特定技能外国人を雇用・支援する場合、入管法に基づき各種届出をおこなう必要があります。
当ホームページでは特定技能外国人を受入れている所属機関や外国人の支援をおこなっている登録支援機関の方に向けて、届出の種類や提出方法をご紹介しています。
今回は「登録支援機関がおこなう随時届出」の内容や書類の書き方について、特定技能のサポート実績を持つ行政書士がわかりやすく解説します。
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特定技能の届出とは?
まず、特定技能関連の届出は、次の2種類に大別することができます。
- 定期届出:四半期に1度、特定技能外国人の受入れ状況や支援の実施状況などを、「定期的に」入管に報告する届出です。
- 随時届出:雇用契約や支援計画などに変更があった場合、その都度、入管に報告する届出です。
定期届出と随時届出は、特定技能所属機関がおこなうものと、登録支援機関がおこなうものにわかれます。
つまり、特定技能関連の届出は、全部で以下の4種類にわかれるということですね。
- 特定技能所属機関がおこなう定期届出
- 特定技能所属機関がおこなう随時届出
- 登録支援機関がおこなう定期届出
- 登録支援機関がおこなう随時届出
登録支援機関がおこなう随時届出
定期届出や特定技能所属機関がおこなう随時届出の内容は、おもに特定技能外国人についての報告です。
一方で、登録支援機関がおこなう随時届出は、外国人とは直接関係のない登録支援機関について変更があったことを知らせるためのものです。
登録支援機関がおこなう随時届出は2つ
登録支援機関がおこなう随時届出は、以下のように大きく2つの届出に分けられます。
- 登録事項変更に係る届出
登録支援機関登録簿に記載された登録事項に変更があったとき - 支援業務の休止・廃止・再開に係る届出
支援業務を休止するとき、支援業務を廃止するとき、休止していた支援業務を再開するとき
随時届出の提出期限
随時届出の提出期限は、登録事項に変更があった場合は変更が生じた日から14日以内です。
支援業務を休止・廃止した場合も、休廃止した日から14日以内です。
ただし、休止していた支援業務を再開する場合のみ、再開予定日の1カ月前までに届出書を提出しなくてはいけません。
支援業務の再開だけ提出期限が異なるので、間違えないよう注意が必要です。
また、変更日・休廃止日が事前にわかっていても、未来の日付を記入して事前に届け出ることはできません。
郵送で届出をおこなう場合は14日以内の消印ではなく、14日以内に届出書が地方入管に届いている必要があります。
「登録事項変更に係る届出」が必要な変更事由と提出書類
では、届出が必要となる登録簿の変更事由と、変更内容に応じた提出書類を解説しましょう。
届出が必要な変更事由
登録簿に記載された以下の項目を変更した場合、届け出る必要があります。
- 名称(法人)、氏名・屋号(個人事業主)
- 住所
- 代表者の氏名
- 支援業務をおこなう事業所の所在地(名称、郵便番号を含む)
- 支援業務の内容および実施方法
- 支援業務を開始する予定年月日
- 相談に応じる体制の概要(対応可能言語)
登録支援機関の支援責任者や支援担当者を変更した場合は、この届出をおこなう必要はありません。
ただし、実際に特定技能外国人の支援実施を担当している責任者・担当者が変更になった場合は、支援計画書に変更が生じるため「支援計画変更に係る届出」が必要です。
登録支援機関で提出書類を準備し、特定技能所属機関が届け出をおこないます。
「支援計画変更に係る届出」の提出書類や書類の書き方については「【徹底解説】随時届出の書き方(2) 支援責任者・担当者、支援内容、登録支援機関の変更」のページで解説しています。
変更事由に応じて提出する書類
以下の届出書は「登録事項変更に係る届出」の全ての変更事由に共通して提出するものです。
- 登録事項変更に関する届出書(別記第29号の16様式)
その他の添付書類は、変更事由に応じて提出します。
名称、氏名・屋号を変更した場合
- 登録支援機関概要書(参考様式第2-2号)
- (法人の場合)登記事項証明書
- (個人事業主の場合)住民票の写しまたは変更後の屋号を明らかにする資料
個人事業主は、氏名が変わった場合は住民票の写し、屋号が変わった場合はそれを証明する資料を添付します。
住所を変更した場合
- 登録支援機関概要書(参考様式第2-2号)
- (法人の場合)登記事項証明書
- (個人事業主の場合)住民票の写し
(本店又は主たる事務所の)住所ではなく、郵便番号や電話番号のみの変更でも届出が必要です。(添付書類は不要)
代表者の氏名
- 登録支援機関概要書(参考様式第2-2号)
- 登記事項証明書
- 住民票の写し
代表者以外の役員の変更については、届け出る必要はありません。
支援業務をおこなう事務所の所在地
- 登録支援機関概要書(参考様式第2-2号)
所在地ではなく、支援業務をおこなう事務所の名称に変更があった場合でも届出が必要です。
支援業務の内容および実施方法
- 変更内容がわかる資料、説明書等
任意的支援の有無に変更が生じた場合も届出が必要です。
支援業務を開始する予定年月日
登録申請時に申請書に記載した「支援業務開始予定年月日」に支援業務を開始しない場合、届出書を提出します。
相談に応じる体制の概要
- 登録支援機関概要書(参考様式第2-2号)
対応可能言語を追加または削除した場合に届け出ます。
通訳人の変更・追加・削除があった場合でも、対応可能言語に変更がなければこの届出は不要です。
「登録事項変更に係る届出」提出書類の書き方
では、「登録事項変更に関する届出書」と「登録支援機関概要書」の書き方を説明していきます。
登録事項変更に関する届出書
「① 届出機関」には、登録支援機関の情報を記入します。
「法人番号」は、個人事業主の場合は記入不要です。
氏名・名称や(本店の)住所を変更した場合、「機関の氏名又は名称」「機関の住所」には変更後の名称や住所を記入します。
「② 届出の事由」の「A 変更事項」には、変更があった事項を以下から選択して記入します。変更事項が複数ある場合は、該当するものを全て記入します。
- 氏名又は名称
- 住所
- 代表者の氏名
- 支援を行う事務所
- 支援業務の内容及びその実施方法
- 支援業務を開始する予定年月日
- 対応可能言語
名称の変更と同時に支援業務をおこなう事務所の名称も変更になる場合は、「氏名又は名称」「支援を行なう事務所」の両方を記入します。
郵便番号や電話番号のみの変更の場合は「住所」と記入します。
本店の住所の変更と同時に支援業務をおこなう事務所の所在地も変更になる場合は、「住所」「支援を行なう事務所」の両方を記入します。
支援をおこなう事業所の名称が変更になった場合、事業所の追加や削除があった場合は「支援を行なう事務所」と記入します。
「B 変更前内容」には、「A 変更事項」で記入した全ての項目について、変更前の内容を以下のように記入します。
(氏名又は名称)〇〇〇〇
(住所)〒〇〇〇-〇〇〇〇 〇〇県〇〇市
(支援を行う事務所)〒〇〇〇-〇〇〇〇 〇〇県〇〇市
(支援業務の内容及びその実施方法)任意的支援実施予定なし
(対応可能言語)〇〇語、〇〇語
「C 変更後内容」には、「A 変更事項」で記入した全ての項目について、変更後の内容を以下のように記入します。
(氏名又は名称)〇〇〇〇〇
(住所)〒〇〇〇-〇〇〇〇 〇〇県〇〇〇市
(支援を行う事務所)① 〒〇〇〇-〇〇〇〇 〇〇県〇〇市
②〒〇〇〇-〇〇〇〇 〇〇県〇〇〇市
(支援業務の内容及びその実施方法)〇〇の支援について追加
(対応可能言語)〇〇語、〇〇語、〇〇語、〇〇語
A・B・C欄に記入しきれない場合は、それぞれの欄に「別紙のとおり」と記入し、参考様式第4-4を使用します。
「③ 変更年月日」は、実際に変更が生じた日付を記入します。(変更することが決まった日や届出書を提出する日ではありません)
「届出人(代理人)の署名」の欄は、手書きで署名します。
登録支援機関概要書
登録支援機関概要書は、変更があった箇所のみ、変更後の内容を記入します。
氏名又は名称に変更があった場合は、1枚目「登録支援機関の概要」の「(4)氏名又は名称」の欄を記入します。
本店または主たる事務所の住所に変更があった場合、郵便番号や電話番号に変更があった場合は、1枚目「1 登録支援機関の概要」の「(5)住所の欄」に変更があったもののみ記入します。
代表者の氏名に変更があった場合は、1枚目「登録支援機関の概要」の「(6)代表者氏名」の欄に記入します。
支援業務をおこなう事務所の所在地や名称、郵便番号に変更があった場合は、2枚目の「2 支援業務を行う事務所の概要」の「名称」や「所在地」の欄に記入します。
対応可能言語に変更があった場合は、4枚目の「5 相談対応に係る措置状況」の「(1)対応可能言語」の欄に記入します。
最後に5枚目の「年月日」「登録支援機関の氏名又は名称」「作成責任者役職・氏名」の欄を記入します。
「支援業務の休止・廃止・再開に係る届出」提出書類
つづいて、支援業務を休止・廃止・再開するときの提出書類をご紹介します。
支援業務を休止するとき
- 支援業務の休止又は廃止に係る届出書(参考様式第4-1号)
支援業務を再開しようとするとき
- 支援業務の再開に係る届出書(参考様式第4-2号)
- 支援業務遂行のための必要な体制が整備されていることを証する資料
支援業務を廃止するとき
- 支援業務の休止又は廃止に係る届出書(参考様式第4-1号)
- 登録支援機関登録通知書(原本を返納)
なお、支援業務をおこなう事務所のうち一部の事務所で業務を休止・廃止する場合や、新たな事務所で支援業務を開始する場合は、この届出ではなく「登録事項変更に関する届出」をおこないます。
「支援業務の休止・廃止・再開に係る届出」提出書類の書き方
では、届出書の書き方を、休止・廃止・再開それぞれのケースごとに見ていきましょう。
支援業務の休止又は廃止に係る届出書
まずは、支援業務を休止した場合の届出書の書き方を解説します。
「① 届出機関」の欄は、登録支援機関の情報を記入します。
「法人番号」は、個人事業主の場合は記入不要です。
「担当者」の欄は、この届出を担当した登録支援機関の役職員の氏名を記入します。
「② 届出の事由」は「支援業務の休止」にチェックを入れ、その下の「A 支援業務の休止」の欄を記入します。(「B 支援業務の廃止」の欄は記入しません)
「a 休止年月日」には、届出書を作成した日や届出をおこなう日ではなく、実際に支援業務を休止した日付を記入します。
「b 休止する事由」は、休止した理由を項目から選んでチェックを入れます。
「その他」を選択した場合は( )内に理由を記入しますが、書ききれない場合は「別紙のとおり」と記入し、任意書式で理由を記入した別紙を添付します。
「c 休止予定期間」は「あり」または「未定」にチェックを入れ、再開予定日が決まっている場合のみ「再開予定年月日」に日付を記入します。
「③ 休止又は廃止時に委託契約を締結していた特定技能所属機関の有無」は、休止時に委託契約を締結している特定技能所属機関があれば「あり」、なければ「なし」にチェックを入れます。
なお、「あり」にチェックを入れた場合は、特定技能所属機関の名称や連絡先を証明する資料の添付が必要です。
「署名欄」にはこの届出書を作成した日付を記入し、届出書を作成した登録支援機関の役職員が手書きで署名します。
つづいて、支援業務を廃止した場合の届出書の書き方を解説します。
「① 届出機関」の欄は、登録支援機関の情報を記入します。
「法人番号」は、個人事業主の場合は記入不要です。
「担当者」の欄は、この届出を担当した登録支援機関の役職員の氏名を記入します。
「② 届出の事由」は「支援業務の廃止」にチェックを入れ、「B 支援業務の廃止」の欄を記入します。(「A 支援業務の休止」の欄は記入しません)
「a 廃止年月日は、届出書を作成した日や届出をおこなう日ではなく、実際に支援業務を廃止した日付を記入します。
「b 廃止する事由」は、廃止した理由を項目から選んでチェックを入れます。
「③ 休止又は廃止時に委託契約を締結していた特定技能所属機関の有無」は、廃止時に委託契約を締結している特定技能所属機関があれば「あり」、なければ「なし」にチェックを入れます。
なお、「あり」にチェックを入れた場合は、特定技能所属機関の名称や連絡先を証明する資料の添付が必要です。
「署名欄」にはこの届出書を作成した日付を記入し、届出書を作成した登録支援機関の役職員が手書きで署名します。
また、廃止の場合は届出書とあわせて「登録支援機関登録通知書」の原本を返納する必要があります。
支援業務の再開に係る届出書
休止・廃止の場合は同じ届出書ですが、再開の場合だけ届出書の様式が異なるので間違えないように注意が必要です。
「① 届出機関」の欄は、登録支援機関の情報を記入します。
「法人番号」は、個人事業主の場合は記入不要です。
「担当者」は、この届出を担当した登録支援機関の役職員の氏名を記入します。
「② 届出の事由」の「支援を再開する予定日」には、支援の委託を受ける体制が整備され支援が実施可能となる予定日を記入します。
「署名欄」にはこの届出書を作成した日付を記入し、届出書を作成した登録支援機関の役職員が手書きで署名します。
なお、「支援業務を的確に遂行するために必要な体制が整備されていないこと」が理由で休止していた場合、必要な支援体制が整備されたことを証明する資料の添付が必要です。
再開の場合のみ、再開予定日の1カ月前までに届出をおこなう必要があります。
随時届出の届出方法
「登録事項変更に係る届出」「支援業務の休止・廃止・再開に係る届出」どちらも次の3つの方法で届出をおこなうことができます。
窓口に持参して提出
特定技能所属機関の役職員で届出書の作成者が持参する場合は、身分を証明する文書の提示が必要です。
届出書の作成者以外が持参する場合は、届出書作成者の身分を証明する文書の写しに加え、提出者の氏名・連絡先・特定技能所属機関との関係を明らかにする文書や資料、委任状などを提出する必要があります。
郵送で提出
届出書の作成者の身分を証明する文書の写しを同封し、封筒に「特定技能届出書在中」等、記載します。
オンラインで提出
出入国在留管理庁の「電子届出システム」を利用するため、事前に窓口または郵送で利用者情報登録をする必要があります。
※身分を証明する文書とは、日本の機関が発行した身分証明書、健康保険証などのことです。
申請等取次者証明書を所持していれば、その写しでも問題ありません。
随時届出の届出先
届出書の提出先は、登録支援機関の住所(法人の場合は、登記上の本店所在地)を管轄する地方出入国在留管理局・支局です。
管轄地域と地方局・支局の住所は下の表で確認してください。
地方局・支局名 | 担当部門/住所 | 管轄する都道府県 |
---|---|---|
札幌出入国在留管理局 | 審査部門 【持参による提出先】 〒060-0042 札幌市中央区大通西12丁目 札幌第3合同庁舎 【郵送による提出先】 〒062-0931 札幌市豊平区平岸1条22丁目2-25 |
北海道 |
仙台出入国在留管理局 | 審査第一部門 〒983-0842 仙台市宮城野区五輪1-3-20 仙台第二法務合同庁舎 |
青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県 |
東京出入国在留管理局 | 就労審査第三部門 〒108-8255 東京都港区港南5-5-30 |
茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県 、東京都、新潟県、山梨県、長野県 |
東京出入国在留管理局 横浜支局 | 就労・永住審査部門 〒236-0002 神奈川県横浜市金沢区鳥浜町10-7 |
神奈川県 |
名古屋出入国在留管理局 | 就労審査第二部門 〒455-8601 愛知県名古屋市港区正保町5-18 |
富山県、石川県、福井県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 |
大阪出入国在留管理局 | 就労審査部門 〒559-0034 大阪府大阪市住之江区南港北 一丁目29番53号 |
滋賀県、京都府、大阪府、奈良県、和歌山県 |
大阪出入国在留管理局 神戸支局 | 審査部門 〒650-0024 兵庫県神戸市中央区海岸通り29 神戸地方合同庁舎 |
兵庫県 |
広島出入国在留管理局 | 就労・永住審査部門 〒730-0012 広島県広島市中区上八丁堀2-31 広島法務総合庁舎内 |
鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 |
高松出入国在留管理局 | 審査部門 〒760-0011 香川県高松市浜ノ町72-9 高松出入国在留管理局浜ノ町分庁舎 |
徳島県、香川県、愛媛県、高知県 |
福岡出入国在留管理局 | 就労・永住審査部門 【持参による提出先】 〒810-0073 福岡県福岡市中央区舞鶴3-5-25 福岡第1法務総合庁舎 【郵送による提出先】 〒814-0005 福岡県福岡市早良区祖原14-15 |
福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県 |
福岡出入国在留管理局 那覇支局 | 審査部門 〒900-0022 沖縄県那覇市樋川1-15-15 那覇第一地方合同庁舎 |
沖縄県 |
まとめ
登録支援機関がおこなう随時届出について解説しました。
登録支援機関がおこなう随時届出は特定技能外国人に関する内容ではなく、以下のように登録支援機関の変更等についての届出です。
- 登録支援機関登録簿に記載された登録事項に変更が生じた
- 支援業務の休止・廃止した、または再開する予定
登録事項の変更や支援業務の休止・廃止は、変更後(休廃止後)14日以内に届け出をおこないますが、再開する場合のみ再開後ではなく、再開予定日の1カ月前までに届け出る必要があるので、間違えないように注意してください。
以上、ご参考になれば幸いです。
執筆者:行政書士 小澤道明(東京都行政書士会所属 登録番号:第16080367)