主たる事務所の住所に係る立証資料(申請書に記入した住所が住民票の写しと異なる場合)
申請方法
更新申請は、申請者の本店または主たる事務所の所在地を管轄する地方出入国在留管理局又は同支局で手続きをおこないます。
申請書類は窓口に持参、または郵送での提出が可能です。(オンライン申請はできません)
登録支援機関の登録更新申請に必要な費用
ここからは、登録更新申請にかかる手数料、申請代行を依頼した場合の費用などをご紹介します。
登録更新申請の手数料
更新申請の際に納付する手数料は、11,100円です。
新規の登録申請のときと同じように、手数料納付書に11,100円分の収入印紙を貼付して提出します。
更新申請の時期が過ぎてしまって再度新規の登録申請をおこなう場合は28,400円の手数料が必要になってしまうため、更新申請を忘れないようにしましょう。
収入印紙は郵便局や法務局、金券ショップなどで購入できます。
切手代等
審査結果を知らせる通知書は郵送で交付されるため、次のいずれかの返信用封筒を提出する必要があります。
- 簡易書留用の切手440円分を貼付した角形2号封筒
- レターパックプラス(赤色:520円)
登録支援機関登録更新申請の代行
「業務が忙しい」「申請に慣れていない」などで更新申請が難しい場合は、書類の作成や申請の代行を行政書士等に依頼すれば事務手続きの負担を減らすことができます。
当事務所では、登録支援機関の更新申請の書類作成代行をおこなっています。
「日々の業務で忙しく、更新の手続までなかなか手が回らない」とか、「期限までに手続きを完了できるか心配」といったお悩みがある登録支援機関様は、一度ご相談ください。
当事務所の代行費用
登録支援機関登録更新申請 書類作成代行報酬 | 110,000円(消費税込み) |
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収入印紙代(実費) | 11,100円 |
合計 | 121,100円 |
更新申請のお問い合わせ・ご相談は「お電話」または「メール」でお受けしております。
まとめ
登録支援機関の登録更新申請について解説しました。
2019年4月に特定技能制度がスタートすると同時に、登録支援機関の登録申請も開始されました。
登録期間は5年間なので、2024年5月には登録期間満了を迎える登録支援機関も出てくることと思います。
更新申請は、以前は満了日の2カ月前までにおこなうこととされていましたが、2023年8月に「有効期間満了日の6カ月前の初日〜4カ月前の月の月末まで」と変更になり、更新手続きの時期が早まりました。
支援業務の継続を希望する場合は、入管からお知らせのハガキが届いたタイミングで更新手続きについて確認しておくことをおすすめします。
以上、ご参考になれば幸いです。
執筆者:行政書士 小澤道明(東京都行政書士会所属 登録番号:第16080367)