技能実習廃止と特定技能2号拡大の動向 (実務担当者向け勉強会より)

2023年2月21日、熊本県庁主催「在留資格に関する実務担当者向けオンライン勉強会」が開催され、当事務所代表の小澤が講師を務めさせていただきました。

勉強会は前半と後半に分かれ、前半では主に技能実習廃止の動向や特定技能2号拡大の動きについてお話しました。

この記事では、勉強会の前半の講義の内容を再構成して掲載します。

また、勉強会開催日以降に公表された技能実習廃止と特定技能2号拡大に関する最新情報についても加筆してあります。

技能実習制度と特定技能制度の今後(基礎知識含む)

おはようございます。行政書士の小澤です。本日は勉強会にご参加いただきありがとうございます。

まずは、本日の勉強会の流れを簡単にご説明いたします。

前半では、技能実習制度廃止と特定技能2号の業種拡大(業種追加)の動きについてお話します。後半では、特定技能1号から別の在留資格(ビザ)に変更する方法などを、実例を交えてお話しします。

では、さっそく講義に入りましょう。

技能実習廃止、特定技能2号業種拡大は既定路線

勉強会前半で一番大事なポイントを最初にお伝えしてしまいます。

技能実習制度は廃止の方向(正確には廃止と新たな制度の創設)、特定技能2号は現状の2分野から11分野に拡大される方向で進んでいる。

前半で伝えたい内容はこれだけ、と言ってもいいくらいです。

しかしそれではすぐに終わってしまうので、そのようになる根拠や経緯、具体的な内容について、順を追ってお話ししてゆきます。

技能実習と特定技能の違い(制度の目的・背景)

技能実習と特定技能、それぞれの動向についてお話しする前に、両方の制度について簡単に整理しておきましょう。両者の違いを理解するためには、それぞれの制度が作られた目的、制度の趣旨を理解することが近道です。

皆さんの中には、すでに技能実習生を受入れている方もいらっしゃるかと思います。

では、技能実習という制度は何のためにあるかご存じでしょうか。

端的に言うと、技能実習制度の目的は、「国際協力」です。

技能実習法の第1条に、技能実習法の目的としてこう書かれています。

技能実習法第1条:「この法律は(中略)人材育成を通じた開発途上地域等への技能、技術又は知識の移転による国際協力を推進することを目的とする。」

つまり、実習で習得した技能を母国に持ち帰って、母国の発展に役立ててください、ということです。

あくまで開発途上地域への国際協力が目的であって、労働力として活用することが目的ではありませんよ、というのが制度の目的なんですね。

 

制度の根拠法令である、技能実習法第3条にも、はっきりとこう書いてあります。

技能実習法第3条2項:技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない。

 

これが技能実習制度の目的です。それに対して、特定技能制度の目的は何でしょうか?

特定技能の目的は、労働力の確保です。

基本方針に、特定技能制度の意義として、こう書かれています。

特定技能の在留資格に係る制度(以下「本制度」という。)の意義は、中小・小規模事業者をはじめとした深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築することである。

日本人を雇用するために、求人をかけたり色々やったけど、それでもなお人手が足りない業界(分野)では、外国人材を労働力として受け入れましょう、という意味です。

つまり、特定技能では、外国人材を労働力として活用することがはっきりと認められています。というか。労働力として活用すること自体が、制度の目的なんですね。

これが、技能実習と特定技能の一番大きな違いです。

もう一度言います。

  • 技能実習制度の目的:国際協力(労働力として活用は不可)
  • 特定技能制度の目的:人手不足が深刻な分野での労働力確保

このように、制度の目的が明確に異なります。

しかし、実際には多くの技能実習生が、日本で労働しています。

労働力として使ってはいけないと言われているのに、労働力として働いている。つまり、制度の目的と現実がずれてしまっているんです。

もっとも、技能実習生が労働力として使われているということは、政府もわかっています。わかっていてこれまで黙認してきました。

なぜか。労働力が必要だからです。

特定技能ができるずっと前から日本は深刻な人手不足だったからです。穿った見方をすれば、国際貢献というのは建前で、最初から労働力として活用されることを想定したうえで技能実習制度が作られたのかもしれません。

各方面から批判されながらも、1993年の創設から数十年間続いてきたわけです。

続いてはきましたが、問題も多く、廃止しろという声も多くありました。

こうした状況の中で、技能実習の問題点を解決する形で新しく創設されたのが、特定技能です。

技能実習に代わる制度として、特定技能が創設されたと言ってもいいかもしれません。逆に言えば、技能実習制度に問題が無ければ、特定技能は生まれていなかったかもしれません。

まずは、この流れを押さえてください。

技能実習と特定技能の具体的な違い

制度の目的が違うことはわかりました。しかし今も技能実習制度は存続してるし、実習生も沢山働いています。

ということは、実質的には同じじゃないの?具体的には何が違うの?今まで通り技能実習でいいんじゃないの?と思われるかもしれません。

技能実習と特定技能の主な違いはこれです。

転職の可否

まず、転職が可能かどうか、ここが大きなポイントですね。

技能実習は転職できません。技能実習は、技能実習計画で認められた会社、実習実施機関でしか実習できない。

もしそこを辞めて、無許可で他の会社で就労した場合は、不法就労になってしまいます。

それに対して、特定技能は、転職が可能です。ただし、転職する場合は、もう一度ビザの変更申請をして許可をもらう必要があります。

実際、特定技能がはじまって4年近くたちますが、特定技能で転職している事例もあります。

もっとも、じゃあ技能実習は転職しないかといえば、制度上は転職できませんが、代わりに「失踪」という形で辞めることはあります。

皆さんもどこどこの実習生が失踪した、という話は聞いたことがあるかもしれません。

制度上転職ができないことと退職しないことは、イコールの関係ではない、ということです。

技能実習でも特定技能でも、労働環境に不満を持たれれば、退職するリスクはあります。

実際に、私の事務所では、実習生からも特定技能外国人からも、転職の相談を受けたことがあります。

在留期間

次に、在留期間について見てみましょう。

技能実習は、技能実習1号の1年間と技能実習2号の2年間を合わせて、合計3年間、技能実習3号に進んだ場合は技能実習3号の2年間も合わせると合計で5年間、日本に在留することができます。

それに対して、特定技能1号は通算在留期間として5年間、日本に在留することができます。

技能実習1号から3号までの5年間と、特定技能1号の5年間、この比較で見ると、どちらも同じです。

ポイントは、特定技能には2号があるということです。

特定技能2号に進んだ場合は、原則として無期限に日本で就労することが可能になります。

ここが、最も大きな違いです。

しかし、現時点で特定技能2号がある分野は、建設分野と造船・舶用分野だけです。

他の分野には、残念ながら、まだ特定技能2号は存在しません。いくら無期限で就労できるといっても、2号そのものが存在しなければ意味がないですよね。

全分野での特定技能2号拡大の動きについては、後ほどお話しします。

受入れ人数

技能実習には、受け入れ機関の常勤職員人数に応じて、受け入れられる実習生の人数が決まっています。

一方で、特定技能には、受入れ人数に制限はありません(建設、介護以外)。何人でも受入れ可能です。

ただし、制度としては受入れ人数の制限はありませんが、特定技能1号は支援をおこなう必要があるので、支援や管理ができる範囲内の人数を受入れるのが現実的です。

家族の帯同

技能実習は家族帯同不可。

特定技能1号も家族帯同不可。しかし、特定技能2号は家族帯同可です。

家族帯同可というのは、母国にいる配偶者や子供を「家族滞在」というビザで、日本に呼んで一緒に日本で生活することができる、という意味です。

これは外国人材にとっては、大きなポイントです。

日本に留学ビザで在留している外国人から、就職の相談を受けることがあるのですが、家族帯同可のビザを希望する人が非常に多いです。

例えば、特定技能1号と、技術・人文知識・国際業務(これを縮めて技人国といいます)の選択肢が2つあった場合、ほとんどの人が技人国を選びます。

技人国は、家族帯同可だからです。

厳密に言えば、家族帯同可以外にもメリットがあるのですが(技人国は永住許可申請を早く申請できるとか)、それでも家族が呼べるか呼べないかは、外国人材にとって大きな魅力になります。

もう一度、整理してみましょう。

  • 現時点では、技能実習も特定技能も、どちらも活用可能。
  • 技能実習を5年間修了した後、特定技能1号を5年やって合計10年にする方法もあり。
  • しかし、技能実習は将来的に廃止になる可能性もあるので、今のうちから特定技能にシフトしていくのも一考の価値あり

基本はこれくらいにして、いよいよ本題に入りましょう。

技能実習廃止の動向 1

技能実習は廃止して、特定技能に一本化しようという動きが政府内で検討されています。

これの参考になるのが、2022/11/24に日経新聞に掲載された自民党古川司法制度調査会長のインタビューです。

引用:日本経済新聞オンライン 2022年11月24日

このインタビュー記事で、古川さんはこう言っています。

2019年に始めた特定技能制度は日本として初めて正面から外国人労働者の受け入れを認めたといえる。2つの制度を一本化し、技能実習は廃止することが選択肢になる。

「廃止する」とは言ってないんです。「廃止することが選択肢になる」という言い方をしています。

あくまで選択肢の一つであって、廃止になるかどうかはまだわからない、という表現です。

今すぐ廃止にしない理由

技能実習は廃止したほうがいい、とずいぶん以前から指摘されているのに、いまだに廃止になっていない理由は何でしょうか。

これを考えることが、今後の予想にもつながります。

政府には2つの考えがあります。

1つは、問題が多く指摘されている技能実習制度を廃止したい、又は制度を改善したい、というものです。

もう1つは、外国人材の力を借りて、日本の労働力不足を補いたい、というものです。

そして、その労働力不足を補う方法として生まれたのが、特定技能です。

しかし、特定技能外国人の人数は、当初の予定よりも増えていないんですね。

増えていない理由は、コロナ禍で新規受け入れが制限されていたことも影響していますが、それ以外にも制度の複雑さや、技能実習と比較した場合の不便さも関係しています。

つまり、労働力不足を補うために特定技能が創設されたけど、特定技能だけでは、まだ労働力不足は補えていない状況にある、ということです。

したがって、今技能実習を廃止してしまうと、労働力を確保する手段が一つ減ってしまう、結果的に、さらに深刻な労働力不足になってしまうおそれがある、ということです。

見直しの方向性

では、今後、技能実習制度の見直しはどういう方向で進むのでしょうか。

一方では、問題のある制度を廃止または改善したい、

一方では、労働力を確保したい、

矛盾する2つのことがらがあって、両方をそれなりに解決しなくてはいけない場合、皆さんならどうするでしょうか。

両方の中間をさぐって、落としどころを探しませんか。

今後は、その落としどころがどこなのかが、検討されていくことが予想されます。

特定技能0号の創設

技能自習制度が廃止になるとしたら、その後、技能実習の代わりになる在留資格ができるのかどうか、これも古川氏のインタビューで言及されています。

前提として、特定技能1号になるためには2つの方法があります。

1つ目は、特定技能1号専用の試験と日本語試験に合格すること。

2つ目は、技能実習2号を良好に修了すること。

技能実習2号を良好に修了した場合は、特定技能試験と日本語試験に合格する必要はありません。無試験で特定技能1号に移行できます。

実際に、技能実習生から特定技能1号に移行しているパターンの事例は沢山あります。

ところが、技能実習が廃止されてしまったら、技能実習から特定技能1号に移行することができなくなってしまいます。

当たり前ですよね。

現状の制度のまま技能実習が廃止された場合、特定技能1号になるためには、必ず、特定技能用の試験と日本語能力試験(N4以上)に合格しなくてはいけません。

それでは、特定技能1号になるためのハードルが上がりますし、その結果として特定技能1号になる外国人材が減ってしまう心配もあります。

それを防ぐためには、技能実習の代わりに、無試験で特定技能1号に移行できるビザを作る必要性があります。

そこで検討されているのが、「特定技能0号」です。技能実習と同じように無試験で特定技能0号になれるようにして、0号を修了した後には、特定技能1号に移行するというスキームが検討されているようです。

では、技能実習はいつ廃止されるのでしょうか。

わかりません。

一般論として、既存の制度を廃止する場合、通常は猶予期間があります。廃止発表から施行までは一定期間あると思います。

いつになるかはわかりませんが、私の見解として、技能実習は将来的には特定技能に一本化される方向で進むと思っています。

理由は、入管業務の実務をおこなっていて、入管は特定技能に対して力を入れていると感じるからです。

その例として、条件の緩和、失踪した技能実習生が特定技能試験に合格して特定技能になった事例、などが挙げられます。

 

技能実習廃止の動向 2(有識者会議による中間報告書)

(以下は勉強会開催日以降に発表された最新情報を加筆したものです)

2023年4月10日と4月19日に、政府の有識者会議が、技能実習制度の廃止を求める中間報告書(案)をまとめました。

この有識者会議は、正式名称を「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」と言って、JICA の理事長、弁護士、大学教授、自治体の首長、元警視総監らなどの有識者が構成員を務める政府主導の会議です。

中間報告書試案

有識者会議では、技能実習制度を廃止して、それに代わる新たな制度を提言しています。

中間報告書(案)では、現状の制度と新たな制度での違いが示されています。中間報告書(案)の内容を整理したのが、以下の表です。

論点 現状(技能実習制度) 新たな制度
目的・趣旨 人材育成を通じた国際貢献 人材育成に、人材確保を加える
職種・分野 技能実習と特定技能の間で職種・分野が一致してない 職種は特定技能の分野と一致させる
受入れ見込み数 設定のプロセスが不透明 設定のプロセスの透明化を図る
転籍の可否 原則不可 転籍制限は残しつつ、従来より緩和する
監理団体・登録支援機関 支援体制等が不十分 ・不適切な団体を適正化・排除

・要件の厳格化

日本語能力 定め無し 段階的に向上する仕組みを設ける

技能実習制度廃止の時期

中間報告書(案)で示された方向性に沿って、より具体的な制度設計について引き続き議論をおこなったうえ、令和5年秋を目途に有識者会議が最終報告書を提案する方向で進められてゆきます。(第6回有識者会議より)

その後、政府が調整等をおこなったうえ、正式な変更は2024年以降になると思われます。つまり、技能実習制度が廃止される時期は、早くても2024年以降になるでしょう。

 

特定技能2号拡大の動向について

技能実習廃止の動向と同じくらい注目されているのが、特定技能2号の業種拡大です。

皆さんもここは注目しているテーマだと思います。

全分野(介護以外)に特定技能2号追加の動きがある

現在、特定技能は、1号と2号の2種類があって、2号になれば、基本的に無期限で日本で働けるとお伝えしました。

しかし、現時点で2号が設定されているのは、「建設」と「造船・舶用工業」の2分野だけです。

それが、他の全ての分野に、2号が追加・拡大される、という動きがあります。

2021年11月17日の日経新聞で、「入管庁が特定技能2号を、全ての分野に追加する方向で調整している」と報じられました。

これは非常にインパクトのあるニュースでした。

2号が全分野に拡大されれば、1号修了後にも無期限で就労することができます。

しかし、これが報道されたのが、2021年11月、もう1年以上前です。しかし、いまだに入管庁からは何の発表もされていません。

一体いつ、2号が追加されるのか、そもそも本当に追加されるのか、検証していきましょう。

特定技能2号拡大の時期

まず、追加の時期について日経新聞では「2022年度中にも」とあります。

2022年度中とは2023年3月31日まで。あと1カ月しかありません。

加えて、日経新聞の記事では、「2022年3月に正式決定して、省令や告示を改定する流れを想定している」と報道しています。

しかし、もう2022年3月は過ぎてるけど、まだ発表はないです。普通は正式決定されれば発表があるので、調整が難航している可能性が考えられます。

では、なぜ遅れているのか。

特定技能以外のビザは、入管庁が単独で管理しているのですが、特定技能は、入管だけではなく、各分野を管轄する省庁と入管庁が共同で進めています。

農業は農林水産省といった具合に、各省庁が連携して進めているため、各省庁間での調整に時間がかかっているのかもしれません。

2019年に特定技能が開始された時も、開始の1週間前になって、やっと具体的な内容が発表されました。

ですが、特定技能の時との違いは、特定技能の時は2018年(1年前の時点)ですでに、特定技能制度についての「法律」が公布されていたのです。

つまり入管法ですが、入管法に特定技能に関する条文が加えられていたのです。

特定技能は入管法で規定が定められているので、特定技能2号を追加するためには、入管法を改正(追加)する必要があります。

しかし、本日2023年2月21日時点では、特定技能2号についての法改正は何もありません。

今後法改正があったとしても、法律が公布されてから施行されるまでには、一定の期間を要することが多いので、その場合は、実際に特定技能2号拡大が施行されるのは先になるかもしれません。

いずれにしても、「ここまでには決めなければいけないだろう」というタイムリミットがあります。

特定技能が開始されたのが、2019年4月、そして、特定技能1号の通算在留期間は5年です。

つまり、2019年に特定技能1号になった人材が、5年間の期間が終わるのが、2024年3月です。

それまでに2号を追加する制度を整えないと、その人材たちが、1号が終わった後、帰国しなくてはならなくなります。

この点から考えると、2024年3月末までには、何らかの発表があると思われます。

本勉強会開催後に発表された最新情報については、ページの末尾で解説しています。

特定技能2号になるための要件

では、特定技能2号が拡大されたとして、2号になるためにはどんな要件が必要でしょうか。

まだ2号が拡大されていないので、それに必要な要件も何も決まっていません。

しかし、既に2号がある分野の要件を分析することで、他の分野に特定技能2号が追加された場合の、要件を予想することはできます。

現時点で特定技能2号が存在する分野は、建設分野と造船舶用分野です。

これは、建設分野で特定技能2号になるための要件です。

建設分野で特定技能2号になるためには、2つの要件が必要です。

試験

1つは、試験に合格すること。

この試験は、さらに2種類にわかれていて、1つは建設分野特定技能2号評価試験です。この試験は特定技能専用の試験ですので、外国人しか受験することができません。

2つ目が、技能検定1級。これは本来日本人向けの試験です。

いずれにしても、特定技能2号の試験は、1号の試験よりも難易度が高くなることが予想されます。

実務経験

試験に合格しても、それだけでは特定技能2号にはなれません。もう一つの要件は、「実務経験」です。

建設分野の場合は、建設現場において、複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者(班長)としての実務経験が必要です。

つまり、一般労働者としての経験だけではだめで、管理者とか班長クラスとしての経験が必要ということですね。

ということは、特定技能1号から2号に移行する場合は、1号で就労している5年間の期間中に、一般労働者から班長クラスになっている必要があるということです。

「造船舶用分野」についても、建設分野とほぼ同じ要件で、試験と実務経験の両方が必要になります。

もっとも、建設と造船はどちらも国交省の管轄ですが、別の省庁が管轄している分野では同じにならない可能性もあります。

以上が、建設分野で2号になるための要件です。

ここまでを整理してみましょう。

  • 建設分野で特定技能2号になるためには、試験と実務経験の2つの要件が必要。
  • 他の分野で2号が追加された場合の要件はまだ未確定だが、1号よりも高度な要件が必要になる。

ということを押さえておいてください。

特定技能2号拡大 2023年6月に閣議決定か

(以下は、勉強会開催日以降の情報を加筆したものです)

特定技能2号拡大に、ようやく動きがありました。2023年4月24日の各報道機関で以下の内容が報じられました。

  • 熟練外国人の長期就労、6月にも全分野で、関係省庁調整(日経新聞 2023年4月24日)
  • 「特定技能2号」大幅拡大へ 外国人労働者、永住に道 政府方針(朝日新聞 2023年4月24日)
  • 外国人の無期限就労OK「特定技能2号」拡大を 入管庁が自民に提案(毎日新聞 2023年4月24日 )
  • 「特定技能2号」在留資格 政府 拡大案示す 異論出る可能性も(NHKニュース 2023年4月24日)

このように、各報道機関が一斉に報じました。

内容としては、出入国在留管理庁は、2023年4月24日に自民党本部で実施された外国人労働者等特別委員会で、特定技能2号の業種拡大を提案した、というものです。

2023年6月にも閣議決定を目指し、その後、省令改正などを経て、実際の運用開始は2024年5月頃になる見通しです。

2021年11月に第一報が報じられてから新たな情報が無いまま1年5カ月間が過ぎましたが、今回の報道で特定技能2号追加の施策がより現実味を帯びました。

これによって、特定技能2号業種拡大(追加)は既定路線として進んでゆくことが予想されます。

もっとも、特定技能2号業種拡大(追加)については、自民党内部にも慎重論があります。特定技能2号は家族の帯同も認められ、「永住者」の要件である居住年数(10年)にも参入されます。ですので、特定技能制度が創設された時にも特定技能2号については「事実上の移民の受入れ」であるとの慎重論が自民党内部からも出ていました。

今回の閣議決定を目指す過程でも、同様の慎重論が出ることは考えられます。

しかし、日本の労働力不足はすでに日本国内の労働力だけでは回らないところまで来ています。

慎重論はあるにせよ、特定技能2号の業種拡大は実現すると当事務所は予想します。

 

講師:行政書士 小澤道明(東京都行政書士会所属 登録番号:第16080367号)

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