【インタビュー】行政書士に聞く受入機関の要件・必要な手続きについて

特定技能外国人を受入れる側は、どのような要件を満たし、どのような手続きを進める必要があるのでしょうか。『特定技能ねっと』を運営しているサンライズVISA行政書士事務所 小澤道明先生にお話を伺います。よろしくお願いします。

小澤 よろしくお願いします。

 

特定産業分野への該当性

早速ですが、特定技能外国人を雇用したい場合、どんな企業・事業主であっても雇用できるわけではないのですよね?

小澤 はい、残念ながら誰でも…というわけにはいきません。特定技能外国人を雇用できるかどうか、まず第一に確認すべき重要なポイントがあります。

その重要な確認ポイントとは何ですか?

小澤特定技能の14分野12分野(特定産業分野)に該当しているかどうか、です。

特定技能制度では、指定された1412の産業分野に該当する事業者だけが特定技能外国人を受入れることができます。

この14分野12分野のことを「特定産業分野」と言いますが、特定技能外国人を雇用したい事業者は、自社が特定産業分野に該当するかどうかを最初に確認する必要があります。

注:2022年5月25日に「素形材産業分野」「産業機械製造業分野」「電気・電子情報関連産業分野」の3分野が統合されて「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」になりました。これによってそれまでの14分野が12分野になりました。

なるほど。まずは、そもそも特定技能外国人を受け入れることができる対象分野に当てはまっているのかどうかを確認しないと、次に進めないということですね

小澤 はい。対象分野でない場合は、そもそも特定技能外国人を雇用できないので、特定技能以外の方法で人材確保を検討しなくてはなりません。

ここで間違えるとスタートでつまずいてしまいます。

そうですね、最初からつまずくと、結果的に余計な労力や時間を費やしてしまうことになりかねませんよね。まさに最初に確認すべき重要なポイントになるわけですね。

小澤 はい。フライングスタートしないよう、慎重にスタート地点に立つことが大切です。

では、その特定産業分野に該当するかどうかはどのように確認すればよいのでしょうか?

小澤 特定産業分野の表に各分野の名称が列挙されているので、まずは表を見て自社の産業と近い分野があるかどうかを確認します。

例えば食品加工の会社なら「飲食料品製造業分野」が該当しそうだなとか、鉄筋施工の会社なら「建設分野」が該当しそうだなとかめぼしをつけることから始めてください。

なるほど。特定産業分野の表に自社の産業があれば、特定技能外国人を受入れることができるんでしょうか?

小澤 いいえ。それだけではまだ充分ではありません。さらに「業務区分」を確認する必要があります。「特定産業分野」というのは産業のおおまかな区分けで、分野の中には具体的な業務に応じて「業務区分」というものが指定されています。

先程の例で言うと、「飲食料品製造業分野」には「飲食料品製造業全般」という業務区分があります。この業務区分はパンや清涼飲料の製造加工は含まれていますが、酒類の製造は除外されています。

一般的な感覚としては「酒」は飲み物なので飲食料品に含まれると思ってしまいますが、特定技能制度では酒類製造は「飲食料品製造業分野」には該当せず特定技能の受入れはできないことになります。

「建設分野」の場合だと「鉄筋施工」は業務区分として指定されていますが、「石材施工」という業務区分はありません。したがって「石材施工」では特定技能の受入れはできません。

このように、一見すると特定産業分野に該当している場合でも具体的な業務が「業務区分」として指定されていないと特定技能で外国人を受入れることはできないので注意が必要です

「分野」の名前だけでなく「業務区分」まで確認する必要があるということですね。

小澤 その通りです、まずはそこから始めてください。その他にも、分野によっては「日本標準産業分類」の確認も必要です。

14分野のうち、「素形材産業分野」、「産業機械製造業分野」、「電気・電子情報関連産業分野」のいわゆる製造3分野と、「飲食料品製造業分野」については、「日本標準産業分類」に従ってそれぞれの分野に該当する産業が列挙されています。

具体的にはどういうことですか?

小澤 例えば素形材産業でいえば、日本標準産業分類でいう「鋳型製造業」、「作業工業製造業」、「金属素形材製品製造業」といった産業が対象となっています。

また飲食料品製造業分野でいうと、同じく日本標準産業分類の「食品製造業」や「清涼飲料製造業」、「製氷業」といった産業が対象となっています。

今あげた産業は一例です。他にもありますので、分野ごとにどの産業が対象となっているのかはきちんと確認しておく必要があります。

そうすると、製造3分野と飲食料品製造業分野については、それぞれの分野で指定されている産業に該当しないと、特定技能外国人を受入れられないということですか?

小澤 その通りです。指定されている産業に該当しない場合は、特定技能外国人を受入れることはできません。

そうなのですね。

小澤 製造3分野に関しては、その企業・事業所で行われている事業が、どの産業分類に該当しているのか、自社でも把握していないことがあるので注意が必要です。

それはどういうことですか?

小澤 実際にあった事例ですが、金属加工をメインで行っている企業が、自分のところは「素形材産業分野」に該当すると思って手続きを進めようとしたところ、「素形材産業分野」には該当せず、「産業機械製造業分野」だったことが判明したケースがありました。

そういうこともあるのですね。

小澤 はい。ですので、自分たちの思い込みで判断するのではなく、客観的に確認することが大切です。

製造3分野と飲食料品製造業以外の分野も、同様に何か規定があるのでしょうか。

小澤 他の分野も同様に、要件が設けられています。

例えば宿泊分野では、「旅館業法で規定する旅館業を営んでいること」とか、外食業では、飲食店・持ち帰り飲食サービス業・配達飲食サービス業・給食事業を行っているところ、といったように、各分野で受入れ側の要件が定められています。

いずれにしても該当しそうな分野がある場合には、その分野で定められている受入れ側の要件を確認して、その分野にちゃんと該当しているのかどうかをまずはチェックする、ということですね。

小澤 はい、その通りです。この確認はとても大切です。

 

全分野共通の受入機関の要件

まずは、特定技能の対象分野に該当するのかどうかの確認が必要となることを教えて頂きましたが、次に確認しなければならない受入機関の要件はどのようなものでしょうか?

小澤 はい、それは対象分野に関わらず全ての受入機関に共通する要件と、対象分野ごとに定められている分野別の要件とがあります。

では、まず対象分野に関わらず全ての受入機関に共通する要件について教えて頂けますか

小澤 はい。まず共通する要件として「契約適正履行確保基準」というものと「支援計画適正実施確保基準」という基準が設けられています。

受入機関は、この二つの基準を満たしている必要があります。

「契約適正履行確保基準」と「支援計画適正実施確保基準」ですか….

小澤 なんのことだか、わかりませんよね(笑)

はい、さっぱりわかりません(笑)

小澤 わかりやすく説明します。

まず「契約適正履行確保基準」というものですが、これは、つまり、受入機関が雇用した外国人と交わした契約をちゃんと適切に履行できる組織かどうか、という点を問うものになります。

例えば、受入機関は労働保険や社会保険、その他租税に関する法令などをちゃんと守っているか、とか、受入機関側の問題で離職者を出していないか、刑罰を受けたことがないか…といったことがチェックされます。

なるほど。でも外国人に限らず日本人の従業員を雇っていれば、この辺のことは通常守られているのではないでしょうか。

小澤 確かに、大半の企業や事業所等は法令を遵守して、従業員を雇用していると思います。しかし時々落とし穴があります。

えっ?落とし穴ですか?

小澤 はい。例えば労働保険自体には加入していても、加入期限を過ぎてから手続きをしていたり、税等の滞納があったり…このような場合は審査に引っかかる可能性があります。

でもこれらはわざとではなく、うっかりしていたケースがほとんどです。ですので「落とし穴」なんです。

そうなんですね。気をつけないといけませんね。

小澤 もう一つの「支援計画適正実施確保基準」の方ですが、こちらは「1号」の特定技能外国人を雇用する場合に義務付けられている外国人に対する支援を、受入機関がちゃんと計画に沿ってできるのかどうか、またそれらの支援ができる体制が整っているのかどうか、を問うものになっています。

この外国人の支援は、登録支援機関に委託することもできるんですよね?

小澤 その通りです。この「支援計画適正実施確保基準」は、もし特定技能外国人の支援を全部登録支援機関に委託する場合は、受入機関はこの基準を満たしていると判断されます。

しかし自社で支援を行う場合には、例えば過去2年間に就労資格を持っている中長期在留者の受入れや管理を適正に行った実績があるかとか、そのような在留者の管理を行った経験が有る職員が支援担当者となっているかどうか、また特定技能外国人が理解できる言葉で情報提供や相談ができる体制があるかどうか、といった基準で審査されます。

受入機関は、「特定技能外国人をちゃんと法令を遵守して雇用することができること」、また「雇用した外国人の支援をちゃんと実施できること」が求められているのですね。

小澤 はい。「ちゃんと」という点がポイントです。言い換えると「適正に」です。両方の基準に「適正」という言葉が入っていますよね。

つまり特定技能外国人との雇用契約を「適正に」履行し、外国人に対する支援を「適正に」行ってくださいね、ということになります。そしてそれらができなければ特定技能外国人の受入機関としては認められませんよ、ということになります。

ほかにも何かすべての受入機関に共通する要件はありますか?

小澤 特定技能のそれぞれの分野には「協議会」が設けられています。この協議会は特定技能制度の適切な運用を図るために設置されています。受入機関は該当する分野の協議会に加入し、その協議会や管轄省庁が行う調査や指導などに協力することが求められています。

分野別の受入機関の要件

続いて、分野別の受入機関の要件についても教えて頂けますか?

小澤 はい。分野ごとに受入機関の要件が定められているのですが、●●の許可が必要です、△△への事前登録が必要です、といった要件がある場合が多いです。

例えば、建設分野や自動車整備分野であれば、法令に基づく許認可を受けていることが必要とされていますし、ビルクリーニング分野であれば1号建物清掃業か8号建築物環境衛生総合管理業に登録していることが必要とされています。

また介護分野の要件の一つには、「介護福祉士受験資格の実務経験として認定される介護事業所であること」といったものもあります。

この他、建設分野についていえば、先ほどの許認可の他にも事前に国土交通大臣から建設特定技能受入計画の認定を受けていないといけないとか、建設キャリアアップシステムに登録しておかなければいけないとか、色々と要件があります。

そうすると、分野ごとに決められている要件を満たしているかどうか、何らか書類等で証明する必要があるのですか?

小澤 はい、多くの場合必要となります。分野ごとに定めれれている事業を行っていることを証明する書類、つまり許認可証の写しであったり、事前に登録が必要なものでがあればその登録が完了していることを示す書類であったりと、要件に応じた証明書類が必要になります。

要件を満たしていない場合は、いつまでに要件を満たせばいいんでしょうか?

小澤 ビザの申請でこれらの要件を満たしているか審査されますので、ビザ申請前までには要件を満たしておく必要があります。

要件を満たすための手続きには時間がかかるものもありますので、準備は計画的に余裕をもってすることをお勧めします。

受入機関がしなければならない手続き

受入側の要件に加えて、その要件を満たすために必要な手続きがあることを教えて頂きましたが、他にも受入機関がしなければいけない手続きはありますか?

小澤 はい、色々ありますね。いざ特定技能外国人を雇用するとなると、一番大切な手続きがビザの申請です。外国人は「特定技能」のビザがなければ日本で働くことができません。この手続きは受入機関自身ですることもできますが、行政書士に申請取次を依頼するケースが多いと思います。

小澤先生も特定技能ビザの手続きをされていらっしゃるのですよね?

小澤 はい、特定技能のビザの取次業務もしています。特定技能ビザの申請は、申請書と一緒に提出する添付書類が多いです。不備がないように手続きをスムーズにするためには、費用は掛かりますが、専門家である行政書士に依頼するのが安心だと思います。

確かにプロに任せれば安心ですね。このほか受入機関がしなければならない手続きはありますか?

小澤 はい、まだ他にもあります。ビザが取得でき、特定技能外国人も無事に働き始めたところで安心しがちですが、特手技能外国人が就労を始めたら、まずハローワークに「外国人雇用状況の届出」をする必要があります。

特手技能外国人を受入れられてホッとしてしまい、忘れてしまいそうですね。

小澤 そうなんです。手続きの期限が定められているので、うっかり忘れてしまわないよう注意が必要です。

この他にも大切な手続きがあるのですが、何だと思いますか?

すぐに思いつかないですが…何の手続きですか?

小澤 それは社会保険や労働保険の加入手続きです。特定技能外国人も日本人同様に社会保険や労働保険の加入対象となります。外国人の保険について見落とされがちですので、注意しなけばなりません。

外国人の社会保険や労働保険について知らない人は多いかもしれませんね。

小澤 特定技能外国人は通算で5年間在留することができますが、その間に何度かビザの更新手続きをする必要があります。ビザの更新時にはこの点もも審査されます。

社会保険・労働保険の加入手続き、重要なポイントですね

小澤 この他、特定技能外国人の受入れ状況や活動状況に関する届出や、支援計画の実施状況に関する届出も四半期ごとに定期的に提出することが義務付けられています。

そのような届出もしないといけないのですか。

小澤 はい。定期的な届出の他にも、受入れ側の事情で特定技能外国人の雇用を継続することができなくなった場合や、その外国人が離職した場合、契約内容に変更が生じた場合などには、その都度届出が必要になってきます。これらの届出を随時の届出と言います。

特定技能外国人を受入れる前に必要な手続き、そして受け入れてからの手続き、結構色々ありますね。

小澤 そうですね、結構ありますね。なので、うっかり忘れてしまったりする可能性もあるので注意しなければなりません。義務付けられている手続きや届出等を怠った場合には、罰則を受けたり、特定技能外国人の雇用を継続できなくなる場合もあります

それは気を付けないといけませんね。

小澤 しかし実際のところ中小企業や個人事業主の方など人員に余裕がないところでは手が回りきらないこともあると思います。そのような場合は外部の力を借りることも一つだと思います。

当事務所では、特定技能に関するビザ申請書類作成代行やコンサルティング業務、登録支援機関として特定技能外国人支援をおこなっているので、ワンストップでサポートすることが可能です。

制度に精通している小澤先生に支援してもらえるのは、安心感が高まりますね。

小澤 すみません、営業してしまいました(笑)

いえいえ、大丈夫ですよ(笑)

今日はお忙しいところ、特定技能外国人を受入れる側の要件や必要な手続きについてお話を聞かせてくださいましてありがとうございました。

小澤 有難うございました。

 

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