【1問1答】技能実習3号から特定技能1号に移行する場合の注意点

技能実習2号を良好に修了した外国人は、特定技能試験に合格することなく、無試験で特定技能1号に移行できる場合があります。

新たに試験を受ける必要がなく、仕事にも慣れているので、技能実習2号を修了後、特定技能1号に移行するケースはとても多いです。

では、技能実習3号から特定技能1号になるためには、どのような点に注意すればいいのでしょうか。

この点について、特定技能の実務経験豊富な行政書士が、わかりやすく回答します。

Q:当社では現在技能実習3号がいます。この実習生を特定技能1号に変更したいと考えています。この場合の注意点を教えてください。(製造業 Y社)

A:Y社さん、ご相談ありがとうございます。技能実習3号で在留中の外国人材を、特定技能1号として引き続き受けれたい、ということですね。

技能実習「2号」から特定技能1号に移行する場合の注意点については、以前に1問1答でご説明しました。

技能実習「3号」から特定技能1号への移行の場合は、2号からの移行とは違った注意点がありますので、ご説明いたします。

まずは、技能実習2号と3号の違いについて、簡単に整理しましょう。

技能実習は1号、2号、3号と種類があります。1号が1年間、2号が2年間、3号が2年間で合計5年間日本で実習という形で技能を習得します。

しかし、3号になるためには一定の条件が必要です。

技能実習を受け入れる方法として、企業単独型と団体監理型の2種類ががあります。

団体監理型の場合は、「監理団体」が実習生を監理します。

そして監理団体は、特定監理事業と一般監理事業に分けられます。

特定監理事業は技能実習1号と2号までの監理しかできませんが、一般監理事業では1号、2号に加えて技能実習3号を監理することができます。

つまり、団体監理型で技能実習3号を受入れるためには、監理団体が「一般管理事業」の許可を受けている必要があります。(いわゆる「優良な監理団体」と言われているものです)

また、監理団体だけでなく、実際に実習生が実習をする会社(これを実習実施機関といいます)も、「優良な実習実施者」として認められている必要があります。

では、「優良な監理団体」や「優良な実習実施者」には、どうすればなれるのでしょうか?

これは、ポイント制で判断されます。

過去の実習生の受入れ状況の実績等から加点されて、120点中6割以上を取れば、「優良な監理団体」や「優良な実習実施者」になることができます。

以上は、監理団体や受入れ機関(実習実施者)側の要件ですが、技能実習3号になるためには、実習生側にも要件があります。

  • 技能検定3級試験または技能実習評価試験(専門級)に合格していること
  • 技能実習2号修了後に、1か月以上母国に帰国すること

これらが実習生側の主な要件です。

技能検定3級試験とは、随時3級技能検定と呼ばれている試験で、技能実習2号で実習中に受験する試験です。

技能実習評価試験(専門級)とは、同じく技能実習2号で実習中に受験する試験です。「介護」や「農業」など技能実習の業種によっては「技能検定」ではなく「技能実習評価試験」という呼び方をしていますが、「技能検定」とほぼ同じ意味合いの試験です。

このように原則として、監理団体、受入れ機関(実習実施者)、技能実習生の3者がそれぞれ要件を満たした場合に限って、技能実習3号になることができます。

説明が長くなりました。ここまでは大丈夫でしょうか。

いよいよ本題に入ります。

Y社さんは、受入れ中の技能実習3号を、特定技能1号で引き続き受入れたい、ということでしたね。

技能実習3号から特定技能1号ビザに変更する場合に注意するポイントの第1は、変更するタイミングです

技能実習3号の実習計画を修了した後に、特定技能1号に移行する場合は問題ありません

しかし、技能実習3号の実習計画が途中の場合は、特定技能1号にビザの変更申請をすることはできません

Q:技能実習3号の途中では、特定技能1号に変更できないんですか?

A:はい。原則として、技能実習3号の実習計画の途中で、実習計画が「生きている」間は、特定技能1号に変更することはできません。

でもおかしいと思いませんか?

技能実習2号から特定技能1号への移行の条件を思い出してください。

そうです。「技能実習生2号を良好に修了していること」です。

そして、技能実習3号の条件にも、「技能実習生2号を良好に修了していること」があります。

ということは、技能実習3号の実習生は全員、「技能実習生2号を良好に修了」していることになります。

それなのに何故、技能実習3号の実習計画の途中では、特定技能1号に変更できないのでしょうか?

これは、技能実習の制度上の問題です。

技能実習制度の目的は、「実習によって得た技能・技術などを、母国に持ち帰り、母国の発展に役立てる」ことです。

母国(日本から見た外国)の発展が目的なので、実習修了後は母国に帰国することが前提です。

つまり、日本で永続的に就労することを前提としていません。

なので、技能実習で実習中または技能実習修了後に、他の就労ビザに変更することは「原則」として禁止されています。(もっとも、実習修了後に一度帰国して、実習で得た技能・技術などを母国で活用した後でなら、新たに他の就労ビザの申請をすることは可能です)

しかし、この「原則」には「例外」があります。

その「例外」の一つが、特定技能です。

特定技能に限っては、技能実習2号修了後に、母国に帰国することなく特定技能に変更することができます。

話を戻します。

技能実習3号は、全員技能実習2号を修了しているのだから、技能実習3号で実習中に特定技能1号に変更できるはずなのに、できないのは何故か?

それは技能実習の制度上、そうなっているとしか言いようがありません。

技能実習は、実習計画にもとづいて実施されまます。実習計画の途中では他の就労ビザに変更することはできないのです。

では、技能実習3号の実習計画の途中で、特定技能1号になる方法は本当にないのでしょうか?

あります。

技能実習3号を途中で中止して、その後で特定技能1号への変更申請をすればいいんです。

技能実習を中止するためには、外国人技能実習機構に「技能実習実施困難時届出書」と「意思確認書」すればOKです。

「申請」ではなく「届出」なので、審査などは無く、書類を提出した時点で手続きは完了です。

「技能実習実施困難時届出書」の書式と「意思確認書」の記載例を以下に添付しますので参考になさってください。

技能実習実施困難時届出書(団体監理型)

技能実習実施困難時届出書(企業単独型)

意思確認書記載例

 

Q:技能実習3号から特定技能1号に変更する場合、いつ、どのタイミングで申請すればいいでしょうか?

A:前述の通り、技能実習3号から特定技能1号に変更する場合は、2通りの方法があります。

  1. 技能実習3号の実習計画を修了した後に、特定技能1号に変更
  2. 技能実習3号の実習計画を途中で中止して、特定技能1号に変更

それぞれの場合の、特定技能1号への変更申請のタイミングを見ていきましょう。

技能実習3号の実習計画を修了した後に、特定技能1号に変更する場合

技能実習3号の場合は、申請時期についての明確な規定はなく、「技能実習3号の技能実習計画の修了が近づいてきたら」申請ができます。

技能実習3号の実習計画は2年なので、技能実習3号開始から1年10カ月くらいが経過した時点で、在留資格変更許可申請書等を提出すると良いでしょう。

技能実習3号の実習計画を途中で中止して、特定技能1号に変更する場合

この場合は、「技能実習実施困難時届出書」と「意思確認書」を、外国人技能実習機構に提出した後から申請できます。

ただし、「技能実習実施困難時届出書」と「意思確認書」を提出した時点で技能実習計画は中止されて、技能実習生としての活動も中止されます。

技能実習生としての活動をおこなわないまま、3か月以上が経過すると違法となりペナルティを受ける可能性がありますので、先に特定技能1号への変更申請の準備をして、変更申請する直前に、技能実習計画を中止するのが良いです。

以上が、技能実習3号から特定技能1号に変更する際の注意点です。

ややこしいので、もう一度整理しましょう。

  • 技能実習3号の実習計画を修了した後なら、特定技能1号に変更(移行)できる

 

  • 技能実習3号の実習計画が途中の場合は、実習計画を中止した後に、特定技能1号に変更(移行)できる

 

  • 技能実習3号の実習計画を中止するためには、「技能実習実施困難時届出書」と「意思確認書」を、外国人技能実習機構に提出すればよい

 

  • 技能実習3号の実習計画を修了した場合、実習計画の修了が近づいてきた時期(技能実習3号開始から1年10カ月経過後くらい)から、特定技能1号への変更申請ができる

 

  • 技能実習3号の実習計画を途中で中止した場合は、中止後から、特定技能1号への変更申請ができる

 

  • その場合、変更申請予定日の直前に、実習計画を中止すると良い

 

ご参考になれば幸いです。

回答者:行政書士 小澤道明(東京都行政書士会所属 登録番号:第16080367)

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