特定技能外国人を受入れている事業者(特定技能所属機関)には、入管(出入国在留管理局)は視察として事業者を訪問することがあります。
このような場合、特定技能所属機関はどの様に対応したらよいのかというご相談を多く頂きます。
この点について、特定技能制度に精通した行政書士がわかりやすく解説いたします。
特定技能所属機関に対する視察ってなに?
特定技能外国人を受入れてから、順調に業務をおこなっていたところ、ある日突然、入管から連絡があって、
「●月●日に御社に伺います。」と言われた。
このようなご相談が当事務所に寄せられることがあります。
特定技能外国人を受入れている事業者さん(これを特定技能所属機関と言います)は、入管の視察を受けた経験がないことが多いので、突然このような連絡があると驚いてしまいます。
「何かうちに問題があったのか」と不安にもなるでしょう。
しかし、視察といっても、必ずしも具体的な問題があっておこなわれるものとは限りません。
入管が視察をおこなうことができる法的根拠は、入管法第19条の20に規定されています。
入管法第19条の20(報告徴収等)
出入国在留管理庁長官は、前条各号に掲げる事項を確保するために必要な限度において、特定技能所属機関若しくは特定技能所属機関の役員若しくは職員(以下この項において「役職員」という。)に対し、報告若しくは帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、若しくは特定技能所属機関若しくは役職員に対し出頭を求め、又は入国審査官若しくは入国警備官に関係人に対して質問させ、若しくは特定技能所属機関に係る事業所その他特定技能外国人の受入れに関係のある場所に立ち入り、その設備若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定による質問又は立入検査を行う場合においては、入国審査官又は入国警備官は、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
このように、入管には視察(質問または立入検査)をおこなう権限が与えられています。
なにやら仰々しい法律的な文章なので身構えてしまいますが、具体的な問題があって視察がおこなわれるとは限りません。
入管の視察には、大きくわけて以下のパターンが考えられます。
- 定期的な視察
- 特定の問題を検査するための視察
定期的な視察の場合は、慌てずに、視察の意図が何なのかを確認するのが良いでしょう。
定期的な視察
これは、特定技能外国人を受けれいている全ての特定技能所属機関に対しておこなわれるものです。
特に具体的な問題があって視察するわけではなく、原則として全ての所属機関にたいしておこなわれます。
定期的な視察の場合は、次のような特徴があることが多いです。
- 特定技能外国人の受入れを開始してからおおむね1年が経過した頃におこなわれる。
- 視察予定日から、おおむね1週間前に入管から特定技能所属機関に連絡が入る。
- 連絡の際に、「当日は特定技能外国人とも面談させてください」と言われる。
例外もありますが、このような場合は、定期的な視察であることが多いです。
入管は、視察の際に日ごろの勤務状況などを確認するようです。
普段から法令を遵守して特定技能外国人を受入れていれば、視察を受けて困ることは特にありません。
慌てず、落ち着いて対応しましょう。
定期的な視察の場合、視察がおこなわれる時期については、特定技能外国人の受入れを開始してから1年が経過した頃に、1度目の視察がおこなわれることがが多いようです。
そして、1度目の視察がおこなわれた後は、特定技能外国人の受入れを開始してから4年が経過した頃に、2度目の視察がおこなわれることが多いようです。
定期的な視察の場合は、特に不安を感じる必要はなく、落ち着いて対応すればよいことはお分かりいただけたでしょうか。
「特定の問題を検査するための視察」については、別の機会に解説いたします。