【1問1答】ホテル内のレストランは特定技能「外食業分野」で受入れできるか?

「ホテル内のレストランで特定技能を受入れる場合は、特定技能『宿泊分野』と『外食業分野』のどちらが対象ですか?」

このような質問が、登録支援機関や受入れ機関から多く寄せられます。

インターネットで検索しても、様々な情報が出てきて、どれが正しいのか迷ってしまうようです。

宿泊施設内のレストランなどで特定技能外国人を受入れる場合の受入れ分野、その他注意点について、特定技能に精通した行政書士が、詳しく解説します。

Q:登録支援機関の職員です。ホテル内のレストランで特定技能の受入れを検討しています。このような場合はどの受入れ分野が該当するのでしょうか?(登録支援機関A社)

A:ご質問ありがとうございます。

ホテルの敷地内にあるレストランで、特定技能外国人の受入れを検討されているということですね。

このような場合、ホテルの方に着目すると「宿泊分野」が該当しそうですし、レストランの方に着目すると「外食業分野」が該当しそうですね。

ご質問の例のように、レストランなどの「飲食サービス」を営む事業所が、他の事業と同じ施設内にあることはよくあります。

どの受入れ分野に該当するかを検討するときは、まず「経営主体の業種」に注目します。

ご質問の例で言うと、ホテルとレストランの経営主体が同じだった場合、経営主体の業種は一般的には「宿泊業」ということになります。

一方、ホテルとレストランの経営主体は別で、飲食サービス業者などがテナントとしてレストランを経営している場合は、経営主体は「外食業」などになります。

ホテルとレストランの経営主体が同じ場合(ホテル直営の場合)は、「宿泊分野」でも「外食業分野」でも、どちらの受入れ分野でも特定技能の受入れが可能です。

一方で、レストランの経営主体が外食業の場合や、それ以外の業種で飲食サービスを行なっている場合は、「外食業分野」でのみ受け入れ可能です。

一言で言うと、ホテル直営のレストランなら「宿泊分野」も「外食業分野」もどちらでも受入れ可

テナント型のレストランなら「外食業分野」でのみ受入れ可、ということになります

 

Q:しかし、インターネットの情報では、「ホテル直営の場合は『宿泊分野』でしか受入れられない」と書いてありました。ホテル直営のレストランでも『外食業分野』で受け入れられるというのは本当ですか?

A:はい。本当です。ホテル直営のレストランで、各分野の他の要件を満たしている場合は、「宿泊分野」「外食分野」どちらでも受入れ可能です。

ではなぜ、インターネット上に「直営の場合は『宿泊分野』でしか受け入れられない」と書いてあるのか。これには理由があります。

ちょっと長くなりますが、お付き合いください。

宿泊分野でも外食業分野でも、特定技能の受入れ分野には、分野に該当するための基準が定められています。

外食業分野の過去の基準として、「日本標準産業分類」の中の、どの分類に該当するかというものがありました。

「日本標準産業分類」とは、総務省が告示で定めた、統計の基準になる産業分類です。

具体的に見てみましょう。

「外食業分野」では、受入れ機関の基準として、以前は以下の基準が定められていました。

「外食業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」に係る運用要領(抜粋)
第3 その他特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する重要事項
1.1号特定技能外国人が従事する業務
外食業分野において受け入れる1号特定技能外国人が従事する業務は,運用方針3(1)に定める試験区分及び運用方針5(1)に定める業務に従い,上記第1の試験合格又は下記2(1)の技能実習2号移行対象職種・作業修了により確認された技能を要する飲食物調理,接客,店舗管理の業務をいう。
あわせて,当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務(例:原材料調達・受入れ,配達作業等)に付随的に従事することは差しつかえない。

なお、外食業分野の対象は、以下の日本標準産業分類に該当する事業者が行う業務とする。
76 飲食店
77 持ち帰り・配達飲食サービス業

朱色で書かれた部分に注目してください。

日本標準産業分類上、「76 飲食店」か「77 持ち帰り配達飲食サービス業」に該当する事業者が、外食業分野の対象になる、と書いてあります。

つまり、「76 飲食店」か「77 持ち帰り配達飲食サービス業」に該当する事業者だけが、外食業分野で特定技能を受入れられる、という意味です。

逆に言うと、日本標準産業分類の「76 飲食店」か「77 持ち帰り配達飲食サービス業」に該当しない事業者は、外食業分野で特定技能を受入れることはできませんでした

 

ご質問の内容に戻りましょう。「ホテル直営のレストランでは、『宿泊分野』でしか受け入れられないとネットに書いてあった。」ということでしたね。

「外食業分野」で特定技能を受入れるためには、事業者が日本標準産業分類の「76 飲食店」か「77 持ち帰り配達飲食サービス業」に該当する必要がありました。

ホテルは日本標準産業分類の「751 旅館・ホテル」に該当するので、「76 飲食店」と「77 持ち帰り配達飲食サービス業」には該当しません。

したがって、ホテル直営のレストランでは、特定技能「外食業分野」で受入れることはできない、ということになります。

A社さんがネットで見た情報は、上記の基準を根拠にして言っているのだと思います。

上記の基準を根拠にする限り、その情報はまちがっていません。

しかし、上記の基準は2021年2月28日に変更されました

どのように変更されたのか見てみましょう。

以下が、2023年8月時点での「外食業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」に係る運用要領の抜粋です。

「外食業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」に係る運用要領(抜粋) ※2023年8月時点
第3 その他特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する重要事項
1.1号特定技能外国人が従事する業務
外食業分野において受け入れる1号特定技能外国人が従事する業務は,運用方針3(1)に定める試験区分及び運用方針5(1)に定める業務に従い,上記第1の試験合格又は下記2(1)の技能実習2号移行対象職種・作業修了により確認された技能を要する飲食物調理,接客,店舗管理の業務をいう。
あわせて,当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務(例:原材料調達・受入れ,配達作業等)に付随的に従事することは差しつかえない。

最初に引用した以前の運用要領と見比べるとわかりますが、以前の運用要領に朱色で書かれた以下の部分が削除されました。

削除部分
なお、外食業分野の対象は、以下の日本標準産業分類に該当する事業者が行う業務とする。
76 飲食店
77 持ち帰り・配達飲食サービス業

削除された部分以外の文章は、以前の運用要領と同じです。

上記部分が削除されたことによって、外食業分野で特定技能を受入れるためには、事業者が日本標準産業分類の「76 飲食店」か「77 持ち帰り配達飲食サービス業」に該当している必要はなくなりました。

つまり、外食業分野で特定技能を受入れるためには、日本標準産業分類上のどの分類に該当するかは、関係がなくなったということです。

したがって、「751 旅館・ホテル」に該当するホテル直営のレストランであっても、「外食業分野」で特定技能を受入れることが可能になりました

なお、ホテルを例にして説明してきましたが、ホテルの他、旅館などが直営するレストランでも同様に「外食業分野」での受入れが可能です。

Q:外食業分野では日本標準産業分類上の分類が問われなくなったのはわかりました。では、どのような事業所でも受入れが可能になったのでしょうか?

A:どのような事業所でも受入れ可能になったわけではありません。

日本標準産業分類上の分類は無関係になりましたが、その代わりに、「事業所が一定の「飲食サービス業」をおこなっていること」が、外食業分野での受入れの条件になりました。

外食業分野で特定技能を受入れることができる「飲食サービス業」とは以下の4種類です。

①飲食サービス業 例:食堂、レストラン、喫茶店、ファーストフード店、居酒屋など  

客の注文に応じて調理した飲食料品,その他の飲食料品をその場で飲食させる飲食サービス業

②持ち帰り飲食サービス業 例:テイクアウト専門店など 飲食することを目的とした設備を事業所内に有さず,客の注文に応じて調理した飲食料品を提供する持ち帰り飲食サービス業
③配達飲食サービス業 例:仕出し料理、弁当屋、宅配専門店、配食サービス事業所など 客の注文に応じて,事業所内で調理した飲食料品
を客の求める場所に届ける配達飲食サービス業
④ケータリング・給食事業等 例:ケータリングサービス店、給食事業所など 客の求める場所において調理した飲食料品の提
供を行う飲食サービス業

以上の4種類の飲食サービス業をおこなっている事業所であれば、日本標準産業分類上の分類が何であっても、外食業分野で特定技能を受入れることができます。(他の要件を満たしていることが前提ですが)

ただし注意点もあります。

上記表で言う「客」とはいわゆるB to C (Business to customer)の特定の消費者のことを言います。

不特定の消費者に販売する目的で仕入れる者である場合は,いわゆるB to B(Business to Business)取引である卸売りに該当するため,飲食サービス業による客への提供には該当しません。

 

Q:ホテル直営の場合は「宿泊分野」「外食業分野」の両方で受け入れられることはわかりました。その場合、どちらの分野で受入れるかを、何を基準に選べばよいでしょうか?

A:どちらの分野でも受入れ可能な場合は、特定技能外国人が「従事する予定の業務」を基準に選んでください。

「宿泊分野」「外食業分野」ではそれぞれ特定技能外国人が従事することのできる業務範囲が以下の通り決まっています。

宿泊分野 外食業分野
フロント チェックイン・チェックアウト

コンシェルジュ業務

周辺の観光地情報案内

ホテル発着ツアーの手配など

飲食物調理 食材の仕込み、加熱・非加熱調理、調味、盛り付け、調整など
企画・広報 キャンペーン・宿泊プランの企画立案

パンフレットの作成

HP・SNS等による情報発信など

接客 席への案内、注文受け、配膳、下膳、会計、テーブルセッティングなど
接客 ベルボーイ

中居

ホテル・旅館の施設案内

宿泊客からの問い合わせ対応など

店舗管理 衛生管理、従業員のシフト管理、発注、会計事務管理、メニュー開発、マニュアルの作成など
レストランサービス 案内・注文・配膳・下膳

料理の下ごしらえ・盛りつけなど

どちらの分野で受入れる場合でも、原則として、分野ごとに決められている業務に「幅ひろく」従事する必要があります。

宿泊分野で受けれた場合は、「フロント」「企画・広報」「接客」「レストランサービス」それぞれの業務に幅ひろく従事する必要があります。

宿泊分野で受入れて、「レストランサービス」だけにもっぱら従事することはできません。

外食業分野で受け入れた場合は、「飲食物調理」「接客」「店舗管理」等に幅広く従事する必要があります。

ですので、まずは特定技能外国人に担当させたい業務を決定した後に、受入れ分野を決定するのが良いです。

例えば、レストラン業務以外にも、フロントなどホテル全般業務を行うのであれば「宿泊分野」での受入れが適しています。

一方で、レストランのみでの業務をおこなう場合は、宿泊分野での受入れではなく「外食業分野」で受入れることになります。

実務上のポイント!

外食業分野で受入れる場合も、「飲食物調理」「接客」「店舗管理」などの外食業全般業務に幅広く従事する必要がありますが、これは各業務に均一の割合で従事するという意味ではありません。

職場状況に応じて、一定期間1つの業務に従事することは可能です。

例えば、業務全般を習得するために、いつからいつまでは「調理」のみに従事して、その期間経過後に「接客」に従事する、といった感じです。

あくまでも、在留期間全体を通じて、外食業全般業務に幅広く従事すれば問題はありません。

以上、ホテル内のレストランなどで特定技能外国人を受入れる場合の受入分野について、1問1答形式で回答しました。

ご参考になれば幸いです。

回答者:行政書士 小澤道明(東京都行政書士会所属 登録番号:第16080367)

 

 

 

 

 

 

 

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