
※この記事では「製造3分野」(素形材産業分野、産業機械製造業分野、電気・電子情報関連産業分野)「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」に特化してお伝えします。他分野では要件等が異なることもありますのでご注意ください。
※令和4年4月26日の閣議決定により、製造3分野が1つの分野に統合されました。詳しくは、【速報】製造3分野が統合 新分野に再編(素形材・産業機械・電気電子情報関連産業分野)をご覧ください。
世界に誇る高い技術力を持つ日本の製造業界ですが、バブル経済崩壊による大規模なリストラや不景気感によるマイナスイメージ、技術者の高齢化などによって労働力不足が加速しているのが現状です。
東京オリンピックの建設需要の高まりにとともに、材料や機械を提供する製造業の需要も増えているなか、大企業・中小企業をあわせた製造業界の94%以上で人手不足が顕在化しているとの調査報告もあります(※)。
※「製造業における人手不足の現状および外国人材の活用について」(経済産業省)
そのような中、外国人技能実習生を迎え、彼らを大きな戦力としている企業もあります。
しかしせっかく仕事を覚え、日本の生活に慣れても、実習期間が終われば母国に帰ってしまうのが技能実習生。
次々に新しい技能実習生を一から育てる…というサイクルに、現場の負担感が増しているとお感じではないでしょうか。
特定技能ビザの新設により、技能実習2号を良好に修了した外国人は、特定技能ビザに移行して引き続き5年間雇用することができるようになりました。
あらたに外国人雇用をお考えの方や、今いる技能実習生を引き続き雇用したいとお考えの担当者様向けに、特定技能の専門家行政書士がわかりやすく解説します。
目次
特定技能ビザとは?
特定技能ビザとは、製造3素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野(以下、製造業分野)を含む、人手不足が深刻な1412業種の特定産業分野において、特定技能1号は最長5年間、2号は更新に上限のない就労を認めた在留資格(ビザ)です。
(製造業分野の統合により、現在は全12分野となっています)
(2023年6月の閣議決定により、これまで建設分野と造船・舶用工業分野の溶接区分のみが対象だった特定技能2号の受入れが、介護分野を除くすべての分野・区分で可能になりました)
※「在留資格」とは外国人が日本で仕事をするために必要な資格のことで一般的には「ビザ」と呼ばれています。
これまでも就労可能なビザはありましたが、単純労働が制限されていたり、(単純労働ができても)週28時間までという時間制限があったりと、人手不足を解消するためのビザはありませんでした。
こうした中、深刻な人手不足を背景に、製造3分野を含む14種(現在は12種)の特定産業分野にかぎり、外国人材が単純労働を含め幅広い業務に従事できるビザが2019年4月に新設されました。
これが、「特定技能ビザ」です。
※特定技能の説明として、政府の公式資料では今でも「単純労働」の文言は使用されていません。あくまでも「一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人」という表現が使用されています。しかし一般的には上記のように単純労働可能なビザと理解されています。
特定技能外国人を受け入れ可能な製造業とは
特定技能での「製造業分野」とは以下の4分野に大別されます。
・素形材産業
・産業機械製造業
・電気・電子情報関連産業
・飲食料品製造業
このうち、「素形材産業」、「産業機械製造業」、「電気・電子情報関連産業」については関連する作業が多く、一つの受け入れ機関で複数の分野の受け入れが増えたことなどから1つの分野に統合されました。
統合前の3分野で、それぞれ受入れ可能な日本標準産業分類は下の表の通りです。
統合前
経済産業省「製造業における特定技能外国人材の受入れについて」
統合後は、製造業分野で受入れができる日本標準産業分類が以下のように変更になりました。
統合後

引用:経済産業省「製造業における特定技能外国人材の受入れについて」
以前から、対象の産業のなかでめっき加工に従事することは可能でしたが、2022年10月の制度変更をもってめっき関連の事業者も受入れ可能な事業所として産業分類に加わりました。(日本標準産業分類:2462、2464、2469)
「産業を行っている」実態として、以下を満たしている必要があります
特定技能外国人を受け入れる事業場で、直近1年間に「製造品出荷額等(※)」が発生していること。
※製造品出荷額等:製造品出荷額、加工賃収入額、くず廃物の出荷額及びその他収入額の合計。消費税及び酒税、たばこ税、揮発油税及び地方揮発税を含みます。
製造品の出荷とは、その事業所が所有する原材料で製造されたもの(原材料を他企業の国内事業所に支給して製造させたものを含む)を、直近1年間にその事業所から出荷した場合をいいます。
同一企業の他事業所へ引き渡したものや、自家使用されたもの、委託販売も含みます。
また主たる事業でなくても、産業分類上の製品による出荷額が発生していれば該当します。ただし、特定技能外国人を受け入れられるのは、該当する製造ライン上だけです。
なお「産業を行っている」かどうかは、企業ごとではなく、事業所単位で該当性を確認する必要があります。
製造業分野における特定技能外国人活用その1「従事できる業務内容」
特定技能外国人が従事できる業務内容を、製造業分野が統合される前と後でどのように変化したか解説します。
まずは、統合前の3分野の業務をそれぞれ見ていきましょう。
素形材産業で従事できる作業
素形材産業には、以下の作業が含まれます。
すべての作業において、指導者の指示が理解できる、または自分の判断で作業ができることが求められます。
- 鋳造(鋳鉄・鋳物・鋳造):溶かした金属を型に流し込み、製品を製造する作業。
- 鍛造(ハンマ型・プレス型):金属を打撃・加圧することで強度を高め、目的の形状にする作業。
- ダイカスト(ホットチャンバ・コールドチャンバ):溶融金属を金型に圧入して、高い精度の鋳物を短時間で大量に生産する作業。
- 機械加工(旋盤・フライス・数値制御・マシニングセンタ):各種工作機械や、切削工具を用いて金属材料等を加工する作業
- 金属プレス加工:金型を用いて金属材料にプレス機械で荷重を加えて曲げ、成形、絞り等を行い成形する作業
- 工場板金:各種工業製品に使われる、金属薄板の加工・組立てを行う作業
- めっき(電気・溶接亜鉛)
- アルミニウム陽極酸化処理:アルミニウムの表面を酸化させて、酸化アルミニウムの皮膜を生成させる作業
- 仕上げ(治工具・金型・機械組立)
- 機械検査
- 機械保全
- 塗装(建築・金属・鋼橋・噴霧)
- 溶接(手溶接・半自動溶接)
産業機械製造業で従事できる作業
産業機械製造業には、以下のような作業が含まれます。
すべての作業において、指導者の指示が理解できる、または自分の判断で作業ができることが求められます。
- 鋳造(鋳鉄・鋳物・鋳造):溶かした金属を型に流し込み、製品を製造する作業。
- 鍛造(ハンマ型・プレス型):金属を打撃・加圧することで強度を高め、目的の形状にする作業。
- ダイカスト(ホットチャンバ・コールドチャンバ):溶融金属を金型に圧入して、高い精度の鋳物を短時間で大量に生産する作業。
- 機械加工(旋盤・フライス・数値制御・マシニングセンタ):各種工作機械や、切削工具を用いて金属材料等を加工する作業
- 金属プレス加工:金型を用いて金属材料にプレス機械で荷重を加えて曲げ、成形、絞り等を行い成形する作業
- 鉄工
- 工場板金:各種工業製品に使われる、金属薄板の加工・組立てを行う作業
- めっき(電気・溶接亜鉛)
- 仕上げ(治工具・金型・機械組立)
- 機械検査
- 機械保全
- 電子機器組み立て(携帯電話やパソコンの基盤等)
- 電気機器組み立て(モーター・変圧器・配電盤・制御盤・開閉制御器具・コイル制作)
- プリント配線板製造(電子回路や電気回路の配線の一部を印刷して展開した板の設計・製造)
- プラスチック成形(圧縮・射出・インフレーション・ブロー)
- 塗装(建築・金属・鋼橋・噴霧)
- 溶接(手溶接・半自動溶接)
- 工業包装(物品を輸送、保管することを主目的として施す包装)
電気・電子情報関連産業で従事できる作業
電気・電子情報関連産業には、以下のような作業が含まれます。
すべての作業において、指導者の指示が理解できる、または自分の判断で作業ができることが求められます。
- 機械加工(旋盤・フライス・数値制御・マシニングセンタ):各種工作機械や、切削工具を用いて金属材料等を加工する作業
- 金属プレス加工:金型を用いて金属材料にプレス機械で荷重を加えて曲げ、成形、絞り等を行い成形する作業
- 工場板金:各種工業製品に使われる、金属薄板の加工・組立てを行う作業
- めっき(電気・溶接亜鉛)
- 仕上げ(治工具・金型・機械組立)
- 機械保全
- 電子機器組み立て(携帯電話やパソコンの基盤等)
- 電気機器組み立て(モーター・変圧器・配電盤・制御盤・開閉制御器具・コイル制作)
- プリント配線板製造(電子回路や電気回路の配線の一部を印刷して展開した板の設計・製造)
- プラスチック成形(圧縮・射出・インフレーション・ブロー)
- 塗装(建築・金属・鋼橋・噴霧)
- 溶接(手溶接・半自動溶接)
- 工業包装(物品を輸送、保管することを主目的として施す包装)
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業の業務区分と従事できる業務
製造3分野の業務で解説したように、これまでは業務区分が細分化されていたことで特定技能外国人が従事できる業務の範囲が限られていました。
その後、2022年8月の閣議決定により業務区分が19区分から3区分に統合されたため、従事できる業務が幅広くなり、多能工として活躍することが期待されています。
統合前と統合後の業務区分は下の表の通りです。
統合前(旧区分)
旧 19区分(統合前) | |||
---|---|---|---|
鋳造 | 鍛造 | ダイカスト | 機械加工 |
金属プレス加工 | 鉄工 | 工場板金 | めっき |
アルミニウム陽極酸化処理 | 仕上げ | 機械検査 | 機械保全 |
電子機器組立て | 電気機器組立て | プリント配線板製造 | プラスチック成形 |
塗装 | 溶接 | 工業包装 |
統合前は、鋳造区分なら鋳造の業務にしか従事できませんでした。
統合後(新区分)
新 3区分(統合後) | 旧区分の対応関係 |
---|---|
機械金属加工 |
|
電気電子機器組立て |
|
金属表面処理 |
|
統合後は区分内に複数の業務が含まるようになり、すべてに従事することが可能です。
また、同じ区分の業務に従事する日本人が通常従事している作業は、関連業務として付随的に従事することができます。
関連業務として想定されるのは、以下のような作業です。
- 原材料・部品の調達・搬送作業
- 各職種の前後工程作業
- クレーン・フォークリフト等運転作業
- 清掃・保守管理作業
なお、これらの関連業務に専ら従事させることはできません。
特定技能1号と2号の業務の違い
2023年6月の閣議決定により、製造業分野も特定技能2号の対象分野となりました。
製造業分野における、特定技能1号と2号の業務の違いは次の通りです。
【特定技能1号】・・・指導者の指示を理解し、または自らの判断により、業務区分内の作業に従事
【特定技能2号】・・・複数の技能者を指導しながら業務区分内の作業に従事し、工程を管理
特定技能2号には、熟練した技能を身につけ現場の技能者を束ねる監督者として活躍することが求められています。
製造3分野おける特定技能ビザ人材活用その2「受け入れ企業の基準と要件」
受入れ企業の要件として「製造業分野で受入れができる日本標準産業分類に該当すること」をあげましたが、その他に、12分野共通の基準と分野に特有の基準があるのでそれぞれ解説します。
12分野で共通して満たすべき基準
特定技能12分野すべてに共通している受入れ機関の基準には、以下のようなものがあります。
- 分野ごとに定める水準を満たす技能を要する業務に従事させること
- 所定労働時間は、通常の労働者と同等であること
- 日本人労働者の報酬の額と同等以上であること
- 一時帰国の申出があった場合は有給休暇を取得できるよう配慮すること
- 労働、社会保険、租税に関する法令を遵守していること
- 非自発的離職や行方不明を発生させていないこと
- 1号特定技能外国人を支援する体制を整備していること
分野に特有の基準 「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」への加入
製造業分野に限らず、特定技能外国人を受入れる機関は分野別の協議会構成員になる必要があります。
製造業分野で協議会に加入する場合のポイントを見ていきましょう。
分野別特定技能協議会とは?
特定技能ビザの外国人就労を受け入れられる12分野が、それぞれの業種ごとに特定技能制度の適切な運用を図るために、所管省庁・受入れ企業・業界団体・関係省庁等で構成する機関です。
複数の事業所で特定技能外国人を受入れている場合、企業単位ではなく、受入れている事業所単位で入会する必要があります。
製造業分野では受入れ機関から支援の委託を受けている登録支援機関も構成員となることができますが、入会は任意です。
2023年度は入会費や年会費等の費用は不要ですが、2024年度以降については決まり次第、協議・連絡会や経済産業省のホームページ・ポータルサイトで告知されます。
加入のタイミング
他分野では、初めて特定技能外国人を受け入れてから4カ月以内に加入することとされていますが、製造業では在留資格申請の前に「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」の構成員となっていることが必要になりました。(2021年1月改正)
以上は、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業の3分野全てに共通の要件です。
3分野のうち、自社がどの分野に該当するかは注意が必要です。例えば過去に以下の様な事例がありました。
A社は自社で特定技能外国人を受入れるために、「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」に加入することにしました。そこで自社が製造している製品を日本標準産業分類で見たところ、「素形材産業」に該当していました。その後「素形材産業」として加入手続きの申込みをおこなったところ、数か月後に経済産業省から連絡があり、A社が製造している製品は「素形材産業」には該当せず「産業機械製造業」に該当する可能性があると言われました。そして再度「産業機械製造業」として加入手続きの申込みをしたところ、数か月後に加入が認められました。
このように、日本標準産業分類上の分類は自社でも正確に把握していないことがあります。「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」の加入手続きには数か月を要する場合もありますので、自社が製造している製品が日本標準産業分類上のどの分類に該当するのか事前に確認することをお勧めします。
参考:経済産業省 製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会の入会手続きの一部改正について(PDF)
製造分野における特定技能外国人活用その3「外国人側の要件」
次に、雇用される外国人本人の要件を、特定技能1号と2号に分けてお伝えします。
特定技能1号になるための要件
特定技能1号ビザには学歴や実務経験の要件はなく、「試験合格ルート」と「技能実習を修了ルート」の2通りがあります。
試験合格ルート
「試験に合格するルート」は ①日本語能力試験と②製造分野特定技能1号評価試験の2つの試験に合格する必要があります。
【ポイント】
2020年4月以降、国内試験の受験資格が拡大され、在留資格を有する外国人は一律に受験できるようになりました。
以前は、「中長期在留者および過去に中長期在留者として在留していた経験を有する方」に限られていましたが、過去に中長期在留歴がなくても「短期滞在」ビザで入国し、受験することが可能です。
①日本語能力試験
- 「国際交流基金日本語基礎テスト JFT-Basic」
- 「日本語能力試験 JLPT」N4以上
JFT-Basicは、「文字と語彙」「会話と表現」「聴解」「読解」から構成される試験で、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力があるかどうかを判定します。
JLPTのN4は、以下のように基本的な日本語を理解することができるレベルです。
【読む】基本的な語彙や漢字で書かれた身近な話題の文章を、読んで理解することができる。
【聞く】日常的な場面で、ややゆっくり話される会話をほぼ理解できる。
②製造分野特定技能1号評価試験
製造分野の技能試験は19区分に分かれています。業務区分の統合に伴い、19区分から3区分に試験区分が変更されました。
特定技能外国人を従事させたい業務の試験区分を選んで受験することができます。
2023年度の試験は統合に伴う移行期間として、3区分の中で19の技能から選択が可能です。
その場合でも、同じ区分内のすべての業務に従事することができます。

引用(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)ポータルサイト「製造分野特定技能 1 号評価試験の変更点のお知らせ」
上の表を見ていただくとわかるように、「機械金属加工」と「電気電子組立て」には機械加工、仕上げ、プラスチック成形など同じ技能が含まれています。
ですが、機械金属加工の区分で機械加工の試験に合格した場合、電気電子機器組立て区分で機械加工の業務をおこなうことはできません。
同じ技能でも異なる業務区分で働く場合には、その区分で改めて試験に合格する必要があります。
試験区分の他、2023年度の製造分野特定技能1号評価試験から変更になった点を説明します。
【試験時間】
変更前・・・学科60分、実技60分
変更後・・・学科・実技合わせて80分
【海外試験における言語】
変更前・・・試験実施国の言語
変更後・・・日本語
【受験料・合格証明書発行手数料】
変更前・・・受験料2,000円、手数料なし
変更後・・・受験料8,000円、手数料15,000円
試験の実施スケジュールやサンプル問題などは、(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)ポータルサイトで見ることができます。
技能実習修了ルート
製造の技能実習生2号として実習を2年10カ月以上良好に修了した外国人で、技能実習2号移行対象職種から、特定技能1号対象業務区分への移行を希望する場合は、無試験で特定技能ビザに切り替えることが可能です。
簡単に言えば、技能実習2号の受け入れ先企業で、同じ業務に引き続き従事するために特定技能に切り替えるような場合は、技能試験・日本語試験ともに免除されます。
一度母国に帰った元・技能実習生の外国人も、技能実習2号を良好に修了していれば特定技能外国人として受け入れが可能です。
試験免除で特定技能1号へ移行できる技能実習2号の職種と業務区分は以下のようになります。
特定技能の業務区分 | 技能実習2号の職種 |
---|---|
機械金属加工 | 鋳造・鍛造・ダイカスト・機械加工・金属プレス加工・鉄工・工場板金・仕上げ・プラスチック成形・機械検査・機械保全・電気機器組立て・塗装・溶接・工業包装 |
電気電子機器組立て | 機械加工・仕上げプラスチック成形・プリント配線板製造・電子機器組立て・電気機器組立て・機械検査・機械保全・工業包装 |
金属表面処理 | めっき・アルミニウム陽極酸化処理 |
技能実習2号を良好に修了したとして試験が免除されるのは、以下のような場合です。
- 免除対象の職種・作業の技能実習2号修了時に技能検定3級に合格、またはこれに相当する技能実習評価試験(専門級)の実技試験に合格している
- 技能検定3級・技能実習評価試験(専門級)の実技試験に合格していない場合、実習実施者が作成した実習中の出勤状況や技能等の修得状況、生活態度等の評価調書により、技能実習2号を良好に修了したと認められる
なお、実習実施者が同じ外国人を特定技能として引き続き受入れる場合、過去1年以内に技能実習法の「改善命令」を受けていなければ、実技試験の合格証の写しや評価調書の提出を省略することができます。

技能実習と異なる区分の業務に従事する場合や、製造ではない職種の技能実習から移行する場合、日本語試験は免除されますが、希望する区分の製造分野特定技能1号評価試験に合格する必要があります。
特定技能2号になるための要件
特定技能2号ビザを取得するには、「特定技能2号評価試験ルート」と「技能検定ルート」の2つがあり、どちらも実務経験が3年以上必要です。
では、それぞれのルートについて見ていきましょう。
特定技能2号評価試験ルート
以下の3つすべてを満たす必要があります。
- ビジネス・キャリア検定3級取得(いずれか)
- 生産管理プランニング区分
- 生産管理オペレーション区分
- 製造分野特定技能2号評価試験の合格(いずれか)
- 機械金属加工区分
- 電気電子機器組立て区分
- 金属表面処理区分
- 国内に拠点を持つ企業で、製造業の現場における3年以上の実務経験を有する
2号評価試験の試験区分ごとに含まれる技能は1号評価試験と同じです。
技能検定ルート
以下の両方を満たす必要があります。
- 技能検定1級取得(いずれか)
(鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、金属プレス加工、鉄工、工場板金、めっき、アルミニウム陽極酸化処理、仕上げ、機械検査、機械保全、電子機器組立て、電気機器組立て、プリント配線板製造、プラスチック成形・塗装・工業包装) - 国内に拠点を持つ企業で、製造業の現場における3年以上の実務経験を有する
ビジネス・キャリア検定、技能検定の実施日程は中央職業能力開発協会のホームページで確認することができます。
製造分野における特定技能外国人活用その4「雇用の流れ」
企業側と外国人側の要件が整ってから外国人に就労してもらうまでの流れは以下の通りです。
【Step0】 登録支援機関に支援を委託するかどうかを検討。
委託する場合は、登録支援機関との委託契約を結びます。
※次のStepの「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」への加入申請時に情報入力が必要なため
▼
【Step1】 「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」への加入
▼
【Step2】 人材募集・面接
日本人の雇用と同様に、外国人人材の採用活動を行います。
※特定技能ビザ申請の要件を確認
▼
【Step3】 雇用契約
法令を遵守(※)し、雇用契約を締結します。
※給与や休日などの待遇が日本人と同様である上に、外国人社員ならではの出入国のサポートや生活状況の把握なども必要です。
▼
【Step4】 支援計画の策定
特定技能外国人を雇用する場合、外国人が日本で安定して生活し働くことができるよう、法律によって定められている支援を行う必要があります。(➔当サイト内「【特定技能はじめの一歩】これだけ読めば制度の全体像がつかめます!」で詳しく解説しています。)
事前ガイダンスから住居の確保、就労後の3カ月に1回の面談など10項目が義務付けられています。
この支援は外部の登録支援機関に委託することも可能です。
▼
【Step5】 ビザ申請
いよいよ必要な書類をそろえて、出入国在留管理庁へビザの申請を行います。
書類に不備があると追加資料が要求され余分に時間がかかることになるので、慎重に準備をしてください。
▼
【Step6】 入国または就労開始
外国人雇用における注意点とアドバイス
ここまでご説明してきたように、製造分野で特定技能外国人を雇用するには、企業側にも外国人側にも様々な要件や準備が必要となります。また入管法や労働法など、広い法律知識が必要とされる場面もあります。
これらを日常業務に加えて自社でおこなうことは難しいとお考えの事業者様もたくさんいらっしゃいます。
当事務所ではこれから製造分野で特定技能外国人の雇用をお考えの事業者様に対して、各種法令知識に基づいたコンサルサービス、ビザ申請書類作成代行サービス、雇用後の支援サービス等をご提供しています。
特定技能関連業務に特化した経験豊富な行政書士事務所が御社をしっかりサポートいたします。
お困りの方はぜひご相談ください。
業務の流れ
ご相談からサポートまでは以下の流れとなります。
1.お問合せ
初回のご相談は無料です。
お電話またはお問い合わせフォームからお問い合わせください。
2.ご相談
御社の状況を丁寧にヒアリングいたします。
3.お見積もり
サービスにかかる費用をお見積もりいたします。
4. ご契約・ご入金
前金制となっております。
5.業務に着手
典型的なケースでの料金のめやす
以下は典型的なケースでの料金のめやすです。
事前調査
【調査費用】
70,000円(税込み77,000円)から
他の事務所では通常「ビザ申請」を受任した後に必要資料を収集します。
どの事務所も、ビザ申請受任前に条件を満たしているか簡単なヒアリングはおこないますが、実際に必要資料を収集した後で問題(特定技能の条件を満たしていない)がわかるケースも少なくありません。解決可能な問題ならいいですが、解決が難しく途中で断念してしまうこともあります。
このような事態を防ぐために、当事務所では業界でも珍しい「事前調査」のサービスをおこなっています。
【事前調査サービスの内容】
・御社の事業が特定技能14業種12分野に該当するか
※製造業をおこなっている事業者の全てが特定技能「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」分野に該当するとは限りません。
・税金、社会保険等の条件をそなえているか
・採用予定者が特定技能ビザの条件をそなえているか
※すでに他のビザで日本に在留中の外国人が特定技能に変更する場合、在留中の状況が審査されます。例えば「留学」で在留中にアルバイトのしすぎがあったり、税金等の未納があるとビザは許可されません。これらを事前に調査いたします。
・支援体制を満たしているか。(自社支援が可能か)
※雇用後の支援は自社でおこなうか、登録支援機関に委託するかを選べます。事業者の規模によっては自社で支援をおこなった方がコストが安くなる場合がありますが、自社支援が認められるためには一定の条件を満たしている必要があります。この条件を満たしているかどうか、事前に調査をおこないます。
・その他、特定技能外国人を雇用するための諸条件を満たしているか。
特定技能ビザ申請
【特定技能ビザ申請書類の作成・提出代行費用】
150,000円(税込み165,000円)から (「事前調査」をご依頼いただいている場合は80,000円(税込み88,000円)から)
当事務所は、出入国在留管理局に届出をした「申請取次者」の資格をもっているので、ビザ申請書類の作成から提出までを代行することができます。事業者様や特定技能外国人は入管に行く必要はありません。
特定技能外国人支援委託
【委託料】
特定技能外国人1名あたり30,000円(税込み33,000円)/月
当事務所は登録支援機関として法務省から登録を受けています。登録番号:19登-000994
支援業務を委託されたい事業者様には当事務所で支援委託を承ります。
※自社で支援をご希望の事業者様には、こちらから支援委託を無理強いすることはありません。
特定技能所属機関顧問
【顧問料】
要相談
特定技能所属機関の規模や受入れ人数によって異なります。ヒアリングの後具体的な費用をお見積もりいたします。
手続きに必要な期間のめやす
「事前調査」1か月程度
「特定技能ビザ申請」2か月程度
初回のご相談時にご準備頂くとスムーズなもの
- 会社案内(事業の概要がわかる資料)
- 法人登記簿謄本(履歴事項全部証明書)※コピーでも結構です
- 決算報告書(貸借対照表、損益計算書)