特定技能【建設】のよくある質問

特定技能の建設分野では2022年8月の閣議決定により、それまで19区分に限定されていた職種に塗装や溶接、防水施工などを加え、新たに3つの区分に再編されました。

これによりすべての職種が受入れ対象となる、幅広く業務に従事できるなどメリットも多く、建設分野では特定技能外国人の受入れが増えています。

ここでは、特定技能の受入れサポートの実績を持つ行政書士が、建設分野のよくある質問についてわかりやすく回答します。

Table of Contents

建設分野で従事できる業務

Q:建設分野の受入れ対象となる職種を教えてください。

A:建設分野では2022年8月に業務区分の統合がおこなわれたため、現在は建設業に関わるすべての作業が特定技能の受入れ対象です。

区分統合の前は19の区分がありましたが、そこに含まれていなかった職種を新たに加え、「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3区分に再編されました。

それぞれの区分の業務内容と想定される関連業務については、下の表で確認してみてください。

業務区分 土木
業務の定義 指導者の指示・監督を受けながら、土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業等に従事
業務内容 ・型枠施工             ・コンクリート圧送
・トンネル推進工          ・建設機械施工
・土工               ・鉄筋施工
・とび               ・海洋土木
・その他、土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業
関連業務 ・原材料・部品の調達・搬送
・機器・装置・工具等の保守管理
・足場の組立て、設備の掘り起こしその他の後工程の準備作業
・足場の解体、設備の埋め戻しその他の前工程の片付け作業
・清掃・保守管理作業
・その他、主たる業務に付随して行う作業
業務区分 建築
業務の定義 指導者の指示・監督を受けながら、建築物の新築、増築、改築若しくは移転又は修繕若しくは模様替に係る作業等に従事
業務内容 ・型枠施工                ・左官
・コンクリート圧送         ・屋根ふき
・土工               ・鉄筋施工
・鉄筋継手             ・内装仕上げ
・表装               ・とび
・建築大工             ・建築板金
・吹付ウレタン断熱
・その他、建築物の新築、増築、改築若しくは移転、修繕、模様替又は係る作業
関連業務 ・原材料・部品の調達・搬送
・機器・装置・工具等の保守管理
・足場の組立て、設備の掘り起こしその他の後工程の準備作業
・足場の解体、設備の埋め戻しその他の前工程の片付け作業
・清掃・保守管理作業
・その他、主たる業務に付随して行う作業
業務区分 ライフライン・設備
業務の定義 指導者の指示・監督を受けながら、電気通信、ガス、水道、電気その他のライフライン・設備 の整備・設置、変更又は修理に係る作業等に従事
業務内容 ・電気通信             ・配管
・建築板金             ・保温保冷
・その他、ライフライン・設備の整備・設置、変更又は修理に係る作業
関連業務 ・原材料・部品の調達・搬送
・機器・装置・工具等の保守管理
・足場の組立て、設備の掘り起こしその他の後工程の準備作業
・足場の解体、設備の埋め戻しその他の前工程の片付け作業
・清掃・保守管理作業
・その他、主たる業務に付随して行う作業

関連業務というのは、試験等によって専門性を確認されない業務であり、同じ業務に従事する日本人が通常従事する仕事でなくてはいけません。

また、関連業務だけに従事することは認められていません。

Q:技能実習から移行した場合、従事できるのは技能実習でおこなった作業だけですか?

A:技能実習でおこなった作業以外にも従事することが可能です。

技能実習から特定技能に無試験で移行できるのは、技能実習の職種・作業と関連のある業務区分だけです。

2022年8月に特定技能の業務区分が統合されたことで区分内に多くの職種が含まれるようになり、同じ区分内の職種であれば技能実習で従事していない作業もおこなうことができるようになりました。

ですから技能実習にはない職種についても、移行した区分内に含まれる職種であれば従事することが可能です。

Q:技能検定を受けて特定技能を取得した場合、従事できるのは試験区分の業務だけですか?

A:技能検定3級を受けて特定技能を取得した場合、合格した技能検定の職種だけでなく、取得した業務区分内のすべての職種に従事可能です。

例えば、技能検定3級(とび)に合格して土木で特定技能を取得すれば、土木区分内のすべての業務に従事できます。

また、技能検定3級(とび)は土木と建築の両方で特定技能が取得可能です。

Q:土木で受入れた外国人が建築現場で鋼構造物工事に従事することは可能ですか?

A:可能です。まず、鋼構造物工事とは、鉄骨工事や橋梁工事など鉄骨を制作・加工し組立てる工事のことで、土木と建築区分に分類されています。

ですから、どちらの特定技能外国人でも鋼構造物工事に従事できますし、土木現場でも建築現場でも、作業現場に関わらず従事可能です。

引用:国土交通省「建設分野における外国人材の受入れ」

 

上の図を見ていただくとわかりやすいと思いますが、土木で特定技能を取得した外国人が土木区分内の業務を行うのであれば、土木現場でも建築現場でも作業現場を問われることはありません。それは建築区分でもライフライン・設備区分でも同じことです。

Q:鋼構造物工事業で溶接や塗装作業等を用いた工場での鉄骨の製作、加工のみに従事させることは可能ですか?

A:鉄骨の製作や加工のみに従事させることはできません。

溶接や塗装は土木/建築区分の作業になるので、鉄骨の製作や加工作業に従事することは可能です。

ですが、鉄骨の組み立てを一切おこなわずに鉄骨の製作や加工のみに従事する場合は製造業に該当するため、建設分野の特定技能として受入れることはできません。

特定技能外国人の基準

Q:特定技能1号を取得するにはどうしたらいいですか。

A:建設分野で特定技能1号を取得するには、技能実習から移行するか試験に合格する必要があります。

建設分野の試験

次の日本語試験と技能試験に合格すると、特定技能を取得することができます。

日本語試験:国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上

技能試験:建設分野特定技能1号評価試験または技能検定3級

※技能試験も、業務区分に対応した試験区分があります。

技能実習からの移行

技能実習2号を良好に修了した場合に、特定技能に移行することができます。

技能実習の職種・作業と特定技能の業務区分に関連があれば(対応関係にあれば)、日本語試験と技能試験を受けずに移行できます。

技能実習の職種・作業と特定技能の業務区分の対応関係については、下の表で確認してみてください。

 特定技能業務区分 技能実習
職種 作業
土木 さく井 パーカッション式さく井工事作業
ロータリー式さく井工事作業
ライフライン・設備 建築板金 ダクト板金作業
内外装板金作業
ライフライン・設備 冷凍空気調和機器施工 冷凍空気調和機器施工作業
建築 建具製作 木製建具手加工作業
建築 建築大工 大工工事業
土木/建築 型枠施工 型枠工事作業
土木/建築 鉄筋施工 鉄筋組立て作業
土木/建築 とび とび作業
建築 石材施工 石材加工作業
石張り作業
建築 タイル張り タイル張り作業
建築 かわらぶき かわらぶき作業
建築 左官 左官作業
ライフライン・設備 配管 建築配管作業
プラント配管作業
ライフライン・設備 熱絶縁施工 保温保冷工事作業
建築 内装仕上げ施工 プラスチック系床仕上げ工事作業
カーペット系床仕上げ工事作業
鋼製下地工事作業
ボード仕上げ工事作業
カーテン工事作業
建築 サッシ加工 ビル用サッシ施工作業
建築 防水施工 シーリング防水工事作業
土木/建築 コンクリート圧送施工 コンクリート圧送工事作業
土木 ウェルポイント施工 ウェルポイント工事作業
建築 表装 壁装作業
土木 建設機械施工 押土・整地作業
積込み作業
掘削作業
締固め作業
建築 築炉 築炉作業
土木/建築 鉄工 構造物鉄工作業
土木/建築 塗装 建築塗装作業
鋼橋塗装作業
土木/建築/ライフライン・設備 溶接 手溶接
半自動溶接

 

技能実習の一つの職種に複数の業務区分が対応している場合は、複数の区分で特定技能を取得することが可能です。(いずれかのみでも可)

以前は、技能実習にあっても特定技能にはない職種がありましたが、2022年8月に業務区分が再編されてからは技能実習のすべての職種で移行可能になりました。

また、下の表の特定技能にしかない職種についても、移行した区分内で従事することが可能です。

特定技能業務区分 技能実習にはない
特定技能の対象職種
土木 トンネル推進工
土木/建築 土工
ライフライン・設備 電気通信
建築 鉄筋継手
建築 吹付ウレタン断熱
土木 海洋土木

 

対応していない職種に移行する場合、例えば、技能実習を「とび」で修了している外国人がライフライン・設備に移行する場合などは、日本語試験は免除されますが、対応した区分の技能試験に合格する必要があります。

Q:特定技能の試験区分を教えてください。

A:試験を受けて特定技能1号を取得する際の試験区分についてですね。

取得したい特定技能の業務区分に対応した特定技能1号評価試験、または級技能検定3級に合格しなくてはいけません。

業務区分と試験区分の関係については、下の表で確認してみてください。

業務区分 技能試験区分
建設分野特定技能1号評価試験 技能検定3級
土木 土木 ・型枠施工
・鉄筋施工
・とび
・造園
・塗装
建築 建築 ・型枠施工
・左官
・かわらぶき
・鉄筋施工
・内装仕上げ施工
・とび
・建築大工
・建築板金
・塗装
・ブロック建築
・広告美術仕上げ
ライフライン・設備 ライフライン・設備 ・配管
・建築板金
・冷凍空気調和機器施工

例えば、技能検定3級(型枠施工)に合格した場合、対応する土木と建築両方の区分で特定技能を取得することが可能です。

特定技能2号の基準

Q:建設分野では特定技能2号になれますか?

A:なれます。特定技能2号の分野拡大が検討されているところですが、現在特定技能2号がある分野は「建設」と「造船・舶用工業」だけです。

建設分野では、2022年12月末時点で8人の特定技能2号外国人が活躍しています。

特定技能2号になると在留期間の更新が無制限になり、家族を日本に呼んで一緒に生活することも可能になります。

Q:どうしたら特定技能2号になれますか?

A:建設分野で特定技能2号を取得するには、試験の合格に加え、一定の実務経験が必要です。

ちなみに、特定技能2号になるための水準を満たしていると認められれば、特定技能1号を経なくても特定技能2号になることができます。

では、特定技能2号になるための水準について解説しましょう。

特定技能2号を取得するための試験

建設分野特定技能2号評価試験、または技能検定1級相当に合格する必要がありますが、日本語試験の要件はありません。

業務区分に対応した技能試験については下の表で確認してみてください。ただし、現時点では特定技能2号評価試験は実施されていないため、技能検定を受験することになります。

業務区分 技能試験区分
建設分野特定技能2号評価試験 技能検定
土木 土木 1級

・型枠施工
・コンクリート圧送施工
・鉄筋施工
・とび
・ウェルポイント施工
・鉄工(構造物鉄工作業)
・塗装
・さく井
・造園

単一等級

・路面表示施工

建築 建築 1級

・型枠施工
・左官
・コンクリート圧送施工
・かわらぶき
・鉄筋施工
・内装仕上げ施工
・表装
・とび
・建築大工
・建築板金
・熱絶縁施工(吹付硬質ウレタンフォーム断熱工事作業)
・石材加工
・タイル張り
・築炉
・鉄工(構造物鉄工作業)
・塗装
・防水施工
・建具製作
・カーテンウォール施工
・自動ドア施工
・サッシ加工
・ガラス施工
・ブロック建築
・樹脂接着剤注入施工
・広告美術仕上げ
・厨房設備施工

単一等級

・枠組壁建築
・エーエルシーパネル施工
・バルコニー施工

ライフライン・設備 ライフライン・設備 1級

・配管
・建築板金
・熱絶縁施工(保温保冷工事作業)
・冷凍空気調和機器施工

 

特定技能2号を取得するための実務経験

特定技能2号を取得するためには、どれくらいの実務経験が必要なのでしょうか。

特定技能2号になるには、ただその業務に従事したという経験年数だけではなく、建設現場において複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者(班長)としての実務経験が必要です。

建設分野では、建設キャリアアップシステムによる能力評価を実施しており、その評価はレベル1〜4までありますが、特定技能2号を取得するために必要な実務経験はレベル3相当です。

レベルごとの評価基準は職種によって異なるため、詳細を知りたい方は国土交通省のホームページで確認してみてください。

ここでは、例として「とび」と「塗装」についてご紹介しておきます。

「とび」の基準(レベル3):職長および班長としての就業日数が2年(430日)以上

「塗装」の基準(レベル3):職長および班長としての就業日数が1年(215日)以上

対応する能力評価基準がない職種は、「職長および班長としての就業日数は3年(勤務日数 645 日)以上」と定められています。

建設分野特有の要件

Q:特定技能を受入れるための要件は何ですか?

A:特定技能の受入れ機関となるには、次のような全分野共通の要件と建設分野特有の要件を満たす必要があります。

全分野共通の要件:適切な雇用契約の締結・履行、適切な支援計画と支援の実施など

建設分野特有の要件:国土交通大臣に建設特定技能受入計画の認定を受ける

Q:受入計画の認定を受けるにはどうすればよいですか?

A:建設特定技能受入計画について国土交通大臣の認定を受けるには、以下の7つの基準を満たす必要があります。

建設特定技能受入れ計画の認定基準

  • 受け入れ企業が建設業法第3条の許可を受けていること
  • 建設キャリアアップシステムに登録していること
  • 特定技能外国人受け入れ事業実施法人に加入すること
  • 報酬が日本人と同等以上で安定的に賃金を支払うこと
  • 契約上の重要事項について、外国人が理解できる言語の書面で事前説明をおこなうこと
  • 受入れ後、国土交通大臣が指定する講習や研修を受講させること
  • 国または適正就労管理機関による受入計画の適正な履行に係る巡回指導を受入れること

Q:建設キャリアアップシステムとはどういうものですか?

A:建設キャリアアップシステム(CCUS)は、建設技能者の就業実績や資格、社会保険の加入状況を登録し、技能を適正に評価したり工事の品質向上や現場作業の効率化に役立てたりするシステムです。

建設キャリアアップシステムの能力評価に応じて、優良技能者への手当支給の取組みも進んでいます。

受入機関、特定技能外国人ともに登録する必要があります。

Q:特定技能外国人受入事業実施法人とはなんですか?

A:建設分野では、低賃金・保険未加入・劣悪な労働環境など、ルールを守らないブラック企業の排除や失踪・不法就労を防止するために、国土交通大臣の登録を受けた特定技能外国人受入事業法人が設立されました。

特定技能を受入れるには、特定技能外国人受入れ事業実施法人である一般社団法人建設技能人材機構(JAC)に間接的または直接的に加入することが必要です。

2023年4月現在、JACの正会員である建設業者団体は50あり、この建設業者団体の会員である場合はJACに間接的に加入しているとみなされ、JACに年会費を支払う必要がありません。

正会員である建設業者団体の会員にならない場合は、JACに直接的に加入して賛助会員となり年会費24万円の負担が必要です。

直接加入でも間接加入でも、特定技能外国人を受入れた場合には1人あたり12,500〜20,000円(年額15〜24万円)の受入負担金がかかります。

Q:特定技能の受入れ人数に制限はありますか?

A:あります。特定技能のほとんどの分野では受入れ人数に制限を設けていませんが、建設と介護分野だけはその業務の特性を踏まえ、受入れできる人数に制限があります。

建設分野では、さまざまな作業現場に出向いて業務に従事することが想定されるため、監督者が外国人を適切に指導・育成するために一定の常勤職員が必要とされているのです。

そのため、特定技能外国人と特定活動(外国人建設就労者)の合計が受入機関の常勤職員の総数を超えないことと定められています。

常勤職員に技能実習生、特定技能外国人、外国人建設就労者は含まれません。

特定技能外国人の報酬

Q:試験に合格して特定技能になった外国人の報酬は、どのような日本人と比較して決めればいいですか?

A:特定技能外国人の報酬については、同等の技能を有する日本人が従事する場合と同等以上を安定的に支払うと定められています。

特定技能1号評価試験や技能検定3級に合格して特定技能になった場合は、3年または5年程度の経験を有するものとして、同じ業務に従事する日本人と比較します。

Q:技能実習から移行した外国人の報酬は、どれくらいの経験年数の日本人と同等なのですか?

A:技能実習から移行した外国人の場合、技能実習2号修了者は3年、3号修了者は5年の実習を修了しているため、それぞれ3年、5年程度の経験者として取り扱います。

ですから、技能実習生の最終年度の報酬を上回ることはもちろん、試験を受けて特定技能になろうとする外国人やそれと同等の経験(3〜5年)を積んだ日本人の報酬と比較して適切に報酬額を設定しなくてはいけません。

また、技能実習で従事した職種と異なる職種に従事する場合の経験年数の考え方については、下の図を見ていただくとわかりやすいと思います。

引用:国土交通省「建設分野における外国人材の受入れ」 (クリックで拡大できます)

 

簡単に説明すると、特定技能の業務区分は共通の技能が認められる作業を区分しています。

ですので、技能実習から異なる作業に移行したとしても、対応する区分の作業に従事する場合は「技能実習の経験年数と特定技能の経験年数の合計」と「特定技能で同じ作業に従事する日本人の経験年数」は同じということになります。

ただし、技能実習修了者も特定技能1号評価試験合格者も日本人技能者も、以下にあげるような資格取得や条件達成時には追加手当などによる差異を設けることが推奨されています。

  • 職長に就任
  • 従事する業務に関連した技能検定の取得
  • 社内制度による検定に合格
  • 特定の従業員のみが従事する業務に従事

 

以上、特定技能建設分野のよくある質問について回答しました。

ご参考になれば幸いです。

回答者:行政書士 小澤道明(東京都行政書士会所属 登録番号:第16080367)

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