外食業分野における特定技能ビザの人材活用

※このページでは、特定技能の「外食業」分野に特化してお伝えします。他分野と要件などが異なることもありますので、ご注意ください。

外食産業は新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、一時は人手不足が解消されました。

しかし現在は客足も回復し、コロナ禍で需要が伸びたテイクアウト・デリバリーが定着したこともあって再び人手不足に直面している外食事業者も多いのではないでしょうか。

飲食店やテイクアウト・デリバリーなどの飲食サービスは、外食業として特定技能外国人の受入れ対象業種です。

ここでは特定技能制度に詳しい行政書士が、外食業分野で特定技能外国人の雇用を検討している事業者様向けに、特定技能外国人の活用について分かりやすく解説します。

外国人に支えられる外食業~留学生等のアルバイトに支えられている~

外食産業はもともと人材不足が深刻でしたが、コロナ禍により一時は落ち着きました。しかし、客足が戻った現在もコロナ禍で離職した人材が戻らず再び人手不足に陥っています。

外食産業の人手不足問題が解消されないのはなぜでしょうか。

下のグラフをご覧ください。外食業が含まれる「宿泊業、飲食サービス業」は、他の産業に比べると入職率も高いですが離職率も高いことがわかります。

出典:厚生労働省「令和5年上半期雇用動向調査結果の概要(産業別入職率・離職率)」

 

厚生労働省が2023年10月に発表した「新規学卒就職者の離職状況」によると、新規学卒就職者の3年以内の離職率は、外食業が含まれる「宿泊業、飲食サービス業」がトップとなっています。

離職の原因として挙げられるのは、労働環境の厳しさ。肉体労働や残業が多いなどの過重労働や、労働時間が不規則であること等が理由で離職する方が多く、またこのような環境であることから外食企業で働こうと思う方も少ない状況になっています。

外国人の占める割合

総務省統計局の「サービス産業動向調査(2022年10月)」によると、飲食店と持ち帰り・配達飲食サービス業に従事する人は約442万人です。

このうち外国人労働者は約18万人なので、飲食サービス業では従業者数の約4%を外国人が占めていることになります。(厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(2022年10月末))

ところで、外国人が日本で働くためには、何らかの「在留資格」が必要です。

では、外食産業では、どのような在留資格をもつ外国人が働いているのでしょうか。

下のグラフは外食業の外国人労働者を在留資格別に表したものです(2022年10月末時点)

出典:農林水産省「外⾷業分野における特定技能外国⼈制度について(2023年4月)」

グラフを見ると、外食業では留学生や家族滞在などの在留資格を持つ人が多く、全体の5割以上を占めていることがわかります。

それに対して、特定技能ビザで外食業に従事している外国人は、2022年12月末時点で5,159人、2023年6月末時点でも8,842人とまだまだ少ないのが現状です。

特定技能外国人で人手不足を補いたい

このような人材不足の状況を受け、企業でも様々な取り組みをしています。

24時間営業の中止や早朝・深夜の営業時間短縮の推進、子育てや介護、家事をしながら働く社員への配慮、高齢者でも働きやすい環境整備を行うなど雇用環境の改善に取り組んでいる企業様も多くあります。

また人材の育成(研修やセミナー実施など)に力を入れ、離職防止の試みも行われています。

このような外食企業の取り組みを推進すべく、農林水産省も「食品産業の働き方改革検討会」を立ち上げ、経営者層向けのハンドブックを作成する等、外食企業を支えています。

しかしすぐにこれらの取り組みの効果がみられるわけではないので、外国人労働者つまり特定技能外国人に頼り、状況を改善させたいというところです。

外食業での特定技能1号外国人の受入れ見込み数は、制度開始当初は最大5万3,000人としていましたが、コロナの影響による経済情勢の変化を踏まえ、2024年3月末までは最大3万5,000人に見直されました。

受入れ上限人数3万5,000人に対して、2023年6月末時点での受入れ数は8,842人なので、まだ余裕がありますし、2024年度に受入れ見込み数が再び見直される可能性もないとはいえません。

しかし1年間で5,000人以上も増えていることを考えると、受入れがストップされる前に採用活動を始める必要があるでしょう。

外食業分野で特定技能外国人を雇用するメリット

外食産業ではすでに多くの外国人が働いています。在留資格ごとの特徴を見てみましょう。

①「留学」や「家族滞在」のビザを持つ外国人がアルバイトで働くケース

留学ビザや日本で就労する外国人が扶養する家族に発行される家族滞在ビザの場合、入管から「資格外活動」の許可を得ることで1週間に28時間まで就労することが可能です。

②「技能」のビザを持つ外国人が調理師(コック)として働くケース

技能ビザを取得するには、外国で考案され日本において特殊な料理の調理または食品の製造に従事する者で、調理師として10年以上の実務経験が必要です。

日本人と同様に1日8時間(週40時間)の労働が可能ですが、「調理」にしか従事できません。また、外国料理の専門店等でないと雇用できません。

③「特定技能」ビザを持つ外国人が外食業で働くケース

特定技能ビザにも取得要件はありますが、特定技能1号であれば技能ビザのような実務経験は必要ありません。

労働時間も留学生や家族滞在のような制限はなく、1日8時間(週40時間)勤務することができます。

また「料理」「接客」「店舗管理」等、外食業の業務全般に従事でき、技能ビザよりも幅広い飲食店で雇用できるのが特徴です。

つまり特定技能は、外食業界の実情に合わせて柔軟な働き方を可能にしたビザなのです。

特定技能外国人の活用~即戦力としての活躍を期待できる~

外国人を雇用する場合、入管法等の法令を遵守する必要があります。

特に、「在留資格」で認められている条件を遵守しないと雇用者が処罰の対象になります。

そこで、外国人を雇用する際に知っておかなければならない「在留資格」(以下、「ビザ」と言います)について簡単にご説明いたします。

外国人が日本で働くために必要なビザ~「特定技能」は就労可能なビザの一つ~

外国人が日本で働くためには、必ずビザが必要です。

ビザは入管(出入国在留管理局)に許可申請をおこない、許可されると在留カードがもらえます。

ビザには色々と種類がありますが、就労可能なものと就労不可なものにわかれています。

「特定技能」は就労可能なビザです。

ではここで「特定技能」の制度について少しみてみましょう。

特定技能制度とは~国内の人材不足を補う制度~

特定技能制度は、国内の深刻な人手不足問題の解消を目的として、外国人労働者の受入れ拡大を促進するために2019年に設けられた制度です。

外食業分野と同じように人手不足に悩む12分野で、「特定技能」ビザで外国人材を受入れることが可能になりました。

この「特定技能」ビザには「1号」と「2号」があります。

「特定技能1号」は、その分野に関する相当程度の知識又は経験が必要とされる業務に従事する外国人向けのビザになります。

一方、「特定技能2号」は、自らの判断によって高度に専門的・技術的な業務を遂行できる、監督者として統括しつつ熟練した技能で業務を遂行できる外国人向けの資格となります。

1号と2号には技能のレベルの他、在留期間等にも違いがあります。

1号の場合は通算5年までが在留期間をとなりますが、2号の場合は在留期間の上限はありません。

また1号は単身しか認められていませんが、2号の場合は要件を満たせば家族の帯同も可能となります。

「特定技能2号」の受入れは、2023年8月31日から「介護分野」を除く11分野で可能になりましたが、それまでは「建設業」と「造船・舶用工業の溶接区分」のみが対象でした。

そのため受入れ数は12人(建設業/2023年6月末時点)と少ないですが、これから増えていくことが見込まれます。

技能実習生と特定技能外国人は違うの?~目的が異なる~

このページをご覧の皆様の中には、外国人雇用・外国人労働者というと「技能実習生」を思い浮かべられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

技能実習と特定技能は、制度が設立された目的がそもそも異なっています。

特定技能は、前述のとおり「国内の人手不足解消」を目的としています。

その一方で技能実習は、「国際協力の一環としての技術移転」が目的とされています。

つまり技能実習生には、日本での業務を通して技能を身につけ、その技能を母国に持ち帰って母国の経済発展のために活かしてもらう事が期待されています。

特定技能制度は人手不足を補うことが目的ですので、「即戦力」として働くことが認められています。

技能実習と特定技能では、従事できる業務の内容も異なります。

それでは、特定技能外国人が従事できる業務の内容について見てみましょう。

特定技能外国人が従事できる業務は?~外食業全般業務が可能~

特定技能外国人は、飲食物調理、接客、店舗管理等の外食業全般の仕事をすることができます。

まずは特定技能1号の業務として想定される内容を詳しく見てみましょう。

飲食物調理

これはお客様に提供する飲食料品の調理、調製、製造を行うものです。

つまり食材の仕込みや、加熱調理、非加熱調理、調味、盛り付け、飲食料品の調製等です。

例えば、レストランや居酒屋などの厨房内の調理や、仕出し弁当業者での会議用弁当やパーティ用オードブルの調理・製造等がこれにあたります。

接客

こちらは「飲食物調理」以外の業務、つまりお客様の席への案内、メニューの提案、注文伺い、配膳、下膳、代金受け取り、予約受付、苦情等への対応等が想定されています。

例えば、レストランや居酒屋といった飲食店でのホールスタッフの業務がこれに該当しますね。

店舗管理

店舗の運営に必要となる業務、つまり従業員のシフト管理、求人・雇用に関する事務、従業員の指導・研修に関する事務、取引業者や行政との連絡・調整、会計事務管理、広報等が想定されてます。

例えば飲食店の店舗マネージャーであったり、事業本部等での管理業務担当者がこれにあたります。

 

特定技能2号が従事できる業務は1号が従事できる上記の仕事に加え、外食業全般の業務について店舗をトータルで管理できる人材であることが求められます。

ですから、店舗管理については1号が従事する業務の他に、店舗の経営分析、経営管理、契約に関する事務等に従事することも想定されます。

その他関連業務

その他同じ事業所において従事する日本人が通常従事している関連業務を付随的に行うことは認められています。

しかしあくまでも「飲食物調理」「接客」「店舗管理」が主たる業務である必要があり、関連業務に専ら従事することは認められませんので注意しましょう。

ただしいくら「飲食物調理」、「接客」、「店舗管理」の業務であっても、「風俗営業」や「性風俗関連特殊営業」を営む営業所で働かせることはできません。

では、どのようなお店・事業所でも特定技能外国人を受入れることはできるのでしょうか。

次に、雇用する側の要件について見てみましょう。

特定技能外国人を雇用するには?~受入れ側の要件~

特定技能外国人が従事できる業務について説明しましたが、具体的にどのようなお店・事業所で雇用できるのでしょうか。

特定技能外国人を雇用したい場合には、①就労させる場所の要件を満たしていること、②食品産業特定技能協議会に加入していること、③特定技能外国人受入れに関して全分野共通の要件をみたしていること、が必要となります。

それぞれ具体的に見ていきましょう

①就労させる場所の要件~事業所要件~

次に掲げる4つの飲食サービス業のどれかを行っているお店・事業所であれば、特定技能外国人を受入れることができます。

  • 飲食店

レストラン、居酒屋、食堂、料理店、喫茶店、ファーストフード店等

  • 持ち帰り飲食サービス業(店内で調理した飲食料品を渡すサービス)

テイクアウト専門店等

※お店の中に飲食することを目的とスペースがなく、お客さんの注文に応じて調理した飲食料品を提供する

  • 配達飲食サービス業(店内で調理した飲食料品を配達するサービス)

仕出し料理・弁当屋、宅配専門店、配食サービス業等

  • 給食事業(お客さんの希望する場所で調理した飲食料品を提供するサービス)

ケータリングサービス店、給食事業所等

 

飲食サービス業を営む部門の売上げがその事業所でどの程度占めているのか、という点は問われません。

したがって、例えば宿泊施設内の飲食部門や医療・福祉施設内の給食部門等で受入れることも可能です。

このようなお店・事業所であれば、前述の業務内容を特定技能外国人に任せることができます。

特定技能外国人を受入れる側が、上述のような事業所であり要件を満たす旨を「外食業分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書」(以下、誓約書)で誓約する必要があります。

この誓約書は、雇用する外国人のビザを申請する際に、提出する必要があります。

もし事業所の要件を満たしていないにもかかわらず、同誓約書を提出し、「特定技能」ビザを取得した場合には、在留資格等不正取得罪となるので注意しましょう。

また同時に、飲食サービス業を行うにあたって法令に基づく許可等が必要となっている場合には、それらの許可等を受けていることが確認できる資料(営業許可証の写しなど)の提出も必要です。

②食品産業特定技能協議会への加入~外国人受入れ後でOK~

続いての要件は、協議会への加入です。

特定技能外国人を雇用する場合には、どの分野であってもその分野の所管省庁が接しする協議会等の構成員にならなければなりません。

外食業分野では、農林水産省が組織する「食品産業特定技能協議会」に加入する必要があります。

この協議会は、構成員の連連携の緊密化を図ることで、制度や情報の周知、法令遵守の啓発のほか、地域ごとの人手不足の状況を把握し、必要な対策を行うことが目的とされています。

協議会には必ず加入する必要がありますが、初めて特定技能外国人を受入れてから4カ月以内に加入すれば大丈夫です。

(2人目以降の受入れの場合には、改めて加入する必要はありませんが、ビザ申請時に協議会の構成員であることの証明書の提出が必要になります。)

加入申請はWEBで行い、その後必要書類を提出し、審査が行われます。審査には通常2週間~1カ月程度かかります。

現時点では、入会金や年会費等の費用はかかりません。

加入後は、協議会に対して必要な協力を行うことが求められています。

例えば、外食業分野では特定技能外国人が大都市圏その他の特定の地域に過度に集中することが懸念されています。

このため他地域で雇用されている外国人労働者を積極的に引き抜いて雇用するといったことは自粛するよう申し合わされています。

このように協議会の構成員は、外食産業の健全な発展のための努力することも求められています。

③全特定産業分野に共通の要件~様々な法令遵守、外国人支援体制等~

上述の①②は外食業分野特有の要件になりますが、これらに加えて、特定技能外国人を受入れることができる全分野に求められている要件も満たしておく必要があります。

例えば、労働・社会保険・租税に関する法令を遵守していること、1年以内に受入機関側の事由で行方不明者を発生させていないこと、特定技能外国人の雇用を継続できる体制が整っていること等が挙げられます。(この要件については、『特定技能はじめの一歩』のページをご参照ください)

どんな人が特定技能外国人として働けるの?~外国人側の要件~

続いて、特定技能外国人として働くことができる外国人側の要件について見てみましょう。

外食業分野で働く特定技能外国人は、食品衛生に配慮した飲食物の取扱い、調理および給仕に至る一連の業務を担い、そして管理することができる知識・技能が必要となります。

また、日本での生活や業務に必要な日本語能力を有していることも求められます。

では、特定技能外国人として働くための具体的な要件を、1号と2号に分けて説明しましょう。

特定技能1号になるには

特定技能1号として働くために、上記の技能水準・日本語能力を満たしていることを証明する方法として「試験に合格する」「技能実習2号を良好に修了する」の2つがあります。

試験に合格する

試験を受けて要件を満たす場合には、技能試験と日本語試験の2つを受験し合格する必要があります。

  • 技能試験「外食業特定技能1号技能測定試験」

外食業分野の技能試験は、一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)が実施しています。

日本国内のみならず、海外(2023年度はネパール、ミャンマー、インドネシア、カンボジア、タイ、フィリピン、スリランカ)でも実施されています。

国内では年3回程度実施されていますが、試験地が限られていますので、受験を考えられている方はOTAFFのHPを事前に確認することをお勧めします。

試験内容は、「学科試験」と「実技試験」があります。

学科試験は、衛生管理、飲食物調理、接客全般の知識と業務上必要な日本語の能力が問われます。

実技試験では、「判断試験」(図やイラスト等を見て、正しい行動はどれか判断する)と「計画立案」(計算式を使って、作業の計画となる技能水準を作ることができるか確認する)で、実際の仕事の能力が問われます。

外食業技能測定試験に合わせた学習用テキストを、一般社団法人日本フードサービス協会のHPより入手できますので、勉強の際に参考にされるとよいでしょう。

  • 日本語能力試験

技能試験で業務に必要な日本語能力も見られますが、日本国内での生活の場面で求められる日本語のコミュニケーション能力が一定以上あることを証明することが必要です。

そのためには、「日本語能力試験(JLPT)」でN4レベル以上に合格するか、もしくは「日本語基礎テスト(JFT-Basic)」に合格する必要があります。

日本語能力試験(JLPT)は、N1からN5までの5段階のレベルに分かれており、N4(N4、N3、N2,N1)以上のレベルを受験し合格する必要があります。

JLPTは、日本と海外(約80の国と地域)で特定の試験日(年2回)実施されます。

結果は、受験日から約2か月後にオンラインで知ることができますが、合否結果の通知は約3か月後になります。

一方、日本語基礎テスト(JFT-Basic)は、JLPTのようにレベル訳はなく、一つのレベルとなります。

CBT方式で、海外(主にアジア地域)と日本で年6回実施されます。

JFT-Basicは、受験当日に結果が分かり、受験日から5営業日以内に判定結果通知が発行されます。

受験の機会はJFT-Basicの方が多いですが、受験日や受験方法、また結果通知時期等を考慮してどちらを受験するか選ばれるとよいでしょう。

この2つの試験のほか、「日本語教育の参照枠」のA2相当以上と認められるものに合格することで日本語能力の要件を満たすことも可能です。

技能実習2号を良好に修了する

技能実習の職種のうち「医療・福祉施設給食製造」の技能実習2号を良好に修了した人は、上述の技能試験や日本語能力試験を受験しなくても、特定技能1号ビザに移行することが可能です。

※技能実習2号を良好に修了した人とは、技能実習を2年10カ月以上終了し、かつ①技能検定3級又はこれに相当する技能実習評価試験に合格している、もしくは②技能実習生に関する評価調書がある、ことが必要です。

しかし、「医療・福祉施設給食製造」職種が技能実習に追加されたのが2018年11月なので、特定技能制度が始まって数年は外食業で技能実習からの移行者はいませんでした。

2023年6月末時点では、外食業の特定技能1号在留外国人数8,842人のうち、321人が技能実習からの移行者です。

特定技能2号になるには

特定技能2号として働くには、1号と同様「技能試験と日本語試験に合格する」ことに加えて一定の「実務経験」も必要です。

技能試験

外食業特定技能2号技能測定試験もOTAFFにより実施されますが、2023年12月時点でまだ1度も試験はおこなわれていません。

2024年3月末までに実施できるよう準備されており、今後実施要領が公表される予定ですので、

受験予定の方は企業申込になるため「企業マイページの登録」を済ませておくとよいでしょう。

日本語試験

特定技能2号の場合は、日本語能力試験(JLPT)のN3以上に合格する必要があります。

実務経験

食品衛生法の営業許可を受けた飲食店において、複数のアルバイト従業員や特定技能外国人等を指導・監督しながら接客を含む作業に従事し、店舗管理を補助する者(副店長・サブマネージャー等)としての実務経験が2年以上必要です。

「複数の〜」とは、2名以上の従業員を指し、国籍や在留資格、職責等は問われません。また、シフトの都合上、常時2名以上の体制でなくても差し支えありません。

ただし、実務経験を終えてから、別途農林水産大臣が定める期間を経過していないものに限られます。

「外食業特定技能2号技能測定試験」の申込みには、実務経験を証明する書面の提出が必要になります。

特定技能外国人の雇用の流れ~人材確保から就労開始まで~

以上のとおり、特定技能外国人を受入れる側と外国人側の要件を説明しましたが、ここからは外国人材を探して就労してもらうまでの流れを説明します。

Step1:人材確保

基本的には、日本人の雇用と同じように、採用活動を行うことになります。

求人活動は国内外の職業紹介機関を活用することになりますが、国内の場合は、ハローワーク等を通じて採用することも可能です。

しかし採用しようとする外国人の国籍によっては、当該国の所定の手続きを取ることが求められている場合がありますので、留意が必要です。

例えば、ミャンマーやフィリピンから新たに受け入れる場合には、認定送出機関を通じて求人票の提出等の採用活動を行う必要があります。

人選の際には、必ず当該外国人が「特定技能」の要件を満たしているかしっかりと確認しましょう。

Step2:雇用契約

法令を遵守し、当該外国人と雇用契約を締結します。

(給与や休日等の処遇が、同様の業務に従事する日本人と同様である上に、外国人社員ならではの出入国のサポートや生活状況の把握なども必要)

Step3:支援計画の策定

特定技能外国人1号を雇用する場合には、外国人が日本で安定かつ安心して生活し働くことができるよう、法律によって定められている支援を行う必要があります。

事前ガイダンスから住居の確保、就労後の3か月に1回の面談等10項目が義務付けられており、これらの支援をどのように実施していくかを記載した「支援計画」を策定する必要があります。

Step4:ビザの申請

必要な書類を揃えて地方出入国在留管理局にて手続きを行います。

雇用する外国人が海外にいる場合には、「在留資格認定証明書交付申請」を行い、「在留資格認定証明書」を受領した後に、当該外国人のもとにその証明書を送付することになります。

その後、当該外国人が在外公館において査証(ビザ)の申請をし、受領することになります。

この「在留資格認定証明書」には有効期間がありますので、期間内に手続きすることが必要です。(コロナ禍の現在、この有効期間の延長措置が取られています)

一方雇用する外国人が日本国内におり、「特定技能」とは異なる別の在留資格を既に持っている場合には、「在留資格変更許可申請」手続きを行います。

ビザ申請時に提出する書類は多くあります。書類に不備があると追加資料の要求がされる等余分に時間がかかってしまうこともあるので、慎重に準備をしましょう。

ビザの審査期間は、2カ月前後となっています。

Step:5 入国または就労開始

ビザを取得した後、入国・就労が可能となります。

特定技能外国人を雇用した後は?~日常的な外国人支援や届出等が必要~

初めて特定技能外国人を雇用した場合、まず一番大事なことは、「食品産業特定技能協議会」への加入です。

4カ月以内という期限がありますので、忘れずに手続きを行いましょう

その他、雇用した後に必要となってくる対応等について見てみましょう。

日常的な外国人支援

ビザの申請時に、Step3で策定した「特定技能1号外国人支援計画書」を提出します。

この支援計画書に基づいて、特定技能外国人が安定して職業生活、日常生活、社会生活を送れるように支援を実行していく必要があります。

これら支援計画に記載した支援内容を全部「登録支援機関」に委託することも可能です。

各種手続き・届出等

この他にも、出入国在留管理庁やハローワークに対して次のような各種届出を定期的に、または随時行う必要があります。

これらの義務付けられている届出をしなかったり、虚偽の届出といった違反が発覚した場合には、指導や罰則の対象となりますので注意しましょう

定期の届出

  • 特定技能外国人の受入れ状況や活動状況に関する届出
  • 支援計画の実施状況に関する届出 (登録支援機関に委託している場合は、不要)

随時の届出

  • 特定技能雇用契約および登録支援機関との支援委託契約に係る変更、終了、新たな契約の締結に関する届出
  • 支援計画の変更に係る届出
  • 特定技能外国人の受入れ困難時の届出
  • 出入国又は労働関係法令に関する不正行為等を知ったときの届出
  • 外国人を雇い入れたとき又は離職した時に氏名や在留資格等の情報の届出(ハローワーク)

特定技能外国人を雇用する際の留意点~雇用形態等に留意が必要~

外食業分野で特定技能外国人を雇用する場合には、以下の点について留意が必要です。

雇用形態

雇用形態としては、直接雇用であり、フルタイムであることが必要です。

(特定技能運用要領では、本制度でいうフルタイムとは労働日数が週5日以上かつ年間217日以上であって、かつ週労働時間が30時間以上であること、とされています。)

特定技能外国人の支援を登録支援機関に委託する場合

受入れ側に義務付けられている特定技能1号外国人に対する支援を登録支援機関に全部委託することができますが、注意が必要です。

外食業分野では、登録支援機関も受入れ側と同様に、「食品産業特定技能協議会」の構成員となっている必要があります。

また、この協議会に対して必要な協力等を行なうことが求められています。

また登録支援機関も「外食業分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書」を提出し、誓約事項を遵守する必要があります。

外食業分野での特定技能外国人活用のまとめ

最後に、これまで述べてきた外食業分野で特定技能外国人を活用する際のポイントについて整理しておきましょう

  • 外食業分野は引き続き外国人の支えが必要
  • 特定技能外国人は、即戦力として期待できる
  • 特定技能外国人には、飲食物調理、接客、店舗管理等の外食業全般の仕事を任せられる(ただし、「風俗営業」や「性風俗関連特殊営業」を営む場所はNG)
  • 受入れ側は、事業所の要件や分野別協議会への加入等の要件を満たす必要がある
  • 外国人側は、技能試験及び日本語試験で基準を満たしているか、もしくは「医療・福祉施設給食製造」の技能実習2号を良好に修了している必要がある
  • 雇用後の特定技能外国人支援及び各種届出の提出等を確実に行いましょう

 

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