農業分野における特定技能ビザ人材活用

※この記事では「農業分野」に特化してお伝えします。他分野では要件などが異なることもありますので、ご注意ください。

 

私たちの生活に不可欠な「食」。

この「食」を支えてくださっている農家さんや農業従事者の数は減少の一途をたどり、高齢化が進んでいます。

日本人の就農者が減る中、日本の農業の現場では多くの外国人の姿をみかけるようになりました。

農業分野は、国内で人材を十分に確保することが難しいことから特定技能外国人を受入れることができる対象分野となっています。

ここでは、農業分野で特定技能外国人の雇用を検討されている方に向け、特定技能制度に詳しい行政書士が「農業分野における特定技能ビザ人材活用」について分かりやすく説明します。

私たちの「食」を支える日本の農業の現状~深刻な人手不足~

私たちが生きていくために欠かせない「食」ですが、スーパーに買い物に行ったときに値段を見て、「あっ、また高くなってる…」と思われることもあるのではないでしょうか。

値段の高騰には近年の気候変動も大きく影響していますが、農業の人手不足による影響も少なくありません。

人手が不足することで出荷量が減り、単価が上がります。

例えば果物のジュース。果物の出荷量が落ち込み原材料費が高くなることでジュースが値上げされる、といったことにつながります。

このように農業分野における人手不足は、私たちの食生活に直結する深刻な問題となっています。

日本の農業従事者の現状

現在日本で農業に従事している人の数は、下図のとおり、年々減少しています。

また平均年齢もここ5年間では66歳~67歳と高くなっています。

出典:一般社団法人全国農業会議所『農業分野の特定技能制度~外国人材受入れのあらまし~』令和2年10月

農業に従事する人の数が増えない理由は様々ありますが、農業は「きつい」「儲けが少ない」といったイメージが根強く、なかなか若者の関心が向きにくいことも大きな要因の一つとなっています。

農業分野における外国人の受入れ状況

このように農業に従事する日本人が減る中、外国人の労働者に助けてもらっているのが今の日本の現状です。

下図のとおり、農業分野で働く外国人の人数は年々増加しており、ここ5年で約2倍に増えています。

この外国人の中では、「技能実習生」として在留している人が約90%を占めています。

出典:農林水産省「農業分野における新たな外国人材の受入れについて」令和3年7月

農業分野における外国人材の在留資格

現在農業分野で受入れている外国人に適用されている在留資格制度は、主に「技能実習制度」、「国家戦略特別区域農業支援外国人受入事業」、「特定技能制度」の3つになります。

簡単にこの3つの制度について説明します。

技能実習制度

よく特定技能制度と比較される「技能実習制度」ですが、この制度は技術移転を目的とした国際協力の一環として設立された制度です。

そのため農業分野の見習いや未経験者等の外国人が、実際に日本の農業現場で働きなが技能を修得し、日本で修得した技能を本国で活かしてもらうことが目的となっています。

技能実習生は、耕種農業のうち「施設園芸」「畑作・野菜」「果樹」、畜産農業のうち「養豚」「養鶏」「酪農」に従事することができます。

(農作業以外に、農畜産物を使用した製造・加工の作業の実習も可能となっています)

技能実習制度の在留資格には1号から3号まであり、在留期間は最長5年となっています。

国家戦略特別区域農業支援外国人受入事業

この事業は、2013年に成立した「国家戦略特別区域法」に基づいてできたものです。

国家戦略特別区域内(愛知県、京都府、新潟市、沖縄県)において、産地での多様な作物の生産等を推進し、経営規模の拡大などによる「強い農業」を実現するために、一定水準以上の技能等を有する外国人材を受入れる事業になります。

「一定水準以上の技能」つまり「農業支援活動を適切に行うために必要な知識・技能」が必要となるため、この制度の下で働こうとする外国人は、技能実習(3年)を修了するか、また農業全般に関する試験に合格していることが要件となります。また日本語能力に関しては技能同様の要件が課せられています。

耕種農業及び畜産農業全般に加え、付随的に農畜産物等を使用した製造・加工・陳列・販売の作業をすることができます。

ただしこの事業は、特定技能制度に段階的に移行することが決定されたので、2020年3月31日をもって新規受入は停止されています。

この制度での在留期間は通算で3年となっているので、対象地域においてはもうしばらく本事業で受入れられた外国人材の方もいらっしゃることになります。

特定技能制度

特定技能制度は、国内の深刻な人手不足問題の解消を目的として、外国人労働者の拡大を促進するために2019年に設けられました。

農業分野をはじめ、日本国内で生産性向上や国内の人材確保の取り組みを行ってもなお人材を確保することが難しいとされている14の分野において、外国人労働者を受入れることが可能となりました。

特定技能制度での外国人は、前述の農業支援外国人受入事業と同様に、耕種農業及び畜産農業全般に従事することができます。

また日本人が通常従事している関連業務(農畜産物の製造・加工、運搬、販売の作業、冬場の除雪作業等)に、付随的に従事することも可能です。

特定技能外国人は、即戦力として期待されていることから、一定の専門性・技能をもち、かつ生活に支障がない程度の日本語能力が持っていることが要件となります。(詳細は後述)

今後、農業分野では、即戦力として「特定技能外国人」の活躍を期待しており、制度設立以降5年間で36,500人の受入れを見込んでいます。

特定技能外国人が従事できる業務は?~耕種農業全般・畜産農業全般~

それでは、特定技能制度で受入れた外国人ができる業務について説明をしていきたいと思います。

まず、特定技能外国人が従事できる業務ですが、「耕種農業全般」と「畜産農業全般」になります。

これらの業務を詳しく見てみましょう

耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)

まず「耕種農業全般」についてですが、これは稲作(米)、穀物、野菜、果樹、きのこ栽培などの業種になりますが、いずれの業種であっても「栽培管理」の業務が主たる業務として含まれている必要があります。

農産物の選別には、「選果」も含まれますが、上述のとおり業務に「栽培管理」が入っている必要があるので、「選果」のみに従事することはできないので注意が必要です。

畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)

続いて「畜産農業全般」ですが、こちらは牛・豚・鶏・馬等、動物の中でも家畜・家禽の飼育等の業種になります。

こちらもどの業務であっても「飼養管理」の業務が主たる業務としてふくまれている必要があります。

なお「酪農ヘルパー組織」(酪農家が休みを取る際に業務を代行する組織)での業務も可能です。この「酪農ヘルパー組織」が行う業務は「飼養管理」に含まれますので、特定技能外国人が従事することができます。

関連業務

上述の業務の他、日本人が通常従事することとなっている関連業務、例えば農畜産物の製造・加工、運搬、販売の作業、冬場の除雪作業等に附随的に従事することもできます。

ただし関連業務に専念させることはできませんので注意しましょう。

受入れ方法は?~直接雇用でも派遣でも可~

14ある特性産業分野のうち、農業分野と漁業分野では直接雇用の他、派遣形態による受入れが認められています。

直接雇用の場合

前述の特定技能外国人が従事できる業務を担っている農業者(農家・農業法人)が直接、特定技能外国人を雇用することができますが、農業者等を構成員とする団体(JA等)も特定技能外国人を直接雇用することができます。

JA等が特定技能外国人を雇用したうえで、組合員等の農業者から農作業などを請け負い、特定技能外国人にその業務に従事してもらうということも可能です。(つまり、農家がJAに業務を委託し、委託した業務に特定技能外国人が従事するという形です。)

派遣の場合

農業に関しては、季節によって繁盛期・閑散期があったり、収穫や作付け等の作業の時期が異なる等の理由から、必要な時に必要な労働力を確保できるよう柔軟な対応を可能とするため派遣形態での雇用が認められています。

ただし、この派遣事業者には要件があります。

  1. 農業又は農業関連業務を行っている事業者
    (農業協同組合、農業協同組合連合会、農業者が組織する事業協同組合等が想定されています)
  2. ①又は地方公共団体が資本金の過半数を出資している事業者
  3. ①又は地方公共団体が業務執行に実質的に関与していると認められる事業者
    (①の役職員又は地方公共団体の職員が役員となっている等)
  4. 国家戦略特別区域法第16条の5第1項に規定する特定機関(国家戦略特区で農業支援外国人受入事業を実施している事業者)

したがって、派遣雇用を検討する場合は、派遣元が特定技能外国人を派遣できる事業所の要件を満たしている機関かどうかを確認する必要があります。

出典:一般社団法人全国農業会議所『農業分野の特定技能制度~外国人受入れのあらまし~』令和2年10月

在留期間は?~通算で5年~

特定技能外国人の在留期間は、通算で5年となります。

このため5年間継続して働いてもらうことも可能ですし、例えば農閑期等には帰国して、通算で5年になるまで働いてもらうということも可能になります。

また5年以内であれば、雇用期間が終わった後に再雇用することや、別の農業者と雇用契約を締結して働いてもらうことも可能です。(ただし、雇用契約の内容が変更する場合や、雇用者が変更となる場合には必要な手続きがありますので注意が必要です)

特定技能外国人を雇用するには?~受入れ側の要件~

では特定技能外国人を受け入れたいと思った場合、誰でも受け入れられるのでしょうか?

特定技能外国人を受入れるためには、いくつか要件が定められています。

その要件とは、農業分野特有のものと全分野共通の要件があります。

それぞれ詳しく見てみましょう。

農業分野特有の要件①~受入れ機関~

農業分野では直接雇用と派遣での雇用が認められていますが、それぞれの雇用形態で要件があるので見ていきましょう。

直接雇用の場合~継続して6か月以上の労働者雇用経験があること~

農業者(農家・農業法人)は、過去5年以内に、労働者(技能実習生を含む)を少なくとも6か月以上継続して雇用した経験が必要になります。(6か月以上の継続雇用が要件なので、6か月未満の雇用を複数回累積して6か月を超えてもこの要件を満たしたことにはなりません)

ここでいう「労働者」とは、外国人である必要はありません。日本人労働者を6か月以上継続して雇用した場合でも、認められます

この要件は、雇用する外国人に対して適切な労務管理を行い農業現場において適切な外国人の受け入れができるかどうかの確認になります。

そして、6か月以上の労働者雇用経験があることは、以下の書類を提出することによって証明します。

 

  • 分野参考様式第11-1号 「農業分野において直接雇用形態で特定技能外国人の受入れを行う特定技能所属機関に係る誓約書」

 

派遣の場合~継続して6か月以上の労働者経験があるか責任者が必要な講習等を受講していること~

派遣の場合は、派遣事業者が特定技能外国人の受入れ機関となるため、派遣事業者自身が特定技能外国人の受入れ機関としての要件を満たしておく必要があります。
しかし、派遣先となる農業者側にも要件があります。

直接雇用の場合と同様に、派遣先は過去5年以内に、労働者(技能実習生を含む)を少なくとも6か月以上継続して雇用した経験があるか、または派遣先責任者が必要な講習(派遣先責任者講習その他労働者派遣法における派遣先の講ずべき措置等の解説が行われる講習等)を受講している必要があります。

派遣の場合に、6か月以上の労働者雇用経験があることは、以下の書類を提出することによって証明します。

 

  • 分野参考様式第11-3号 「農業分野において派遣形態で特定技能外国人の受入れを行う特定技能所属機関に係る誓約書」

農業分野特有の要件②~協議会への加入~

特定技能外国人を受入れられる分野毎に「協議会」が設置されています。

農業特定技能協議会への加入~特定技能外国人受け入れ後、4か月以内に~

農業分野においても制度の適切な運用を図るために、農林水産省が「農業特定技能協議会」を設置しました。

この協議会は、農林水産省や各種制度所管省庁(出入国在留管理庁、警察庁、厚労省、外務省)、(公社)日本農業法人協会、(一社)全国農業協同組合中央会、(JA全中)、(一社)全国農業会議所、特定技能外国人受入れ機関等で構成されています。

協議会では、構成員の連携の緊密化を図り、各地域の事業者が必要な特定技能外国人を受入れられるよう、制度や情報の周知、法令順守の啓発、地域ごとの人手不足の状況を把握して必要な対応等が行われています。

この協議会への入会手続きは、特定技能外国人を受入れた日から4か月以内にする必要があります。入会手続きを行い、「加入通知書」が送付されてくれば、手続きは完了です。現時点で入会費の徴収はありません。

協議会への加入は特定技能外国人を受入れた後でよいのですが、在留資格の申請時には「農業特定技能協議会の構成員になること」について「誓約」し、「誓約書」を提出する必要があります。

協議会に加入後は、同協議会に対して必要な協力(調査、指導他)を行うことが求められています。

全分野共通の要件

上述の農業分野特有の要件に加え、直接雇用の場合には農業者が、派遣の場合は派遣事業所(※)が特定技能外国人を受入れることができる全分野に求められている共通の要件を満たしている必要があります。

例えば、労働・社会保険・租税に関する法令を遵守していること、1年以内に受入れ機関側の事由で行方不明者を発生させていないこと、特定技能外国人の雇用を継続できる体制が整っていること等が挙げられます。

(全分野共通の要件の詳細については、『特定技能はじめの一歩』をご参照ください)

※ただし派遣で特定技能外国人を雇用する派遣先の事業所においても、労働、社会保険等の法令を遵守していること等の基準を満たしている必要があります。

どんな人が特定技能外国人として働けるの?~外国人側の要件~

続いて農業分野で特定技能外国人として働くことができる外国人側の要件についてみてみましょう。

農業分野で特定技能の資格を得るには、以下の二つの方法があります。

  • 農業分野で定められた技能試験及び日本語能力試験に合格すること
  • 技能実習2号を良好に修了していること

この点について詳しく見ていきましょう。

試験をクリアして特定技能1号へ

試験を受けて要件を満たす場合には、「農業技能測定試験」と「日本語能力試験」を受験し、合格する必要があります。

技能試験「農業技能測定試験」

農業分野の技能試験は、(一社)全国農業会議所が実施しています。

日本国内のみならず、海外(2021年度は、カンボジア、インドネシア、モンゴル、ミャンマー、ネパール、フィリピン、タイ)でも実施されています。

試験は、学科試験と実技試験があります。

試験のレベルは、日本国内で実務経験が3年以上あれば、7割程度が合格する水準(耕種農業及び畜産農業の技能実習における農業技能実習評価試験(専門級)と同等程度)とされています。

日本語能力試験

特定技能外国人として日本国内で業務・生活するためには、ある程度の日本語でのコミュニケーション能力が必要となります。

その日本語能力を証明するためには、「日本語能力試験(JLPT)」でN4レベル以上に合格するか、もしくは「日本語基礎テスト(JFT-Basic)」に合格する必要があります。

日本語能力試験(JLPT)は、N1からN5までの5段階のレベルに分かれており、N4以上(N4、N3、N2、N1)のレベルに合格する必要があります。

JLPTは、日本と海外(約80の国と地域)で特定の試験日(年2回)実施されます。

結果は、受験日から約2か月後にオンラインで知ることができますが、合否結果の通知は3か月後になります。

一方、日本語基礎テスト(JFT-Basic)」は、JLPTのようにレベル分けはなく、一つのレベルとなります。

CBT方式で、海外(主にアジア地域)と日本で年6回実施されます。

JFT-Basicは、受験当日に結果が分かり、受験日から5営業日以内に判定結果通知が発行されます。

受験の機会はJFT-Basicの方が多いですが、受験日や受験方法、また結果通知時期などを考慮してどちらを受験するか考えるとよいでしょう。

技能実習2号からの移行

特定技能の耕種農業に従事する場合は、技能実習2号の耕種農業に関連する作業を良好に修了していること、また特定技能の畜産農業に従事する場合も同じく技能実習2号の畜産農業に関連する作業を良好に修了していれば、上述の技能測定試験は免除となります。

また技能実習2号を良好に修了していれば、特定技能外国人に必要な日本語能力を有していると判断され、日本語に関する試験も免除となります。

特定技能外国人の雇用の流れ~人材確保から就労開始まで~

以上のとおり、特定技能外国人を受入れる側と外国人側の要件を説明しましたが、次に人材を確保して就労してもらうまでの流れを説明します。

Step1:人材確保

技能実習生として受け入れていた外国人を特定技能外国人として雇用する場合以外は、日本人の雇用と同様に採用活動を行うことになります。

農業分野では、以下のような方法が考えられます。

(一般社団法人全国農業会議所『農業分野の特定技能制度~外国人材受入れのあらまし~』より抜粋)

  • 農業分野で技能実習生の受け入れ実績がある農協や監理団体を通じた採用活動
  • 帰国技能実習生のネットワークを通じた採用活動
  • 海外との人材ネットワークを有する業界団体を通じた採用活動
  • 海外に設立した法人等を通じた採用活動
  • 公的職業紹介機関(ハローワーク等)や民間の職業紹介所を介しての採用活動
  • 外国の政府機関が関与するマッチングシステムを介した採用活動

人選の際には、必ず当該外国人が「特定技能外国人」としての要件を満たしているかどうかしっかりと確認をしましょう。

Step2:雇用契約

法令を遵守し、当該外国人と雇用契約を締結します。

(給与や休日等の処遇が、同様の業務に従事する日本人と同様であることや、外国人社員ならではの出入国のサポートや生活状況の把握なども必要となります。)

派遣の場合は、派遣先である農業者と派遣元となる派遣事業所の間で「労働者派遣契約」を締結します。

Step3:支援計画の策定

特定技能外国人1号を雇用する場合には、外国人が日本で安定かつ安心して生活し働くことができるよう、法律によって定められている支援を行う必要があります。

事前ガイダンスから住居の確保、就労後の3か月に1回の面談等10項目が義務付けられており、これらの支援をどのように実施していくかを記載した「支援計画」を策定する必要があります。

Step4: ビザ(在留資格)の申請

必要な書類を揃えて地方出入国在留管理局にて手続きを行います。

雇用する外国人が海外にいる場合には、「在留資格認定証明書交付申請」を行い、「在留資格認定証明書」を受領した後に、当該外国人のもとにその証明書を送付することになります。

その後、当該外国人が在外公館において査証(ビザ)の申請をし、受領することになります。

この「在留資格認定証明書」には有効期間がありますので、期間内に手続きすることが必要です。(コロナ禍の現在、この有効期間の延長措置が取られています)

一方雇用する外国人が日本国内におり、「特定技能」とは異なる別の在留資格を既に持っている場合には、「在留資格変更許可申請」手続きを行うことになります。

ビザ申請時に提出する書類は多くあります。書類に不備があると追加資料の要求がされる等余分に時間がかかってしまうこともあるので、慎重に準備をしましょう。

ビザの審査期間は、2カ月前後となっています。

Step5:入国・就労開始

ビザを取得した後、入国・就労が可能となります。

 

特定技能外国人を雇用した後は?~日常的な外国人支援や届出等が必要~

初めて特定技能外国人を雇用した場合、「農業特定技能協議会」への加入手続きを忘れずに行いましょう(受け入れ後4か月以内です)。

その他、雇用した後に必要となってくる対応等について見てみましょう。

日常的な外国人支援

特定技能外国人を雇用する際、ビザの申請時に「特定技能1号外国人支援計画書」を提出します。

この支援計画書に記載した特定技能外国人に対する日常的な支援を実行していく必要があります。

これら支援計画に記載した支援内容を全部「登録支援機関」に委託することも可能です。

各種手続き・届出等

この他にも、出入国在留管理庁やハローワークに対して次のような各種届出を定期的に、または随時行う必要があります。

これらの義務付けられている届出をしなかったり、虚偽の届出といった違反が発覚した場合には、指導や罰則の対象となりますので注意しましょう。

 

特定技能外国人を雇用する際にかかる費用は?

特定技能外国人を雇用する場合には、以下のような費用がかかってきます。

人材紹介料や送出機関に関する費用

既に技能実習生として雇用している外国人を特定技能として継続して雇用する場合には、この費用は発生しません。

しかしイチから人材を探す場合には、人材紹介会社や送出機関を活用することもあると思います。その場合には紹介料等の費用が発生することになります。

人材紹介会社にお願いした場合は50万円前後が紹介料の相場となっているようです。

送出機関についてですが、特定技能制度に関して二国間の協力覚書で特定技能人材を採用する際に送出機関を通すことが定められている場合があります。

例えばベトナム、ミャンマー、カンボジア等です。

ミャンマーは、送り出し費用として1,500USドルかかります。

ベトナムは、当該外国人の給与の額によって変わってきますが、約20万~30万円程度かかると言われています。

在留資格取得に係る費用

在留資格の交付を受ける際に、出入国在留管理庁に支払う手数料がかかります。

自身で申請手続きを行う場合には、この出入国在留管理庁に支払う手数料のみですが、申請手続きを行政書士等に委託する場合には別途費用が発生します。

委託費用は15万円前後が相場になっています。

登録支援機関に支援を委託する場合の費用

特定技能外国人1号を雇用する場合、受入機関は支援計画を策定し、それに従って支援を行わなければなりません。

この支援を登録支援機関に委託する場合には、委託費が発生します。

登録支援機関の相場は、支援外国人1人あたり平均20,000円~50,000円(月額)となっています。

月額料金を安く設定している支援機関は月額料金とは別にオリエンテーションや面談の費用を徴収していることもあります。

これに対して月額料金のみを徴収している支援機関は月額料金が比較的高めに設定されている傾向があります。

特定技能外国人に係る費用

雇用する特定技能外国人本人には給与の支払いが発生します。

給与の額は、当該外国人が従事する業務を行っている日本人社員と同額以上の額でなければなりませんので、注意しましょう。

また事業者様によって異なりますが、渡航費や家賃などの補助を行う場合もあります。

 

特定技能外国人を雇用する際の留意点

労務管理について

日本人についても同様ですが、労働者が働きやすい環境を整えることが大切になります。

農業分野での業務は重労働だったりハードな傾向にあります。したがって過剰労働にならないよう適切な労働時間、休憩時間、休日を設けましょう。

派遣先が変更になる場合の手続き

雇用形態が派遣で、特定技能外国人の派遣先が変更になる場合は、受入れ機関である派遣元(派遣事業所)が特定技能雇用契約の変更に関する届出を行う必要があります。

 

農業分野での特定技能外国人活用のまとめ

最後に、これまで述べてきた農業分野で特定技能外国人を活用する際のポイントについて整理しておきましょう。

  • 即戦力としての特定技能外国人を制度設立以降5年間で36,500人受け入れを見込んでいる。
  • 耕種農業全般・畜産農業全般業務に幅広く従事できるが、それぞれ栽培管理、飼養管理業務が主たる業務でないといけない。
  • 直接雇用でも派遣での受け入れでも可能。
    派遣での受け入れであっても、派遣先にも一定の条件が課されているので注意が必要。
  • 受入れ期間は通算5年。継続雇用でも繁忙期のみ雇用でもOK。
  • 特定技能外国人を受入れた後、4か月以内に「農業特定技能協議会」への加入が必要。
  • 技能実習2号で「耕種農業」「畜産農業」を良好に修了した外国人は、無試験で移行可能。
  • 雇用後は特定技能外国人支援及び各種届出の提出などを確実に行いましょう。

 

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